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Shokzはイヤフォンに留まらない──Shokz深圳で聞いた「次のウェアラブル」戦略

Shokzは、今回の深圳取材で、実にさまざまなことを『オープン』に開示してくれたが、そこにはShokzの現在位置と、これからのプランも含まれていた。いろいろな話を総合すると、Shokzの『この先の製品』が見えてくる。直近は、オープンイヤーイヤフォンが中心だが、実はAI時代に備えて、さまざまな基礎研究を行い、次世代の製品がプランニングされており、それは『かならずしもイヤフォンとは限らない』ようだ。

なお、以下は実際にShokzで未来の方向性として語られた話ではあるが、同時にそれを保証するものではないことに留意いただきたい。あくまで可能性の話である。

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Shokzの性能を担保するテクノロジーの数々

まず、現在の商品ラインナップと同社のコアテクノロジーを整理しておこう。

中心となるのはもちろん骨伝導シリーズで、OpenRunやOpenRun Proがここに属する。続いて、『オープン』であることをコアとしつつ、空気伝導も使ったオープンイヤータイプがOpenFitやOpenDotsがここに属する。そして、ブームマイクを搭載してコミュニケーションデバイスとして使われるOpenComm、OpenMeet。これらは、電話オペレータなど業務用途に非常におおく使われている。最後に、これは日本では販売されていないが、Shokz Hearというカタチで聴覚に課題を持つ人々を支援するデバイスの開発にも注力している。

技術としては、骨伝導はもちろん、骨伝導と空気伝導を併用した『DualDriver』、空気伝導モデルで使われる『DirectPitch』、『MirrorPitch』、低音を強調する『SuperBoost』、『Bassphere』、『DualBoost』などの音響技術が一番に挙げられる。

デュアルマイクによる通話マイク側の指向性を利用したノイズキャンセリング、OpenFit Proで使われるスピーカー側のノイズ低減には高度なAI技術が使われている。また、Shokzが一番こだわる装着感において、快適に装着するために自社で世の中に存在しない超柔軟シリコン(Ultra-soft Silicone)を開発したり、チタンフレームと柔らかないシリコンの利用により、従来にない快適性を実現したりしている。

また、世界中の何万人もの耳のカタチをスキャンした人間工学的なデータベースも構築しており、毎回50回にも及ぶ試作を繰り返すことで、多くの人の耳にフィットするデザインを追及し続けている。

Shokzに、カメラやディスプレイが付く?

それらに加えて、取材の中でShokzが今後力を入れていきそうな分野が垣間見えた。

まず、世界を席巻するAI技術だが、深圳にあるShokzは当然のことながら、それらを利用しやすい環境にある。AIのインターフェイスとして音声が重要になってくるのはご存じの通り。音声認識、音声のテキスト化、翻訳……などにおいて、音声の元データのクオリティが非常に重要になる。そうした時に、OpenComm、OpenMeetで培われたクリアな音声の取得技術が大きく役に立ってくる。

Shokzのイヤフォンが、AIと連携し、カメラを持つようになっても不思議ではない。アップルのAirPodsにカメラが付いて目の前のことを認識したり、ログを取ったりする機能が付くのではないかと言われているが、同様のことをShokzが考えている可能性も充分にある。すでに、CESではスマートグラスの開発意向も発表しており、「いつでも装着している」という人がいるくらいフィット感の良いOpenRun Pro 2、OpenFit Proなどの技術を使ってスマートグラスを作れば、装着感に優れたスマートグラスができそうだ。

また、これも搭載モデル、時期などは不明だが、Bluetoothの制約を超えるために、低消費電力のWi-Fiチップを搭載することで、スマートフォンを介さずに直接ネットワークに接続し、独自のOSを持つインテリジェントなヘッドフォンの構築さえも構想されているようだ。

オープンなまま、よりクリアで精密な音が得られるのはAI向き

細かな部分でも、将来の製品を見通せる技術がある。たとえば、聴覚に課題を持つ人々を支援するShokz Hearには、顔を向けた方向の音を優先的に収集して伝える技術が搭載されている。これが他のイヤフォンに搭載されれば、人ごみの中での会話がより簡単になるだろう。

また、実際に開発中のOpenRun Proの次期モデルなどにおいて、AIによる環境ノイズの最適化や、音声入力の精度向上(音声テキスト化への対応など)などが行われているという(商品名称や機能の搭載などについては、現在のプランということで、商品化時には変更される可能性がある)。この線上にはAIを使った翻訳なども視野に入っているようだ。

OpenFit Proに搭載された、耳を塞がない構造でのノイズ低減は、3マイクシステムと独自アルゴリズムが活用されているが、地下鉄のような低周波・高周波が混在する環境でも、クリアな聴取を可能にするための改良が続けられている。

自社シリコン工場で開発された超柔軟シリコンは、今後、触感(テクスチャ)や多様なカラー、美しいデザインなどを実現する方向で開発が続けられている。

最新の『OpenFit Pro』などでは、光学センサーと静電容量センサーを組み合わせた装着検出機能を搭載し、安定した動作を実現しているが、また、将来的にはイヤフォンによる心拍数モニタリングなどを可能にする生体センサーの統合も研究されているとのこと。

『オープン』の向こうに見えるテクノロジー

Shokzの武器は、『人の側にある』ということだ。長時間装着してもストレスなく、スポーツなどの状況下でも使い続けられるホールド性能がある。その上で、『確実に音を拾い』、『確実に音を届ける』という技術を持っているということは、これからのAI時代に非常に役に立つはずだ。

Shokzのイヤフォンが、イヤフォンの域を超えて知能化され、カメラを持ち、スマートグラス化され、AIと協調して動作するようになる。そんな未来はそう遠くなさそうだ。

(村上タクタ)

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村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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