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エンジンマニア垂涎のiPad/iPhoneアプリ『Trans4motor R』がめっちゃ楽しい!

EVやハイブリッドが全盛の世の中だけれど、ガソリンの燃焼するエンジンの音、香り、細かな振動、トルクの出方が好きな人や懐かしい人も多いと思う。もちろん、温室効果ガスの問題はあるが、アプリでガソリンエンジンに思いを馳せる分には問題はないだろう。Trans4motor Rは日本製のエンジンの構造がよく分かるiPad/iPhoneアプリ。価格は1200円。

Trans4motor R
https://apps.apple.com/jp/app/id6739180076

以前Trans4motorというアプリはあったのだが、現代のiPad/iPhoneに合わせて、ゼロから作り直したのがTrans4motor Rだ。

あなたのクルマやバイクのエンジン形式は?

「空冷1300cc、4気筒、4キャブなんや。すごいやろ」

筆者が物心ついた頃に、亡父が自分のクルマを自慢して言ったセリフだ。その頃は意味が分からなかったし、後にバイクに乗るようになっても4気筒にキャブが4つあるのは当たり前だったので、意味は理解できなかったが、当時の乗用車は気筒ごとにキャブがあるわけではなかったそうだ。

ちなみに当時父が買ったクルマとはこれ。(写真はホンダコレクションホールの車両)

4ストロークエンジンには吸入→圧縮→燃焼→排気……という4ストロークがあり、ピストンの往復運動をコンロッド、クランクが回転運動に替え、それの回転エネルギーの一部をチェーンやギア、ベルト、プッシュロッドでバルブを開閉する動きに変換する……というところまでは、多くの人がご存じだと思う。

では、それが2気筒、4気筒、V型6気筒、水平対向12気筒だったら、どうなるか? どういう順番で爆発して、動くのか? そこまで理解している人は多くはないと思う。それを自分で自由に操作できるCGで見せてくれるのがこのTrans4motor Rだ。

アメ車のV8エンジンが揺れてトルクフルなわけ

エンジンの気筒数とシリンダー配置は、クルマやバイクの操縦性、フィーリングに大きな影響を与える。というわけで、まずは、エンジン形式の話をしよう。

現代の自動車の場合は、大半が直列4気筒かV型6気筒だし、サイズ的にも出力的にもさほど変わらないから、多くの人は気にしていないかもしれない。おそらくこれを読んでいるあなたのご家庭の自動車もそのどちらかだろう。直列4気筒の方が若干ザラザラした感覚があるはずだし、V型6気筒の方が滑らかだ。Trans4motor Rで見れば、なるほどバランスが良くて滑らかなことが良く分かる。Trans4motor Rでは代表的車種として、NSXが登場する。コンパクトでパワーを得られるので、現代のスポーツカー、高級車の代表的なエンジンである。

Trans4motor Rはエンジン形式をリアルタイムで替えられるので、このV型6気筒を直列6気筒に変えてみよう。なるほど、エンジンは大きくなるが、さらにシルキーに回るであろうことが感じられる。直6と言えば往年のBMWや2代目までのフェアレディZなどが有名。長くてデカいから積むのが大変だったろうなぁ……なんていう思いも湧いてくる。

GT−RもR34までは直6のエンジンを積んでいた。

V8といえば、アメ車。Trans4motor Rではコルベットが例に上がっているが、バランスが取れてシュンシュンときれいに回るV6に比べて、ドロドロとした脈動感のある回転になって、トルクを強く感じるエンジンになる。それを雑味と感じるか、力強さと感じるかは人それぞれだと思うが。

アメ車好きにはたまらないドロドロと回るV8エンジン。構成によっては軽く高回転まで回るようになる。

V10やV12になると、筆者は乗ったことはあるが、振り回したことはないので、あまり語れない。V10はアウディS6など、V12はメルセデスのS600などで運転したことはあるが、途方もなくパワフルだという以上に言うことはない(笑)。リクツから言えばV12の方がバランス良くきれいに回って、V10の方が若干トルキーなはずだが。

アウディR8に搭載されるV10エンジン。共通のルーツを持つV10を積むS6には乗ったことがあるが、途方もなくパワフルなエンジンだ。

もちろん、エンジン形式だけではなくて、ボア×ストローク、回転数、圧縮率、バルブの数……などいろんな要素でエンジンの特性は変わるが、やっぱりエンジン形式は根幹的な部分なので、影響は大きい。

バイクはクルマよりもエンジン形式の影響を大きく受ける

バイクになると、もっとキャラクターは大きく変わる。筆者が乗ったことがあるのだけでも、単気筒、並列2気筒、3気筒、4気筒、6気筒、V型2気筒、L型2気筒(特に90度Vをこう言う)、V型4気筒、水平対向2気筒、水平対向6気筒……という多彩なエンジン形式がある。そして、それぞれ大きく特性が違う。

ご存じ単気筒は、シンプルで軽いが、排気量が大きくなると振動が耐えがたいほど大きくなる。

並列2気筒は、今だとW650とかが典型的だが、コンパクトで脈動感もあって、楽しいバイクだ。

並列3気筒といえば、トライアンフ。昔トライデントや、T595などによく乗ったのだけど、並列4気筒より脈動感があり、コンパクトで面白いエンジン特性。4気筒ほど高回転が伸びるわけではないけど、個性的で楽しい。

並列4気筒はもちろん、たくさん乗った。最初に乗ったCBR250Rは1万8000回転まで回る高回転型エンジンで、排気量の割にパワフル。排気量が大きくなるほど、エンジンの大きさが安定感にも邪魔にもなってくる。油冷のGSX-R1100にも乗っていたけど、ネイキッドの4気筒(XJR1200とかCB1300とか、ゼファー1100)になると、エンジンの重みも迫力もさらに増すし、R1やCBR1000RR-Rになると、その重さや迫力はなくなって、軽くてひたすらパワフルになる。そのあたりのバイクは200馬力、重量200kgぐらいなので、前に進ませることさえできれば、4輪のF1マシンに肉薄するほどの加速を体験させてくれる。

並列6気筒は……バイクのK1600GTしか乗ったことがないけど、流石に重い。ついでに、GL1800や、ワルキューレに乗ってる水平対向6気筒に触れておくと、こちらは地面の近くに重量がいくので安定感が高くて乗りやすい。しかも意外とシュンシュン回って、トルクよりパワーを感じさせるエンジン。

点火順序などに関する説明が出るモードもある。興味深い。

バイクのV型にはさらに面白いエピソードがある

V型2気筒、L型2気筒はロマンを感じるエンジンだ。パワーもそれなりに出るし、スリムで、脈動感がある。ドゥカティのM900モンスターや、スズキのTL1000Sを所有していたが、どちらも非常に楽しいバイクだった。空冷だと感覚的に親しめる感じがあって、水冷だと非常にパワフルでスピードを上げるとコントロールが難しくなる。

V型4気筒はVFR400Rや、RC30をはじめホンダのお家芸だったのだが、今となってはドゥカティのV4パニガーレの方がメジャーだろう。昔は複雑になるのが難だったが、今となってはパワーとトルクとコンパクトさを合わせ持つ、理想のエンジン形式と言っていいと思う。

ちゃんとドゥカティならではのデスモドローミックが再現されているところが素晴らしい。

バイクにはホンダが作ったレーシングマシンのRC211Vが、V型5気筒という特殊なエンジン形式なのだが、Trans4motor Rではこれも再現されている。これは4気筒と5気筒はレギュレーション上の制限重量が同じという隙を突いた特殊なバイクで、後ろバンクの2気筒をフレームの間に挟み込んで、V型4気筒並みのスリムさに5気筒のパワーを組み合わせたエンジンなのだが、Trans4motor Rではその爆発間隔がどうなっているかなども見ることができる。ちなみに、もちろん筆者は乗ったことはない(笑)

おそらく関係者以外誰も見たことがないであろうRC211VのV型5気筒エンジンが動作するところが見られる。MotoGPで圧倒的に強かった傑作エンジンである。

ちょっと特殊な話だが、筆者は縦置きクランクのバイクが好きで、BMWのR1100GSや、モトグッツィの1100 SPORTに乗っていたこともあるのだが、これは現時点でのTrans4motor Rでは再現できない。しかし、ごく近いうちに搭載されるという情報を得たので、楽しみに待っているところだ。

エンジン形式を自由に変化させられるTrans4motor R

アプリの話から、だいぶ離れてしまったが、Trans4motor Rはこれらエンジンの動く仕組みを3Dグラフィック化して見せてくれるアプリ。並列4気筒エンジンの爆発間隔はどうなってるのか? それがV4だとどう変化するのか? クランク軸の動きは、どうやってミッションに伝わり、駆動軸に伝わるのか……? などを理解することができる。

ギアチェンジをしたり、音を再現したりもできるので、非常に楽しい。サウンドをONにすると、iPad/iPhoneの傾きでスロットルワークを再現できる。音は実車を解析しつつ、エンジンの爆発音、その倍音的要素(カムや、バルブの動き、エンジンの鳴りなどが再現されているのだろう)、ランダムノイズ、ウィンドノイズ、ギアノイズなどを合成して再現されているので、実車っぽい音も再現できる。

絶妙なのは、エンジン形式や気筒数を指定すると、まるで変形合体ロボのように形状が変わってエンジンのカタチが変化すること。画面外からピストンやクランク、バルブが飛んで来て組み合わさる様子は見ていて飽きない。

詳細設定で、オリジナルのエンジンを作れる

また、設定画面を開くと、さらに詳細まで設定できる。

点火間隔を変えて、同爆エンジンを作ったりすることもできる。

たとえば、カム駆動方式はタイミングベルト(四輪はこれが多い)、カムチェーン(バイクで一般的)、カムギア(ホンダの一部スポーツバイクで採用)を切り換えることができる。バルブ駆動方式も、DOHC、OHV、VTEC、デスモドローミック(ドゥカティで使われるバルブスプリングを使わないカムによる強制駆動方式)を選択できる。また、ボア×ストローク比も設定できるし、点火間隔(ヤマハのクロスプレーンを作れる!)やギア比まで自由に設定することができる。

XS650のエンジンをベースに、狭角Vツインエンジンを作ってみたり。

もちろん、すべてのクルマやバイクを実際に図面から起こしているわけではないから、ピストン形状などまでが再現されているわけではないが、『模式図』としては十二分以上の解析がされているので、『どのように動くのかを3Dグラフィックで見る』という用途においては非常に楽しめる。

エンジン好きなら、何時間でも眺めていられるに違いない。

共有サイト『engines』を見ていると、無限に時間が溶ける

また、『手本』として用意されている数台のエンジンとは別に、自分で作ったエンジンを『engines』というエンジン共有サイトにアップロードして共有することもできる。現時点でも、HONDA CBR250RRや、YAMAHA MT-09(3気筒)、Renault Megane4 RS Trophy、SUBARU vivio RX-R……など、おそらくはご自身が乗ってるバイクやクルマのエンジンだったり、憧れのエンジンが作られてアップロードされている(ただし、これら非公式のものは、おおまかな形式以外のギア比などがどこまで再現されているかは定かではない)。

自分が作ったエンジンを共有できる。他の人の作ったエンジンを見て回るのも楽しい。

自分好みのエンジンを作ってみるのも楽しそうだ。

アプリは買い切りだし、1200円の価値は充分にある。ガソリンエンジン好きの人は見ていて飽きないに違いない。いかなエンジン好きでも、大富豪でない限りエンジンを買い集めるわけにもいかないだろう。『Trans4motor R』で、エンジンコレクションを構築してみてはいかがだろうか?

Trans4motor R
https://apps.apple.com/jp/app/id6739180076

(村上タクタ)

エンジンの魅力をiPhone/iPadで再現したTrans4motor R開発秘話

エンジンの魅力をiPhone/iPadで再現したTrans4motor R開発秘話

2025年12月29日

この記事を書いた人
村上タクタ
この記事を書いた人

村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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