価値観が違うから新しいモノが生まれる。
日本をはじめ、アメリカやヨーロッパのショーでも数々のアワードを獲得している「カスタムワークスゾン」。バイクブームに沸くアジアではスター的な人気で、ショーへの招待が殺到している。
ショーバイクのフルカスタムを手がけているのは、もともと高校の同級生だったという吉澤雄一さんと植田良和さんだ。2003年に二人で独立し、4年後にアメリカの老舗カスタムショー「ラッツホール」でチャンピオンを獲得。それ以来、シーンの最前線を走り続けてきた。世間ではショーでの華やかな部分に注目されがちだが、普段は滋賀県のファクトリーで作業に明け暮れているという。
「人と話すことが好きな自分が、営業的なことを担当しています」
笑顔で語るのは代表の吉澤さん。初対面の人と話すのが少し苦手で作業に専念したい植田さんが細かい作業を担っている。
性格の異なる二人だが、フルカスタムは二人で手がけるのが基本。意見がぶつかることもあるが、その試行錯誤の繰り返しが、一人では辿り着けない革新的な作品を生み出す力となっている。
1973 HARLEY-DAVIDSON FL1200|高強度アルミ合金を採用したスピードトライアルマシン。
「横浜ホットロッドカスタムショー2022」でチャンピオンを獲得した「IRVING」は、ソルトレイクを走るスピードトライアルマシンをイメージして製作。高強度で加工しにくいと言われる7N01アルミ合金(A7204)を採用し、高い技術力でシングルクレードルフレームに加工。ワンオフ製作したアルミのガーターフォークとホイールカバーをセットし、近未来的な世界観を演出している。
シンプルなデザインのハンドルはワンオフで製作。トップブリッジとフレームには「シルバースミスフィン」による美しい彫金が施されている。
排気量1530㏄のエンジンにウエーバー製ツースロートキャブレターを搭載。モーリス製マグネトーを2基掛けし、ヘッドカバーには彫金を施した。
ショートの2本出しマフラーはワンオフ。プライマリーはBDL製2インチベルトドライブでオープン化し、ベイカー製6速ミッションを採用している。
オイルタンクと一体化したワンオフのシートカウルに、KAMIKAZEによるピンストライプをあしらった。シートからテールカバーの革細工は空冷四速。
2021 S&S KNUCKLE HEAD 93ci|S&Sのエンジンをおごる新しいオールドヒルクライム。
新しい素材と技術でヒルクライムのオールドレーサーを再現した一台。1530㏄のS&S製ナックルヘッドエンジンをオリジナルフレームに搭載。ヒルクライムスプリンガーフォークは、カスタムワークスゾンによって細かいディテールが再現されている。ホイールもフルオリジナルで、スポークにはヘラ絞りの技術が用いられている。ヴィンテージのような凄みを放っているエイジングにも注目だ。
ヒルクライムレーサーをモチーフにワンオフで再現したハンドル。千里浜サンドフラッツで走行した際、ポジションが低すぎたのでアップに変更した。
絶妙な使用感を醸し出している分割タンクはワンオフ品。グラフィックのデザインは吉澤さんが手がけ、AOZORA WORKSがペイントを施した。
オープンプライマリーをチェーン化し、スーサイドクラッチを採用。ヘッドシリンダーヘッドホンを加工してリンカート製ツインキャブを搭載した。
内蔵したLEDテールライトにスリットが入ったリアフェンダーはワンオフ。シートもワンオフ製作した逸品で、自作のサスペンションが装備されている。
【DATA】
CUSTOM WORKS ZON
滋賀県蒲生郡日野町木津185
TEL0748-52-6410
営業/10:00~ 20:00
休み/水曜
cw-zon.com
CUSTOM WORKS ZON Customer Lounge
滋賀県蒲生郡日野町木津502
営業/13:00~ 18:00( 土日祝のみ)
(出典/「Lightning2023年5月号 Vol.349」)
Text/T.Morita 守田二草 Photo/S.Ise 伊勢悟
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