革ジャンの伝道師・モヒカン小川が実際に“アルチザン”を体験
これは単なる革ジャンの話ではない。心して読み進めてほしい。
フランス語で「職人」や「熟練の手工業者」という意味を持ち、伝統的な技術や手仕事によってこだわり抜いたプロダクトを生み出す人々やその姿勢を指す「アルチザン」という言葉がある。「No,No,Yes!(ノーノーイエス)」が誇るオーダーメニューの中でも最上級に位置付けられるのがその“アルチザン”だ。
スーツのオーダーは知られていても、革ジャンをここまで細かくオーダーメイドできる場所は多くない。革を選び、型を決め、裏地やボタンまで詰め、さらに仮縫いで身体に合わせていく。大量生産の革ジャンとは、入口から違う。革という希少かつ繊細な素材を扱う分、失敗は決して許されないからこそ、レザーラバーにとっての最高到達点ともいえる存在なのだ。
洋服の起源を辿れば、実は既成服の歴史は150年ほどであり、古代から人々の衣服は各人に合わせてオーダーメイドすることが基本であった。つまり、原点にして頂点の体験なのである。
今日においては、スーツをオーダーするというのは一般的に周知されているものの、我々が愛してやまない革ジャンをオーダーメイドできる場所もそう多くはない。そこで、日本、いや世界屈指のレザーラバーである本誌編集部・モヒカン小川が実際にノーノーイエスで体験した“アルチザン”に密着し、ここにその記録として残そうと思う。

ヒアリング&採寸
東京・千駄ヶ谷のショップに足を運び、まずはヒアリング。モヒカン小川がベースに選んだのはジャケットではなく、さらにその上から羽織るためのショップコート。エゾシカ(ヌバック)とホースハイドを組み合わせた、世界にひとつの逸品を目指す。

【DATA】
No,No,Yes! 東京本店
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-2-8
Tel.03-3408-2706
15:15〜19:19 月、火曜定休

ベースとなる型をショップコートに決めたところでまずは素材(革)を選定。スタッフと相談しながら、メイン素材をエゾシカのヌバック、襟と袖裏をホースハイドに決定した。カラーはブラックとブラウンのバイカラーに。「馬革と鹿革で“馬鹿”コート(笑)。こういうのは迷ったら負け!」(モヒカン小川談)。その後、ボタンや裏地などの部材、ポケット位置などの細かいディテールを決めていき、採寸へと進む。肩幅、胸囲、腹囲、ヒップ周り、袖丈などの一般的な採寸に加えて、肩傾斜なども細かくチェック。革の伸びや部位差がある分、寸分の狂いのない完璧な1着を仕上げるためにもじっくりと丁寧にヒアリング・採寸を行なっていく。また、3Dでの着用シミュレーションによって360度から着用した姿を確認することも可能だ。




アトリエにて製作
オーダーされたレザージャケット(コート)の製作はノーノーイエス東京本店から徒歩圏内にある自社アトリエで行われる。今回は特別にアトリエへと足を運び、職人たちの作業風景や使用している機械を見せてもらった。





ノーノーイエスの自社アトリエには熟練の職人5名がおり、選び抜かれた機械が数台、そして大量の革のストックが保管されている。レザーの縫製において彼らが最適解であると考える、約70年前のドイツ・アドラー製のミシンを使用し、丁寧に縫製していく姿からはまさしく“クラフトマンシップ”が宿る。
革は布とは違い、厚みも、硬さも、伸びも、1枚ごとに違う。したがって自動ミシンに任せきりになるのではなく、踏む力、送る速度、針の入り方まで職人が読むことが重要。旧式ミシンを使う理由は、ノスタルジーではなく、人が革をコントロールするためなのだ。ほかにもムートンやファーの縫い付けに使用するユニオンスペシャルのミシンや革を漉くための機械など、希少なマシンが並べられており、大量生産に適した自動ミシンではなく、職人の手を介することで生まれるクオリティがそこにはある。
仮縫い&微調整を経て完成
アルチザンの最大のポイントが“仮縫い”だ。エゾシカ×ホースハイドのような異素材を組み合わせた世にも珍しいコートを製作するにあたり、ミスなく完璧に理想的な1着を作るためにも仮縫いに袖を通すことで仕上がりイメージの解像度を上げるのだ。
アルチザンの流れはCLUTCHMAN TVをチェック!
モヒカン小川がなぜショップコートを選び、馬と鹿の組み合わせにしたのかがわかるのでぜひチェックしてほしい!


写真下の仮縫いのコート(布帛製)には、襟部分と袖裏にデニム生地が貼られている。モヒカン小川がオーダーしたコートは柔らかなエゾシカのヌバック、襟と袖裏は厚みのあるホースハイドで構成されているため、仮縫いサンプルも素材を変えることで厚みを合わせているのだ。仮縫いを試着し、着用感の確認やディテールについての擦り合わせを終えると、仕上げに入り、2〜3カ月で完成する。オーダーとはいえど、丁寧なヒアリングから始めてくれるので、決して躊躇することはない。まずは気軽に東京本店、もしくは京都店(京都府京都市下京区和泉屋町162)に足を運び、スタッフに相談してみてほしい。アルチザンは250,000円〜

革ジャンだけじゃない! 注目の定番プロダクト

綿糸を超強撚することで接触冷感と速乾性を高めた“クールコットン”を使用したボディを自社で製品染め。背面から染め上げることで、背面から表面へと滲み出るような独特のグラデーションを表現している。9,900円

日本の伝統的な履き物である足袋と雪駄を融合させたようなデザインが特徴的なレザーサンダル。構想3年を経て完成した新作で、鼻緒とフットベッドは牛革、アウトソールはビブラム。39,000円

足袋メーカーと協業して作り上げた足袋ブーツ。ジップ付きのシャフトをややシャープな設計にし、すっきりとした印象に。55,000円
【問い合わせ】
No,No,Yes!
Tel.03-3408-2706
www.nonoyes.co.jp
Instagram@nonoyes_tokyo_kyoto
photo/Kai Shunichiro 甲斐俊一郎 text/Kihiro Minami 南樹広
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