思わずため息……。レッド・ウィング・ジャパン代表が愛するこの世に一足しかないブーツ。

男にとってブーツは特別な靴。ブーツとの付き合い方で、その人自身の生き方がわかる履歴書のようなものだ。ピカピカに磨き上げられたものや、味わい深く経年変化したものなど、所有者によって実に様々。

今回はワークブーツ界のパイオニア、レッド・ウィング・ジャパン代表の鈴木理也さんの一足をご紹介しよう。商品化したいと模索していたモデルの試作品で、通常はある程度履きこんで味が出てきたところで店舗のディスプレイに使うなどして手放すことが多いが、この一足はもう6年以上履いているという。愛用するブーツから見えてくるモノづくりの情熱を伺った。

レッド・ウィング・ジャパン 代表 鈴木理也さん×RED WING Beckman Boots(Mod.)

20181225_3_01

「私達は職業柄、同じモデルを何年も履き続けることはあまりなく、ある程度履き込んで味が出てくると店舗ディスプレイに使ったり、経年サンプルとして手放すことが大半です。そんな中にあって、このモデルはすでに6年以上は履き続けている、特別なモデルのひとつでもあります。

レッド・ウィング社の創設者の名を冠したベックマン ブーツこと現#9411ですが、先芯が入っていません。旧い時代の6インチブーツではトゥの先芯を省いたモデルが時折出てくることがあり、当時はそういった仕様があり、その利点があったと確信したのです。私はその先芯なしのベックマンに惹かれ、実は10数年前からどうにか形にできないか模索していました。

2012年、当時は#9011という品番で展開されていたベックマンから先芯を除いたサンプルを試作したものが、現在愛用している同モデルです。

昨年の秋冬シーズンにデビューしたベックマン・フラットボックス(#9062)は、このプロトタイプをベースに展開されたインラインモデルであり、実に5年以上の構想を経てようやくカタチにできた個人的にも非常に思い入れのあるモデルなのです。

このプロトは、ベックマン・フラットボックスとはソール、ウェルトやステッチの配色など最も特徴的な先芯の無いトゥは履き込むほどに味わいを増し、よりクラシカルな趣きへと育ってくれました」

20181225_3_02

アッパーにはブラックチェリー「フェザーストーン」と呼ばれる深みのあるバーガンディの茶芯レザーを採用。

20181225_3_03

本来明るいブラウンのウェルトがエイジングされ飴色に変わっている。

20181225_3_04

先芯が入っていないため、屈曲シワが通常よりやや前に出るのも特徴のひとつ。

20181225_3_05

トゥが左右に程よく広がり、独自のフィット感を得ることができる。鈴木さんは足幅が細いため、ワンサイズダウンで履いているが、つま先が馴染んで足指へのあたりも柔らかいとか。

「レッド・ウィング・ジャパン」代表・鈴木理也さん

20181225_3_00

某有名酒メーカーの輸入をはじめとした商社からキャリアをスタートし、文房具ブランドで取締役を務めた後、今なおミネソタの自社工場で頑なにU.S.メイドを守り続けるワークブーツ界のパイオニア、レッド・ウィングの日本法人代表を務める。

▼レッド・ウィングのすべてがわかるこちらの記事もチェック!

どんな種類が人気? レッドウィング(RED WING)の定番モデル5選と洒落者たちのコーデを拝見!【2023年最新版】

どんな種類が人気? レッドウィング(RED WING)の定番モデル5選と洒落者たちのコーデを拝見!【2023年最新版】

2023年01月23日

●レッド・ウィング・ジャパン
http://www.redwingshoe.co.jp

(出典/「別冊LightningVol.196 ディア・マイ・ブーツ」)

この記事を書いた人
モヒカン小川
この記事を書いた人

モヒカン小川

革ジャンの伝道師

幼少期の革ジャンとの出会いをきっかけにアメカジファッションにハマる。特にレザー、ミリタリーの知識は編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。トレードマークのモヒカンは、やめ時を見失っているらしい。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

Pick Up おすすめ記事

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...