2ページ目 - 85年暮れに出回り始めた幻の未発表曲集『セッションズ』|ビートルズのことを考えない日は一日もなかったVol.34

西新宿のWoodstockで買った『セッションズ』

名盤『セッションズ』。デザインも秀逸

収録曲から察するに『セカンド・ボリューム・オブ・ビートルズ・レアリティーズ』が『セッションズ』の大元の企画に思しく、そこからさらに貴重な音源が発見されるなどして、再度詰められていったのだろう。しかしながら最終的にお蔵入りになってしまった、という経緯を持ついわくつきのアルバムの音源がブート業者に流出し、日本でも海賊盤が店頭に並び始めたのはこの年の暮れ頃から。

ビートルズ研究家・藤本国彦さんに聞いたところによると、藤本さんが『セッションズ』を買ったのは同年12月14日だという(ゲット・バックで12月4日に予約)。これは早いほうで、わたしが買ったのは翌86年だったと思う。でも86年のいつ頃だったのかがどうしても思い出せない。そういえばと思い、ビートルズ仲間の大須賀芳宏くんに聞いてみたら、彼は86年5月10日に吉祥寺Otuka Recordで購入したと当時のメモ参照で教えてくれた。この頃、一緒に作ったミニコミ誌のためひばりヶ丘にあった大須賀くんのアパートに頻繁に通っており、そこで青いジャケットのLPを見かけた記憶がしっかり残っている。

大須賀くんも買ったんだ!と親近感を抱いたことは間違いないので、自分が購入したのは86年の春先あたりだろう。お店は西新宿のWoodstock。この頃の西新宿のブート屋は『セッションズ』一色になっており、どの店も大々的にレコメンドしていたことを覚えている。A面5曲、B面8曲の計13曲の中にはのちに『ビートルズ・アンソロジー』やデラックス・エディション盤で公式にリリースされていく「Come And Get It」「Not Guilty」「While My Guitar~」のアコースティックバージョンなどが収められており、1曲聞いては感動し、裏ジャケに書かれた英語の解説文を読み、という作業を繰り返しその曲の出自を理解した。

ネットがなく、まだそれほど研究が盛んではなかった時代、マニアックな情報を得ることは簡単ではなかった。同じような思いをした人は日本中にたくさんいたのではないだろうか。とにかく、この画期的な『セッションズ』を機にビートルズのブートマーケットは活況を見せていき、以後多くの傑作がリリースされたのち、88年に『ウルトラ・レア・トラックス』がビートルズ・シーンを賑わすことになる。

この記事を書いた人
竹部吉晃
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竹部吉晃

ビートルデイズな編集長

昭和40年男編集長。1967年、東京・下町生まれ。ビートルズの研究とコレクションを40年以上続けるビートルマニア兼、マンチェスターユナイテッドサポーター歴30年のフットボールウィークエンダーのほか、諸々のサブカル全般に興味ありの原田真二原理主義者。WEBメディア『昭和MILD(https://showamild.com/)』もよろしくお願いします。
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