俺たちの青春BGMといえば、FMラジオ「赤坂泰彦のミリオンナイツ」!【赤坂泰彦インタビュー後編】

ひと昔前、ラジオでは“ヤングタイム”と呼ばれた夜10時以降。各局、中高生に向けた番組を放送していた。FMラジオのヤングタイムと言えばこの番組。雑誌「昭和50年男」に、『赤坂泰彦のミリオンナイツ』DJの赤坂泰彦にご登場願った。インタビュー後半は『ミリオンナイツ』終了後の赤坂泰彦のラジオにかける思いと現場の熱気をお届けする。(前半はこちらから)

変化する環境のなかでDJが勝負するところは

『ミリオン』終了後も、ニッポン放送『赤坂泰彦のサタデーリクエストバトル』、@FM(エフエム愛知)『Radio Freak』など、電波の形式や、場所にこだわらずラジオを続けてきた赤坂。その情熱はどこからくるのか。

「ラジオがいちばん好きで、ラジオしかできなくて、ラジオをやりたいからですね。ラジオから出かけてラジオに戻るから舞台の仕事もできたし、テレビの仕事もできるんだろうし。今もやりたいですね。まだまだやりたいです」

現在はNHK-FM『ラジオマンジャック』だけでなく、音声プラットフォーム「Voicy」で『赤坂泰彦のラジオグラフィティー/TALK&SOUL、声の落書き、大人の深夜放送!』(毎週水曜21時30分〜生放送)を配信している。このVoicyのベースとなるパソコンや携帯電話、スマートフォンなどの発達が、『ミリオン』放送時と異なる点である。音楽の聴き方や聴かれ方も大きく変わった。それについてはどう思っているのだろうか。

「ほとんどスマートフォンで、イヤホンで聴いていますから、国民的ヒットが生まれにくくなっていますよね。昔は『みんなで聴いていたこの曲』だったのが、今は『オレの私の好きなこの曲』になっているので」

お茶の間にあるテレビで、家族そろって音楽番組を観ていたのはひと昔前。メディアツールがパーソナルなものになり、個人個人がそれぞれ好きな曲を聴くようになっている。

「でも、大合唱は一緒なんです。たとえばMrs. GREEN APPLEを文化祭で歌えば、高校生みんなで歌えると思うんです。ただし、音楽の聴かれ方は変わっていますよね。よい悪いは別として」

さらに、ラジオDJへの影響も口にした。

「DJの選曲が必要なくなるかもしれないですよね。自分の好みを音声で告げれば、たぶん、その人の好きな曲が自動でプレイリストに挙がってくるようになるでしょう。たとえば『1995年から2000年、海の似合う曲、60分』というように」

とはいえ、無味乾燥に並べられ、流れてくる曲が心に残るのかは疑問だ。

「だから僕らは、『どう聴こえるか』で勝負するんです。ラジオで僕がかけるブルーノ・マーズも、スマートフォンから流れるブルーノ・マーズも音質は一緒。だけど、どのタイミングで何を言ってかけるかによって、聴こえ方が変わりますから」

たとえば、メール10通を読んだ後に曲をかければ、そこには意味が生まれる。また、曲ができた時の時代背景、歌い手が置かれていた環境、作り手の意図などを紹介したうえで流せば、聴く側はまた異なる受け取り方をする。赤坂の言葉を借りれば、「人間は聴く人のデータで選曲をする。読み取る場所が違う」のだ。加えて赤坂は言う。

「俺はスタジオの中でリズムを取っているけど、お前はクルマできっとフィンガータップしてるよなっていう、見えない共有みたいなものが大きな違いだと思っているんですけどね」

聴いている人の心を震わせることができるのも、また人間だけというわけだ。

ウルフマン・ジャックと交わした約束

赤坂をそれだけ夢中にさせる、ラジオの魅力についてたずねた。

「人を知ることですね。相手は一般の方ですけど、なかには突拍子もない人とか、ユニークな人もいて。それが名もない一面記事になって、自分の栄養になるんです。Voicyでもそうです。リスナーとつないで、その人のヒューマンなところがわかるとこっちのパワーになるんです。で、僕はそれを返すんですよね。いろいろなツールがあるし、これからもシステムがたくさん出てくるんでしょうけど、基本的なことは変わらないんだなっていう」

ここまでの言葉の端々からも感じられるが、赤坂は〝人〞を愛している。リスナーとの絆が力になるわけだ。最後に、これからやってみたいことを聞いた。

「やっぱり生放送で、『ラジオから流れている音楽番組はこんなにおもしろいんだ』というのを、まだまだ追求したいです」

先にも触れたが、音楽を取り巻く環境が変わり、音楽番組を成功させるのは難しくなっている。秘策はあるのか。

「リスナーに『お前、電波の主役になれるチャンスをもっているからね』というのを伝えたいです。『メッセージが読まれてリクエストがかかれば、その時間はお前のものだぞ』って。あと、『君が知らなかった時代の文化かもしれないけど、今の君にはピッカピカに新しいものかもしれないよ』って」

ラジオの根底に流れるものは、道具や世代に影響されることはない。赤坂は続ける。

「ウルフマン・ジャックと約束したように、時計の針が重なったらいつでもしゃべり出せるように準備しておきたいですね。『俺たちがやってるのはハッピービジネスだから。24時間ストレスを抱えて生きているのはきつい。だけど、俺たちがしゃべってる時間だけは、ハッピー・ゴー・ラッキーな気持ちにさせてやらないと。ナーバスなことは見えないところでみんな抱えている。少しでもそれをプッシュできるような状態でマイクの前に立てるんだったらこんな幸せな仕事ないぜ』って」

マイクの前とラジオ、パソコン、スマートフォンの前とがつながっている限り、赤坂はしゃべることをやめないだろう。

【コラム】TOKYO FM開局25周年を祝して、25時間生放送をNYからON AIR! そしてウルフマン・ジャックと…

写真提供:赤坂泰彦
写真提供:赤坂泰彦

1995年、この25周年を記念すべき企画として、赤坂泰彦に白羽の矢が立った。赤坂は、「ラジオはやっぱり生でしょ。ならば25時間生放送をやればいいじゃないですか」と本気を示した。赤坂が本気ならば、NYでと話が進み実現。東京のスタッフたちもNYからの生放送を支えるべく、テーマに沿った取材を敢行。今企画の取材時にその思い出話と感謝の気持ちを当時のスタッフたちへ赤坂は伝えていた。写真は生放送時の思い出スナップとウルフマン・ジャックとの2ショット。ジョン・レノンの悲劇が起こったダコタ・ハウス、ジェームズ・ディーンが住んでいたアパートなど、スタジオを飛び出したロケ取材を敢行。特にダコタ・ハウス取材時にかけた「イマジン」に涙したリスナーも多かったはず。そして極めつけは、ウルフマン・ジャックとのDJバトルを赤坂は実現させた! 映画『アメリカン・グラフィティ』に出演した際の彼の言葉“Get Your Ass In Gear !“(ケツ上げて、ギア入れていこうぜ!)は、少年時代から赤坂の心に刻まれている座右の銘だ。

|PROFILE| 赤坂泰彦/あかさかやすひこ

昭和34年生まれ。バンドデビュー後、音楽知識やトーク力が買われ、憧れのラジオDJの道を進む。JFN系『赤坂泰彦のミリオンナイツ~赤坂泰彦のわがままリクエスト~』では、第31回(1993年度)ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞を受賞。フジテレビ系『夢がMORI MORI』、日本テレビ系『THE夜もヒッパレ』、フジテレビ系『タモリのボキャブラ天国』、日本テレビ系『『KDDI presents Music Lovers ~一夜限りのスペシャルライブ~』など、数多くのテレビ番組に出演。現在もラジオでNHK-FM『ラジオマンジャック』(土曜16:00 ~18:00)を担当している。

(出典/「昭和50年男 2023年11月号 Vol.025」)

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昭和50(1975)年生まれの男性に向けて、「ただ懐かしむだけでなく、ノスタルジックな共感や情熱を、明日を生きる活力に変える」をテーマに、同世代ならではのアレコレを振り返ります。多彩なインタビューも掲載。
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