雑誌「2nd」の看板スタイリスト・吉村祥吾の「撮影前夜、事務所にて」第4回

『セカンド』の看板スタイリスト吉村祥吾さんが一体のコーディネイトを組むまでの、理論と感覚が入り混じる紆余曲折を、文字化するスタイリングドキュメンタリー第4回。前回はこちら。

スタイリスト・吉村祥吾さん|1986年生まれ。2016年より『セカンド』で継続的にスタイリン グを担当。普段着のマイルールは「TPOに合わせて、靴から決める」

テイクアイビーらしい可愛らしさを演出

今回語ってもらったのは 今号P76のコーディネイト。「エドウイン」の新作コーデュロイパンツの紹介ページにて登場。可愛げを意識したヘビーデューティアイビーなスタイリング

編集部 今回は、「エドウイン」のパンツの紹介ページからです。

吉村 同じ形のパンツを、素材違いで二本紹介する企画で、デニムパンツは、ネイビーブレザーを使ったモダンアメトラ。コーデュロイはヘビーデューティ(以下、HD)アイビーというテーマで対比して、『TAKE IVY』のひとコマのようなビジュアルにしようと、打ち合わせで決まりました。

編集部 今回取り上げるのは二本のうちのコーデュロイというわけですね。HDと言っても、色々あると思いますが。

吉村 いわゆる「タフなアイテム」の中でも、コーデュロイパンツに合わせる前提で考えた時に、ツイードのノーフォークジャケットやM‒65などは武骨すぎる。今回はテイクアイビーらしい可愛らしさを出したかったので、レトロなマウンテンパーカにしました。

編集部 インナーは王道の、クリケットセーターにキャンディストライプのBDシャツですね。

吉村 それ以外をHDなアイテムにしたので、インナーは基本的なアイビーの合わせにしました。胸元はニットタイもいいですが、今回はモデルがファニーな雰囲気だったので、タイドアップだと上品すぎると思って、男らしくしました。あとは、シャギードッグセーターの選択肢もありました。ロクヨンクロスのカサっとした質感に、粗めのセーターは馴染みがいいですが、コーデュロイパンツに合わせると、とたんに野暮ったく見えてくる。それはそれで好きですが、着る人を選ぶのと、今回のテーマには合わず。もしシャギードッグなどを着る時は、グレーフランネルのトラウザーズなどが上品で合わせやすいと思います。

編集部 しかし、パラブーツのゴツゴツした感じは、やっぱりHDな服によく合いますね。

吉村 そうですね。例えば、暑い日にTシャツやハイゲージニット一枚に、テーパードパンツ+ボリュームのあるシューズを合わせると、やたら足だけ大きいバランスになってしまうんですが、上半身と、靴や小物類のボリュームを合わせると、コーディネイトがまとまりやすいです。

編集部 夏はTシャツにサンダル、冬はアウターにブーツなど、いつも自然にやっている事は、実は理にかなっているんですね。

吉村 足元が大きくなると、アメカジっぽいAラインになります。逆にアノラックやスウェット、ショーツ、素足でローファーなど、上半身にボリュームがくるVラインの方が、アイビーやプレッピーらしいバランスにしやすいです。

編集部 たしかにロールアップして素足にローファーなどもよく見ますよね。

吉村 このコーディネイトも、もしパンツの裾幅が広かったらダボっとした印象になると思います。「エドウイン」のコーデュロイパンツは微テーパードと細畝が上品な雰囲気もあって、トラッドなアイテムと合わせやすかったですね。

(出典/2nd 2025年11月号 Vol.214」)

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

金子ノブアキが着る【REDKAP × FREAK’S STORE】

  • 2026.10.21

長い歴史を持つワークウエアブランド〈レッドキャップ〉と〈フリークス ストア〉のコラボアイテムを金子ノブアキが今の感覚で着こなす。年齢を重ねたからこそ楽しめる服のこと、ブランドが持つ哲学のこと、そしてこれから大切にしていきたいこと。45歳を迎えた金子さんに、ファッションと生き方について話を聞いた。 タ...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

HISTORY OF B.V.D. 着心地を追求した150年

  • 2026.10.20

1876年、ニューヨークで誕生したB.V.D.。風を通すゆったりとした肌着から、水着、街や休日を彩るシャツまで。その歩みを貫くのは、日々を心地よく過ごすための工夫だ。時代ごとの広告や製品を手がかりに、着心地を追求してきた150年をたどる。 HISTORY OF B.V.D. 1876年 ニューヨーク...

世界最高峰のニットメーカー「JOHN SMEDLEY」が編むもの。

  • 2026.10.20

イングランド中部、リーミルズの自社工場で240年以上前からニットウエアを作り続ける〈ジョン スメドレー〉。1784年に創業した同ブランドが編んできた歴史と伝統が息づく場所で彼らが編むものとは。 240年の伝統と魂が息づくファクトリー 英国のトラッドブランドとして群を抜く歴史を持つのが〈ジョン スメド...

Pick Up おすすめ記事

原毛から生地まで。一貫生産を守る英国生地の名門「ムーン」とは?

  • 2026.10.19

服を突き詰めていくと辿り着くのが生地。トラッド好きなら一度は耳にしたことがあるであろう英国の名門が「ムーン」だ。羊毛から紡績、染色、織布を一貫して行う英国最後の生地メーカーが誇る伝統のモノづくりに迫る。(写真は、生地の製造において重要な“織り”の工程。タテ糸とヨコ糸をゆっくりと交差させ、チェック柄が...

「BEORMA」140年の伝統を受け継ぐ、英国屈指のレザークラフト

  • 2026.10.21

英国トラッドを語るうえで欠かすことのできない存在がレザークラフトだ。140年の歴史とクラフトマンシップを受け継ぎ、現代のスタイルにも馴染む唯一無二のプロダクトを生み出す〈べオーマ〉は、その筆頭となりうる存在だ。 熟練職人の魂宿る伝統のレザークラフト 英国中部の小さな町・ウォルソール。革加工・馬具産業...

世界最高峰のニットメーカー「JOHN SMEDLEY」が編むもの。

  • 2026.10.20

イングランド中部、リーミルズの自社工場で240年以上前からニットウエアを作り続ける〈ジョン スメドレー〉。1784年に創業した同ブランドが編んできた歴史と伝統が息づく場所で彼らが編むものとは。 240年の伝統と魂が息づくファクトリー 英国のトラッドブランドとして群を抜く歴史を持つのが〈ジョン スメド...

メイド・イン・ノーサンプトンを貫く英国靴の筆頭「Crockett & Jones」のモノづくり

  • 2026.10.21

革靴の聖地であるノーサンプトンにて1879年に初声をあげた〈クロケット&ジョーンズ〉。英国靴を語る上で欠かすことのできない同ブランドのモノづくりの現場に足を運んだ。 一足の革靴に宿る147年の歴史と誇り 革靴産業の一大拠点として名を馳せる英国・ノーサンプトン。中世から靴職人が集まり、17世紀には軍用...

東洋エンタープライズが手がける「ゴールド」。高品質な素材選びに一切の妥協なし。

  • 2026.10.20

1965年に創業した日本屈指の老舗メーカー東洋エンタープライズ社が手がける〈ゴールド〉。同社が得意とするヴィンテージへの膨大な知見と技術力の高さを活かしつつも上質にモダナイズしたものづくりに定評がある。着用時のシルエットはもちろん、高品質な素材選びに一切の妥協をしないこと。それこそがシンプルな服に深...