書類、名刺、レシートなどすべてデータ化 リモートワークの必需品 ScanSnap iX2500

心配されたスマホ新法の運用だが、我々アップルファンにとって最悪の事態は避けられたようだ

公正取引委員会が開催した『第2回デジタル競争グローバルフォーラム』に、アップルの競争法・規制統括シニアディレクターであるショーン・ディロン(Sean Dillon)氏が登壇し、スマホ新法の施行状況について語った。それによると、我々が心配していたような事態にはなっていなさそうだ。

第2回デジタル競争グローバルフォーラム
https://www.jftc.go.jp/dk/digital/globalforum2026/

機能が制限されるような事態は避けられたようだ

昨年12月に施行された『スマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)』は欧州のDMA(デジタル市場法)の影響を受けて作られており、状況によっては、アップル製品の安全性が低下し、新機能が日本には提供されない……というような事態になる可能性があった。事実、欧州では『ライブ翻訳』や『iPhoneミラーリング』の機能はローンチされていない。

『スマホ新法』は、本当に国民のため? App Storeの安全が破壊されると困るのは僕ら

『スマホ新法』は、本当に国民のため? App Storeの安全が破壊されると困るのは僕ら

2026年08月28日

このまま施行されるの?——スマホ新法と“公正”の間にある不思議なねじれ

このまま施行されるの?——スマホ新法と“公正”の間にある不思議なねじれ

2026年08月28日

アップルが『スマホ新法』への対応を発表

アップルが『スマホ新法』への対応を発表

2026年08月28日

EUはひたすらシリコンバレー企業の競争力を低下させようと制限をかけている。勝負に負けるならEU圏内だけでもルールを変えようというわけだ。そのためには、安全性やユーザーの利便性を損なっても仕方がない……という態度だ。日本がそれに倣う必要はまったくないのだが、なぜだか海外企業に制限を加えることを一定支持する日本企業はあるようで、その流れを受けてスマホ新法は施行されることになった。

法律とはいえ日本の場合現場レベルの『運用』が大切で、その運用次第で、さまざまなリスクが発生したり、制限が生まれたりする可能性があった。

日本の枠組みは、セキュリティ、プライバシー安全性を明確に認めている

その現場レベルの折衝のために、たびたび日本を訪れて政府諸機関と調整し続けていたのがディロン氏だ。

筆者は何度か取材でお会いしているが、常に落ち着いて語り、(たぶん、そのつもりはないのだろうが)何かを憂いているようなまなざしが印象的な紳士だ。もちろん、折衝の詳細は分からないが、日本でiPhoneの安全性に余計な制限がかかったり、新機能がローンチされなくなったり……という事態にならなかったのは、彼のおかげなのかもしれない。

ディロン氏はDMAについて「複雑で官僚主義に基づいて作られた現実に即さないルール」とし、「プライバシー保護の弱体化、セキュリティリスクの増大、製品の発売遅延や品質低下、ユーザーや開発者の混乱を招いている」とした。

対して日本のスマホ新法については、「日本はより実用的で慎重なアプローチを取っています。完璧ではありませんが、開発者やユーザーにとってDMAとは意味のある違いがあります。日本の枠組みは、セキュリティ、プライバシー安全性を正当な競争要素として明確に認めており、企業が子どもを守るための明確な保護措置も含まれています」と語っている。

AIなど将来の技術についても、DMAのように理不尽な制限によりユーザー保護を機能できなくすることはないという。

「競争ルールを使って、エコシステムや技術プラットフォームを無理に統一させ、ひとつのシステムを他のシステムに似せるように強制することには慎重であるべきだ」という発言は、AirDropなどのアップルの独自機能をAndroidなど他のデバイスにも公開するようにという制限のことだろう。

「巨額の投資を行って開発した独自機能を、公開しろというのはイノベーションを阻害する」とディロン氏は語った。その通りだと思う。

というわけで、ひとまずスマホ新法で我々のiPhoneのセキュリティが低下したり、新機能の追加が制限されるような事態は避けられたようである。

それぞれの企業の主張

ちなみに、この第2回デジタル競争グローバルフォーラムは、1月30日の終日にわたって3つのパネルディスカッションが行われた。ディロン氏が登壇したのは、『原則から実践へ〜未来に適合する競争施策』つまりスマホ新法がどう実践されたか、そしてこれからどうなるか……ということを語るセッション。

登壇者はディロン氏の他は、Googleのアジア太平洋地域 法規制政策 統括 フェリシティ・デイ氏、OpenAIの最高経済政策オフィサー アダム・コーエン氏や、OECDの競争課次長などだった。

デイ氏は非常に早口で「AIはまだまだ発展の初期段階で、その成長を法律で制限すべきではない」という主張をし、コーエン氏は「市場は適切に開かれて、自由な競争が行われるべきだ」と語っていた。なるほど、それぞれの企業に主張があるわけだ。

今後の大きなテーマとしてAIがあり、それはどのような法制度の下で運用されるべきなのかという議論が、今後続いていきそうである。

ともあれ、ひとまずはスマホ新法については、よいところに着地したようで、何よりだ。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
この記事を書いた人

村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

70を超えるレザーブランドが集う! 「Leathers Day TOKYO 2026」が五反田TOCビルで9月26・27日開催!

  • 2026.08.30

雑誌『Lightning』と兄弟誌『2nd』『CLUTCH Magazine』の3誌による、レザー好きのための大規模イベント。4度目を迎える今年は、初の東京会場での開催が決定! 普段なかなか手に取って実物を見ることができないブランドや、このイベントでしか手に入らないアイテムが揃う特別な2日間。さらに...

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

Pick Up おすすめ記事

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

70を超えるレザーブランドが集う! 「Leathers Day TOKYO 2026」が五反田TOCビルで9月26・27日開催!

  • 2026.08.30

雑誌『Lightning』と兄弟誌『2nd』『CLUTCH Magazine』の3誌による、レザー好きのための大規模イベント。4度目を迎える今年は、初の東京会場での開催が決定! 普段なかなか手に取って実物を見ることができないブランドや、このイベントでしか手に入らないアイテムが揃う特別な2日間。さらに...

毎日に、最良の定番。B.V.D.の「GOLD」は昔ながらの良さと、いま欲しいバランスを兼ね備えたTシャツ

  • 2026.09.16

長く愛されてきた定番には、変わらない理由がある。B.V.D.の「GOLD」もそのひとつ。肌着として培ってきた心地よさをそのままに、今の気分で一枚でも着られるリラックスフィットが加わった。昔ながらの良さと、いま欲しいバランス。その両方を備えた、新しい定番のかたちを見ていこう。 変わらない着心地にゆとり...