愛を持って着られるヴィンテージにカスタム。
大のヴィンテージ好きである一方で、フランスに留学していたこともあり、モードや欧州のサブカルチャーにも精通する小林さん。また縫製の技術を持ち、パターンも熟知しているため、そのセンスとテクニックで様々な古着を“魔改造”として称してカスタムしている。しかしそこにはしっかりとヴィンテージ愛がある。
「ヴィンテージ好きとしてハサミを入れてしまうことに躊躇はあったのですが、着られなくなってしまったものもあり、宝の持ち腐れだと。それなら今の視点で着られるように、改良しようと思ったのがきっかけ。着られるヴィンテージを魔改造するようなことは避けています。
当初は自分だけで楽しんでいたのですが、ディーラーさんからの要望もあって、不定期ですが、お客様の要望を繁栄した魔改造イベントを行っているんです。ありがたいことに毎回、完売するのですが、すべて自身でやるので大変なんです(苦笑)」
旧き悪きを旧きよきに改良する。
ヴィンテージデニムがモダンなフレアに!
サイズアウトしてしまった517の66モデルをバギーブーツカットシルエットにモディファイした力作。アウトシームはそのままに、インシームを解き、デニム生地を足すことで、バギーシルエットに変更。もともとのブーツカットのシルエットも活かしている。
魔改造の経験を活かした加工モデル。
オーベルジュの加工デニムは、今シーズンにリリースされたスペシャルアイテム。カート・コバーンが愛用していたデニムからインスパイアされたリペアを施している。オリジナルは上から叩いているが、酷似した生地を裏から当てることで強度を高めた仕様にしている。8万5800円
’50sのニットの弱点を改良。
雰囲気は抜群であるが、サイズ感やチクチクする素材感がウィークポイントである’50sのニット。サイドに同色のニットは継ぎ足し、肌が当たる首元のリブを交換することで、すべてのウィークポイントを改善。着られなくなってしまった古着を蘇らせた。
’90sの復刻501XXをモダンに仕上げる。
近年、プライスが上がっている’90年代のバレンシア工場の501XXをリメイク。あえて前後で異なる個体をドッキングして、ウエストやシルエットをワイドに再構築した小林さんならではのアイディアが光る1本。膝部分にもダメージ加工をしており、てんこ盛りの内容。
ポケットを古生地で洒落たリペア!
フランスのモールスキンを用いたオーバーオールは、朽ちる美しさを体現したようなエイジング。フロントとバックのポケットが取れてしまったので、ヴィンテージの生地を使った再構築。まるで当時にリペアされたような雰囲気に仕上げている。
王道ストレートをテーパードに!
ベースはバレンシア工場の501XXだが、テーパードシルエットに魔改造したもの。またウエストを継ぎ足しており、それもアクセントになっている。一見、地味に見えるカスタムであるが、イベントでは一番人気だそう。
【問い合わせ】
ホワイト代官山
TEL03-3770-5931
https://auberge.shop
※情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning 2024年2月号 Vol.358」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/K.Hayashi 林和也
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