地道な営業努力で活気のある老舗食堂。
創業は1950年。古い店舗を記憶しているが、だいぶ前に綺麗に改装し、今では外国人観光客向けに英語メニューも置く。昼も夜も大変な賑わいで、そそくさと定食を食べて帰るおばちゃんもいれば、競馬新聞片手に酎ハイを飲んで気焔を吐くおいちゃんもいる。中学時分から浅草の名画座に通い詰め、この雰囲気には慣れっこだが、にしても最近、若い客が増えた。
浅草が甦ったおかげだ。でも、地道な経営努力が実を結んだ成果とも言える。100種類以上のメニューでも一番人気はいり豚。先代は戦前、同じ台東区の三筋で食堂を経営しており、その頃からのメニューのようだ。薄切り肉で作ったポークチャップといった体で、自作のマヨネーズ使用のポテサラと合わせ食いをすると、下町洋食の醍醐味が感得できるという寸法だ。レモンハイや赤ワインに合う。
「水口食堂」の人気メニュー。
壁の満艦飾のメニューに心躍る。中でもいり豚とあじフライ(480円)は必食。前者は甘酸っぱさの中に自家製のタレが薫り、後者は身が厚いあじがサクサクの衣に包まれる。
見た目が美しいまぐろ刺身(1200円)は、創業以来ずっと手ごろな価格で提供してきた。
同店オリジナルのいり豚(580円)は注文からスグに完成する。オリジナルのソースがどのような味かご賞味あれ。
【DATA】
水口食堂
東京都台東区浅草2-4-9
TEL03-3844-2725
営業/10時~20時半
休み/水曜
※値段など情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/別冊Lightning Vol.209「TOKYOノスタルジック横丁」)
Text/ R.Suzuki 鈴木隆祐 Y.Takeuchi 竹内佑騎 Photo/ A.Kuwayama 桑山章 Y.Amino 網野貴香
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