「ホープスモア」代表・福嶋紀彦さん
ブーツ好きが高じて、2010年に東京・三宿にユーズドブーツ専門店「ホープスモア」をオープン。ヴィンテージ・レッドウィングの知識の深さはまさに世界有数で、ショップには日本はもとより世界から人が訪れる。
【楽しみ方①】年代によって全く違うデザインを楽しむ。
「ホープスモアでは、1990年代のレッドウィングをメインに、3000足近くのストックがあります」と福嶋さん。多くの旧いレッドウィングを見てきただけあり、その知識は相当なもの。
「当時のデッドストックなども扱っていますので、それを買って履き込むのも楽しいですよ。いまでは手に入らないモデルや、いまとは革色や革質の違うモデルもありますから、昔のモデルならではのエイジングが楽しめると思います」
【楽しみ方②】アイリッシュセッターで実証! オロラセットは年代でこんなに違う!
「一口にオロラセットと言っても、黄色がかった色味のものや、赤の強いものもあり、バラバラなんです。こんな違いに注目するのも楽しいですよ」と福嶋さん。
ハンティングブーツとして1952年に発売された8インチ丈の♯877の人気を受け、6インチ丈でリリースされたのが♯875。当時のオロラセットはゴールドの色調が強く、そのカラーがアイリッシュセッターの由来ともなるのだが、オロラセットレザーは年代や個体によっても色の振れ幅が大きく、オレンジがかったものや赤茶が強いものまで、様々存在している。難しいことは考えず、自分好みのオロラセットを手にしてみるのもいいかも。
【楽しみ方③】エンジニアブーツ(PT91)に見る、茶芯の違いの面白さ。
♯2268エンジニア(PT91)の茶芯の違いについてみていきたい。上の2足が’94年の♯2268、下の2足がともに’98年の♯2268。明らかに革質と茶芯の出方が違うのがわかるだろう。福嶋さんによれば、通常、レッドウィングの革はS.B.フット社の革を使うが、’90年代前半には別のタンナー、フィスタ—フォーゲル社の革を使っていたという。上下ともに、左の写真が茶芯の出た状態だが、一口に茶芯と言っても、出方や風合いは全く異なるのだ。
「茶芯が多いということでPT91は人気ですが、’90年代前半と後半とでは、明らかに革質が違い、芯の出方が違うんです。調べたところによると、どうやら’90年代前半の革はタンナーが違うらしい。ブーツを履くのも楽しいですが、こうした謎を調べるのも楽しいですよ(笑)」
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(出典/「Ligthning 2021年12月号 Vol.332」)
Text/T.Ogawa 小川高寛 Photo/S.Kai 甲斐俊一郎
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