プロの知識と技術による工業製品としての傑作
市場で流通されるパーツを、カタログからチョイスして丁寧に組み上げる「メカニック」と、鉄を叩き、溶接を行い、美しいタンクやフレームを創り上げる「カスタム ビルダー」、そして何もないゼロの状態から設計図面を引き、素材やおおよその形状を決め、オリジナルパーツや内燃機そのものを生み出す「エンジニア」……これらは言うまでもなく求められる知識や技術などが、それぞれで大きく異なるのだが、世間一般的な感覚では、その線引きを明確にイメージできる人はおそらく少ないのではないだろうか。
実際、この『スーパーXR』を生み出したZAK柴崎という人物も油にまみれた己の手でスパナを回すメカニックとしての一面と、旋盤や工作機械の前に立ち、溶接行うカスタム ビルダーとしての顔を見せるが、おそらくハイレベルなエンジニアとしての評価は“正当に”受けていないように思う。
たとえば「ツインキャブ」に仕上げられたマシンが、目の前に2台あるとしよう。それらは雑誌のグラビアでは同じように見えるだろうが、“スタイルだけ”のものと“工学体見地に基づいた”ものでは明らかに違う。どんなに表面を取り繕うとも走らせれば答えがハッキリと出るのがバイクだ。
例えばこのページに登場するマシンにしても「エンジンはスーパーXRを搭載し、キャブはFCRを二連でセットし」と、よくあるカスタムページ的な紹介に終始することもできるのだが、しかし、その真髄の部分を掘り起こそうとすれば、それこそ膨大なページ数が必要となる。例えばポートのデザインや燃焼室の形状、バルブ径やスプリングレート、ロッカージオメトリーにカムタイミングのことなどを書き連ねると、それこそ情報が膨大になり、きっと多くの人から理解は得られない。しかし、ただひとつ言えるのは、そうした目に見えない精度の集積こそが、量産車開発の最前線に立つ大手メーカーのトップエンジニアの心を震わせたという事実だ。グラビアの美しさに惑わされず内燃機としての純粋な機能美を見抜いたプロの審美眼が、このスーパーXRが単なるカスタムバイクではなく世界に類を見ない「工業製品としての傑作」であることを証明する。無論、走らせればその魅力は誰にでも伝わる堪能に満ちてる。
XR1000を起点としながら性能も信頼性も別モノといえる“スーパー”なマシン……そこに宿るのはエンジニアの凄みである。
SUNDANCE Super XR1200-5|パフォーマンスとスタイル、2つの要素を高次元で両立するメーカーレベルのクオリティ

スイングアームのピボット位置を下方へ移設することで、十分な車高を確保しつつ、サスペンションが正しく稼働するよう最適化が施された車体まわり。フルストローク時にフロントスプロケット、ピボット、リアアクスルの3軸が一直線に並ぶというサス・ディメンションの鉄則を、このマシンは当然のごとく遵守している。こうしたモーターサイクルとしての至極真っ当な作り込みこそが、車体全体から漂う凛とした空気感の正体か。

上下に薄い形状のアルミ製スリムスタータンクとフラットトラックシートという外装ゆえ、マフラーの迫力が際立つように見えるサイドビュー。すべてのパーツがスタイルアップのみならず車体の軽量化にも貢献する。

トリプルおよびインナースプリングには当然トラックテックを採用。高トルクなスーパーXRの走りを強靭に受け止める、高次元な剛性と追従性を誇る。

5速スポーツスターの腰下にアルミ製ビレットシリンダーとクロスフロー・ヘッドを組み合わせたエンジンには当然、デュアルでサンダンスFCRをセット。爽快な加速を生む。

ハンドルはサンダンス製フェザータッチレバーを配したスーパーバー。視認性に優れたエースウェル製オールインワンメーターにより、あらゆる面で機能的なコクピットを構築。

シートは高いホールド性のバックスキン表皮のワンオフ。オイルタンクはサンダンス製アルミバレルを選択。ETCケースまでが同系色に塗装される凝りようだ。

マフラーはサンダンス製アルミサイレンサーを装着。純正比で半分以下となる2.5kgの重量は、高い排気効率と共に車体の軽量化と重量バランスの補正にも貢献する。

リアホイールはサンダンス/エンケイの17インチを装着。チェーンとダンパースプロケも同社製パーツで固めてられておりプロを唸らせる至極真っ当な駆動系を構築する。

マウント部がエキセン状ゆえ、微細なポジション設定を可能とするサンダンス製バックステップ。可動部にはベアリングを採用し、ライディング時に確実な作動性を誇る。
(出典/「
text&photo/M.Watanabe 渡辺まこと 取材協力/サンダンスエンタープライズ TEL03-5450-7720 https://www.sundance.co.jp
- 1
- 2