大手メーカーの技術者を魅了し、唸らせる比類なき完成度
バイクの価値を語る上で、評価の基準となるもの──言うまでもなくそれは、人によってさまざまだろう。例えばオーバー300キロの速度に絶対的な価値を求める者もいれば、静寂な快適性こそがすべてという者もいる。燃費やコスト、スタイルなど「物差し」となる基準はそれこそ千差万別にあるが、やはり乗り物である以上、『操る者に興奮を与える』ことも重要なファクターだろう。
ちなみにここに紹介するマシン、そのオーナーは、とあるメーカーで辣腕を振るうトップエンジニアなのだが、彼が同じ技術者として衝撃を受けた存在がスーパーXRだった。立場上、勤務するメーカーや所属部署などをここで明かすわけにはいかないが、文字通りのトップエンジニアが、技術に生きる同じプロとして、OHV45度Vツインという前時代的な構造のエンジンでありながら、エネルギーを無駄なく完全燃焼させ、効率よくパワーへと変換するこのスーパーXRの心臓部に心底、感銘を受けたという。
それをメーカーではない一介のショップであるサンダンスのZAK柴崎という人物が創り上げたこと。その事実がいかに凄いことであるかは、多くの人にとってピンとこないのかもしれないが、しかし工業製品として見ても、こうしたものは、実は世界的に類を見ない。『エンジンを創造する』という行為は、それほどまでに稀有なことであり、まさに険しき山の頂といえるものだ。既存のパーツを集めて組み上げるカスタムの領域とは、根底から次元が異なる。
それを果たすには工学的な知識やそれを具現化する技術はもとより、ある種の『愛情』と『狂気』がなければ成し得ない。ハーレーの世界といえばチョッパーに象徴されるようにスタイルに評価が集まりがちだが、連綿と続く4カムの血統においては、やはり真に価値として語られるべきは『機能美』だろう。工学の鉄則を遵守した車体設計と、 それを足元から支える至極真っ当な駆動系の作り込み。このマシンにはそのすべてがある。
メーカーの技術者をも唸らせる至高のエンジニアリングと情熱が息づき、結実したこのマシン……、やはり頂点と呼ぶに相応しい。


SUNDANCE Super XR1200-5

外観こそ“XR1000”の面影を色濃く残すものの、その内部パーツはまったくの別次元へと昇華を遂げているスーパーXR1200-5。燃焼室やポート形状、バルブ径、さらにはロッカージオメトリーやアーム比に至るまで、すべてがZAK柴崎氏の手による独自設計であり、そのスペックは1200㏄の排気量から後軸100㎰ /5200~7000rpmの鋭いパワーと、13㎏ -m/4800rpmという極太のトルクを発揮。その上で高い耐久性とリッター25㎞を超える好燃費、そして何より乗り手を飽きさせない官能の走りを高次元で両立させる。1995年の登場以来、色褪せない文字通りの名機である。
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