キャブとインジェクションって何!? 燃料を供給する手段が 両者は根本的に違う!!【ハーレー乗りの素朴な疑問】

現行モデルに採用されているのは「インジェクション(以下、EFI)」方式だが、2006年以前のモデルはそのほとんどが「キャブレター」方式で、これらはどちらも“エンジンに燃料を供給するシステム”を意味している。ハーレーの中古車を購入しようと考えた時、高年式車を選べば自然とEFIになるが、「キャブレターの方が面白いよ」なんて意見もあったりで、よくわからん‼ となりがち。そこで違いをしっかりと理解しておくことが大切だ。そもそも、ハーレーがEFIを採用した背景には排出ガス規制がある。排気ガスをクリーンにするには、エンジンに供給するガソリンの量を極限まで少なくしなけれれば難しい。そのため、エンジンが発生させる負圧任せでガソリンを吸い込ませていたキャブレター方式では限界が生じ、どの回転域、どんな環境でも必要最低限のガソリン量をコンピューターで完全に制御できるEFIに進化したというワケ。どちらにも特有の面白さがあり、選択はアナタ次第だ。

2006年まで採用された「キャブレター」

エンジンの負圧を利用し、空気と一緒にガソリンを吸わせる「気化装置」。近年のモデルは、1988年のスポーツスターを皮切りに、翌年ビッグツインもケーヒン製「CV」を採用。マイルドな特性だ。

エンジン内でピストンが下がった時に生じる負圧を利用して、キャブレター内のフロート室に貯められたガソリンを「ジェット」の穴から霧状にして吸い出す仕組み。低速域と中速域、高速域をつかさどる3種類のジェットがあり、これを交換することで調整。気圧や温度による空気中の酸素濃度の変化に追従できず、場所や季節で調子が変わることも。

エンジンの負圧でガソリンを吸い出す

排気行程でピストンが上昇したあと、吸気行程でピストンが下降するとエンジン内に空気を吸い込む負圧が発生。また、エアクリーナー側には大気圧がかかっているため、負圧と大気圧の圧力差によってキャブレターのメインボアに空気が流れる。

キャブに見立てた模型で実験

メインボアの空気を掃除機で吸引すると、ニードルジェットに見立てた縦のパイプを伝わって赤い水が吸い出され、細かい霧状になった。

【キャブの楽しみ方①】セッティング

各キャブレターメーカーに用意された穴の大きさが異なるジェットを交換して、ガソリンの量を調整。近年はシャシーダイナモ上でセッティング可能だが、実際に走行して調整することも珍しくない。調整のたびにキャブレターを分解する必要があるので手間はかかるものの、イジリ好きには楽しい行為でもある。

【キャプの楽しみ方②】キャブそのものを交換

ノーマルのCVキャブを調整する以外にも、本体そのものを交換するカスタムもメジャーな手法(写真はサンダンス/ケーヒン製FCR)。メーカーごとに性能やフィーリングが異なる他、ノーマルとはまったく違う乗り味になるのも醍醐味のひとつだ。

2007年以降全車に採用された「インジェクション(EFI)」

コンピューターで制御し、ポンプでガソリンをエンジンに送る「電子燃料噴射装置」のこと。2006年のダイナを皮切りに、翌年全車デルファイ製のEFIを採用。それ以前、一部のモデルにEFIが採用されていたが、これとは少し違うシステムだ。

コンピューター内のプログラムのもと、車体各部に設けられたセンサーから送られてくる最新情報から必要なガソリン量などを瞬時に算出し、エンジンを完全に制御するのがインジェクション。そのため気圧や温度変化の影響を受けにくく、常にエンジン性能を引き出せる他、キャブレター車のようにエンジン始動時にチョークを引く必要もない。

たくさんのセンサーからの情報をもとにエンジンをコントロール

EFI車には数多くのセンサーが備わっていて、そこから得られた膨大なデータから車体の状況をECMがモニタリング。ECM内のマップにもとづいてエンジンが今必要としているガソリン量や点火タイミングなどを判断し、エンジンをコントロールしている。

ECM内のマップで制御

燃料噴射量や点火時期など、項目ごとに作られた“命令プログラム”がマップ。これにもとづき、各センサーからモニタリングされた情報を照らし合わせて瞬時に今エンジンが必要としている燃料噴射量などを導き出し、コントロールしているのだ。

【EFIの楽しみ方】プロショップに依頼するのが基本

シャシーダイナモで走行時のデータを収集し、ECMとパソコンをつないでマップ内の燃料噴射量や空気吸入量、点火時期などの数値を補正していくことが一般的な“EFIチューニング”だ。素人には到底手が出せない内容であるため、プロショップに作業を依頼することがほとんど。また、マップの書き換えにはデバイスが必要で、現在はテクノリサーチ社の“ディレクトリンク”(写真)を用いるのが人気を集めている。

(出典/「CLUB HARLEY 2026年6月号」)

この記事を書いた人
ポイズン雨宮
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ポイズン雨宮

真性バイクオタ

単気筒や2気筒のいわゆる“エンスー的なバイク”が大好きな真性オタ。中でも70sアメリカを感じさせるモーターカルチャーを特に好む。XR1000と1969年型カマロを所有し、その維持に四苦八苦しつつも実は喜んでいるドMでもある。カフェレーサー好きでもあり、フェザーベッドフレームのH-Dを作りたいと絶賛夢を膨らませ中。
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