ALL JAPAN LEATHER PRODUCTとは?
国産原皮を使用し、鞣し、縫製までの全工程を日本で行うジャパンレザーの素晴らしさを伝えるべく立ち上がったプロジェクト。記念すべき第1弾の革に選ばれたのは国産原皮の真骨頂ともいえる、国内外問わず他と比べて銀面が美しい北海道産黒毛和牛の地生。ただし基準を満たす原皮が集まるのは月にわずか30枚。この希少な特級革を日本の鞣し技術の粋を集めた、丈夫で靱やかなグローブレザー製法で仕上げる。完成したプロダクトは9月26、27日のレザーズデイでお披露目予定
【〜2026年7月上旬】これまでの振り返り
まずはこのALL JAPAN LEATHER PRODUCTのこれまでの取り組みをおさらい。原皮から鞣し、縫製、仕上げまでの全ての工程をジャパンメイドで完結させ、その魅力を伝えるべく立ち上がった彼らがどのようなプロセスを経て、レザージャケットの完成までに辿り着いたのか、その軌跡を振り返る。
1.原皮の調査

同プロジェクトのプロデューサーであるモヒカン小川が合流しての打ち合わせに先立ち、プロジェクトメンバー4名(和田商会・和田さん、三竹産業・麻生さん、リューグー・松本さん、湯浅皮革工業所・湯浅さん)は、原皮となる日本を代表する4種の国産牛を視察するべく、北海道(黒毛和種、ホルスタイン、ジャージー)、鹿児島県(黒毛和種)、熊本県(赤毛和種)、トカラ列島口之島(野生牛)を巡り、国内外の食肉センターまで足を運んだ。


2.事前打ち合わせ

ここからモヒカン小川も合流。白熱の議論の末、①靭やかな北海道産黒毛和牛を採用すること、②アメリカのワークブーツを代表するモデルを参考に赤みのある茶芯を目指すこと、③野球のグローブに使用されるグローブレザー(牛)の製法をベースにクロム鞣しがもたらす耐久性と柔軟性、ベジタブルタンニン鞣しがもたらす経年変化のふたつをブレンドしたコンビ鞣しを施すことの3点を決定。ほかにも革の厚みや革小物の製作についても話し合われた。


3.タンナー見学&革の確認

メンバーたちは、このプロジェクトの鞣しを担当する「湯浅皮革工業所」に集結。月にわずか30枚しか集まらない北海道産黒毛和牛の特級地生が、赤みのある茶芯グローブレザーにどのように仕上がるのか。同タンナーの設備やコンビ鞣しの工程、熟練の職人による染料仕上げの様子などをじっくりと見学した。そして、仕上がった茶芯レザーを確認。打ち合わせの際に理想としていた通りの赤みのある茶芯レザーに仕上がり、革にハリコシがしっかりとありながらも柔軟性にも優れる唯一無二の革が完成した姿を見届けた。その仕上がりにメンバーたちは大満足の様子であった。



【2026年8月上旬】完成したレザージャケットの確認

プロジェクトメンバーが一丸となって開発した茶芯レザーを使用したレザージャケットがついに完成。一報を受けたモヒカン小川はすぐさまサンプルをチェックしに浅草・三竹産業のオフィスへと駆けつけた。その仕上がりはいかに! 実際に袖を通し、細かい仕様や革のクオリティを確認した。

まずは革の確認。北海道産黒毛和牛のきめ細かく美しい銀面、グローブレザーならではのハリと柔軟性に一同ご満悦の様子だ。また、松本さんから同プロジェクトがプロデュースするレザーを“HIDEN(秘伝)”と名づけることを発表。日本の農家は命をいただくことへの礼儀としていずれ肉になる牛に名前をつけ、その名を呼びながら、家族のように育てるという文化に敬意を示してのことだ。大切に育てられた命が、世代を超えて生き続けていくという願いが込められている。

この日の会合の場となった三竹産業は、日本製・ハンドメイドにこだわり創業100年を超える老舗革製品メーカー。9月26、27日(土日)に東京・TOC五反田展示場(TOC GOTANDA EXHIBITION HALL)で開催されるレザーズデイに向けて、この特別な茶芯レザーを使ったベルトや財布などの革小物を製作することが決まり、職人たちの作業にも熱が入っていた。



革の確認をしたところで、ついに袖を通す。「グローブレザーの程よい“硬さ”がたまらないね! 最初は少し硬くても着用を重ねることでどんどん身体に馴染んでいく姿が想像できる。これは育て甲斐のある革ジャンだな〜」とモヒカン小川。1930年代のスポーツジャケットを彷彿とさせるボールチェーンやハトメジッパーなどのディテールに大満足の様子だった。このジャケットは日本の職人が一着ずつ仕立てるアトリエブランド「TERRAS ARMORS」が製作している。そして、同プロジェクトが手がけた第1弾となるこの革の名前が松本さんから発表され……。
使い込むことで黒の中から赤茶の茶芯が顔を出す。その革の名は「YOAKE」
ALL JAPAN LEATHER PRODUCTがプロデュースする革「HIDEN」の第1弾。その名は「YOAKE」だ。エイジングによって漆黒の表面から赤みがかった茶芯が顔を出す。その様子を夜が明け、朝焼けが空を染める情景に例えて名付けられた。これにはロマンを感じざるを得ない。この革ジャンを着てともに夜明けを迎えようではないか!




レザーズデイに全員集合!
革ジャンの歴史における1930年代は、それまで主流だったコサックジャケットから、馬革を用いたワークウエアの要素が強いスポーツジャケットへと移り変わる過渡期にあたる。その当時の空気感をベースに、着用時の動きに沿わせて身頃と袖の革の地の目を横方向へ伸びるよう向きを揃えて可動域を担保し、当時の武骨な雰囲気を演出するための1インチ7針の運針、身体へと馴染ませるためにカーブ部分には細かな切り込みを入れるなど、細部にまで抜かりがない。アメリカ製のTARONジッパーやボールチェーン、本水牛のフィッシュアイボタンなどの部材にも徹底的にこだわり、身頃の裏地には足袋にも用いられる丈夫な綿100%の「雲斎」と呼ばれる生地を採用。この渾身の1着をはじめ、この「YOAKE」を採用した様々なプロダクトが9月26、27日に開催される「レザーズデイ2026」で展示されるのでぜひ足を運び、この革に触れてみてほしい。
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photo/Makoto Tanaka 田中誠 text/Kihiro Minami 南樹広
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