ハーレーダビッドソンのVツインって何が違うの!? 旧いメカならではのメリットとは?

ハーレーが採用する【OVH(オーバーヘッドバルブ)方式の空冷Vツイン】というレイアウトは、なんと1936年から変わることなく採用し続けてきた伝統的レイアウト。その構造上、高回転化は難しいのだが、他のメーカーが当たり前のように採用しているOHC(オーバーヘッドカムシャフト)方式より構造がシンプルで整備性が高いというメリットがある。また、OHV方式の大排気量Vツインがもたらすフィーリングは、アメリカの道路環境はもとより、アメリカ人の趣向にもマッチし、今日まで多くのファンを生み出してきた。故に現在もこのシーラカンス的レイアウトにこだわり続けているワケだ。しかし、環境性能が求められる現代において、それは簡単なことではなく、ハーレー社の創意工夫があってこそ、今日まで生き残ることができたのだ。現在採用されているOHVエンジンは1936年の第1世代(ナックルヘッド)から数えて6世代目。排気ガスをクリーンにするための最新技術が数多く投入された、世界的にも非常に珍しい“ハイテクOHV”といえるだろう。

OHV方式の45度Vツインはこうして誕生した!! (超早送り)

1903 第1号機

単気筒でわずか3馬力

1909 MODEL5D

Vツイン化して排気量を拡大し7馬力にUP。

H-D初のVツイン。

1936 EL

OHVを採用して高出力化。

現在も採用する基本形が完成。

2017~ ミルウォーキーエイト|環境性能を追求した現代のVツイン

ハーレー社は1つのシリンダーヘッドに対し、吸気と排気のバルブをそれぞれ1つ配した「2バルブ」を長きに渡って採用してきたが、吸気と排気をそれぞれ2バルブ、つまり合計4バルブとしているのが現代のVツイン。前後のヘッドで計8バルブとなり、これが名前の由来にもなっている。

厳しさを増す排出ガス規制に対応させるべく進化した現代のOHV方式45度Vツイン。ガソリンを“完全に燃やし尽くす”ことを目的にツインプラグや4バルブを採用し、規制に適合させている。

空冷
走行風をフィンの間に通すことでエンジン熱を冷却する。近年のハーレーは排気量も大きいため大型のフィンを採用している

OHV
腰下にあるカムの動きをシリンダーヘッド上部にあるロッカーアームにプッシュロッド(棒)で伝達するバルブ駆動方式

狭角45度
1909年、1つのピンにピストンを2つ連結することで簡単に単気筒をVツイン化。その際にちょうどよかったのが狭角45度で、以来この角度を採用している

完全燃焼のための4バルブ&ツインプラグ化

“空気を横から吸い込む”ハーレーは、前後のシリンダーが空気を奪い合う上、2つの吸気バルブによって乱流が起きまくるのだが、乱流を利用して空気と燃料をよく混ぜ、完全燃焼に利用している。

熱対策のため油冷システムを採用

オイルクーラーを備え、排気ポートまわり(※上写真の青いライン)をオイルで冷却。現代のVツインはそれほど熱量が高いのだ。

2023~ ミルウォーキーエイトVVT121|進化した第2世代のM8エンジン

VVTエンジンは、回転数によってカムシャフトの動きを変化させることでバルブを開閉させるタイミングを変えるVVT機構を採用。第1世代よりも、さらに無駄なく燃料を完全に燃焼し尽くすためのもので、これによって燃費や低速トルクを向上させることが狙いだ。加えて、トラクションコントロールなどの電子制御系も大幅に進化し、より現代的なエンジンへと進化している。

一部のCVOモデルに搭載されているVVTエンジンは、排出ガス規制の「ユーロ5」がフェーズ2に移行したことに伴って登場。VVTは省略されたが、現在はすべてこのエンジンを採用する。

VVT(バリアブル・バルブ ・  タイミング)
調整可能なカムシャフトを採用し、バルブを開閉するタイミングをエンジン回転数などで変更。燃費のよさと低速トルクを両立する、近年各メーカーが採用している最新機構だ。

熱をもつ排気バルブをぐるっと1周するようにウォーターラインを設けて冷却効果を高めた他、インテーク側のポートを吸入しやしすい形状にすることでエアフローも向上している。

ミルウォーキーエイトにはこんなにバリエーションがある!!

117ci(1923㏄)

※24年までのソフテイルと26年までのツーリングに搭載

ボア×ストローク 103.5㎜×114.3㎜
圧縮比 10.2:1(ソフテイル)、10.3:1(ツーリング)
最大トルク 168Nm/3500rpm(ソフテイル)、175Nm/3500rpm(ツーリング)
最大出力 105HP/5020rpm(ソフテイル)、107HP/5020rpm(ツーリング)

121ハイアウトプット(1977㏄)

ボア×ストローク 103.5㎜×117.5㎜
圧縮比 11.4:1
最大トルク 193Nm/3750rpm
最大出力: 126HP/5020rpm

114ci(1868㏄)

ボア×ストローク 102㎜×114.3㎜
圧縮比 10.5:1
最大トルク 155Nm/3250rpm
最大出力 94HP/5020rpm

VVT121(1977㏄)

※STモデル以外のCVOに搭載

ボア×ストローク 103.5㎜×117.5㎜
圧縮比 11.4:1
最大トルク 185Nm/3500rpm
最大出力 115HP/5020rpm

107ci(1745㏄)

ボア×ストローク 100㎜×111.1㎜
圧縮比 10.0:1
最大トルク 139Nm/3500rpm
最大出力 82HP/5020rpm

117ci(1923㏄)

※25年以降のソフテイルに搭載

ボア×ストローク 103.5㎜×114.3㎜
圧縮比 10.3:1
最大トルク 173Nm/4500rpm(ハイアウトプット)、168Nm/3000rpm(カスタム)、156Nm/2750rpm(クラシック)
最大出力 114HP/5020rpm(ハイアウトプット)、103HP/5020rpm(カスタム)、91HP/5020rpm(クラシック)

(出典/「CLUB HARLEY 2026年6月号」)

この記事を書いた人
ポイズン雨宮
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ポイズン雨宮

真性バイクオタ

単気筒や2気筒のいわゆる“エンスー的なバイク”が大好きな真性オタ。中でも70sアメリカを感じさせるモーターカルチャーを特に好む。XR1000と1969年型カマロを所有し、その維持に四苦八苦しつつも実は喜んでいるドMでもある。カフェレーサー好きでもあり、フェザーベッドフレームのH-Dを作りたいと絶賛夢を膨らませ中。
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