ハーレー社を救った立役者!! ソフテイル誕生秘話。

1984年に誕生し、今年で40周年を迎えた長寿シリーズが「ソフテイル」だ。往年の「リジッドフレーム」のシルエットを忠実に再現したソフテイルフレームは、伝統的なクラシックスタイルはもちろん、チョッパーにも似合う、まさに革命的なモノだった。以降、40年という長きにわたって愛され続けてきた理由をさまざまな視点からあらためてひも解いてみよう。今回はハーレー社にとってソフテイルがどんな存在なのか、誕生秘話をお届けしよう。

ハーレーの命運を背負って誕生したソフテイル

1984年、新開発のOHVエンジン「エボリューション」を搭載し、まったく新しいモデルとして「FXSTソフテイル」がデビューした。これはハーレー社にとって、とても大きな挑戦だった。というのも、大資本であったAMF傘下から離れたばかりのハーレー社は経営破綻寸前の状態。それまでのハーレー社であれば新型エンジンだけでも十分な起爆剤といえたが、これをさらに新型モデルに搭載しようというのだからかなりのチャレンジだ。しかし、ソフテイルの開発チームは少人数で、わずかな予算しか与えられなかった。当時のハーレー社はそれだけひっ迫した状態だったのだろう。

このプロジェクトにあたって白羽の矢が立ったのが、カスタムビルダー、ビル・デイビスが1970年代に開発した「サブショック」。これはリアサスペンションのないリジッドフレーム時代のシンプルな造形を、リアショックを備えたうえで再現したもの。1957年に絶版となったため、80年代当時はすでにかなり旧いものだったが、カスタムシーンではシンプルな造形から重宝されていたのだ。とはいえリアショックがないために乗り心地は悪く、ソフテイルフレームはまさに当時のカスタム好きが熱望していたものだった。このライセンスを買い上げて誕生したのが、FXSTソフテイルというワケだ。

もともとカスタムシーンから誕生したフレームだけに、第1号車には本格チョッパーのスタイルが与えられた。するとコレが大ヒット。以降、ハーレー社はこのフレームを使ったバリエーションモデルを次々に発表し、現在へと続く基盤を築いた。いわばハーレー社の救った救世主なのである。

“チョッパー=リジッドフレーム”という概念をブチ壊した

1950年代から1970年代にかけて流行した「チョッパー」は、たいてい旧式で価格が安く、構造的にもカスタムしやすいリジッドフレーム車がベース。しかし、そのシンプル極まりないスタイルこそが美しいと評価は高かった。だが、リアショックをもたないため乗り心地が悪く、見た目と乗り味を両立したモデルが求められていた。そうして誕生したのがビル・デイビス氏による「サブショック(写真)」というワケだ。

1960年代のチョッパー

1984 FXSTソフテイル

サスペンションのないシンプルなリジッドフレームのシルエットを、リアショックを備えたうえで実現したのがカスタムビルダー、ビル・デイビス氏が開発し販売していたサブショックという社外フレーム。これに目をつけたハーレー社が、後にライセンスごと買い取って誕生したのが「FXSTソフテイル」というワケだ。1984年にチョッパーさながらのスタイルで登場するや、瞬く間に大ヒットした。

試作ソフテイルはサスがシート下に!!

ハーレー社はソフテイルを開発する際、およそ12種のプロトタイプを製作した。これはミルウォーキーにあるH-Dミュージアムに展示されているそのうちの1台で、シート下にリアショックを備えているのが特徴。外部からリアショックが見えてしまっている点や、シート下の馬蹄型のオイルタンク形状など、より“らしく見せる”うえでビル・デイビスが考案したサブショックは優れていたのだろう。

ソフテイルフレームは何が違う!?

リジッドフレーム風ながらサスペンションを備えているのが特徴で、“リジッド=ハードテイル”に対し、サスを備えて“ソフトなテイル”ということで「ソフテイル」の名がつけられた。リアショックを外側からまったく見えない位置に“隠す”ように配置し、スプリングが主張しないようフルカバードされている。

さまざまなバリエーションを追加し、さらに大ヒット!!

1984 FLSTヘリテイジ ソフテイル

ソフテイルフレームのシルエットを生かし、1950年代のハーレーを再現。チョッパーだけでなく純正スタイルにも違和感ないことを証明した。

1988 FXSTSスプリンガー ソフテイル

CADを駆使してスプリンガーフォークを再設計。油圧式ダンパーも備え、乗り心地まで追求しつつ、本格的チョッパースタイルを実現した。

1990 FLSTFファットボーイ

往年のハーレーらしいスタイルながらディッシュホイールなど、最新装備を組み合わせたカスタムモデル。初期型は爆撃機をイメージしていた。

2000 FXSTDソフテイル デュース

「ツインカム88B」エンジンに合わせて投入された新型。ストレッチタンクや丸みを帯びたフォークのアウターチューブなどで野暮ったさを排除。

(出典/「CLUB HARLEY 2024年10月号」)

この記事を書いた人
ポイズン雨宮
この記事を書いた人

ポイズン雨宮

真性バイクオタ

単気筒や2気筒のいわゆる“エンスー的なバイク”が大好きな真性オタ。中でも70sアメリカを感じさせるモーターカルチャーを特に好む。XR1000と1969年型カマロを所有し、その維持に四苦八苦しつつも実は喜んでいるドMでもある。カフェレーサー好きでもあり、フェザーベッドフレームのH-Dを作りたいと絶賛夢を膨らませ中。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「VINTAGE PEANUTS」が約10年ぶりに復刻! 「ウエアハウス」の新作Tシャツ一挙見せ!

  • 2026.09.08

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。 装いのアクセントにユニークなTシャツを! ウエアハウ...

70を超えるレザーブランドが集う! 「Leathers Day TOKYO 2026」が五反田TOCビルで9月26・27日開催!

  • 2026.08.30

雑誌『Lightning』と兄弟誌『2nd』『CLUTCH Magazine』の3誌による、レザー好きのための大規模イベント。4度目を迎える今年は、初の東京会場での開催が決定! 普段なかなか手に取って実物を見ることができないブランドや、このイベントでしか手に入らないアイテムが揃う特別な2日間。さらに...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

上海発・気鋭のアメカジブランド「REAL SIMONS」を知っているか?

  • 2026.08.30

近年アメカジが流行し、大きな発展を遂げている中国。同国で1984年に創業したレザーウエア工場の生産背景を元に2017年に始動したのが「リアル シモンズ」だ。ヴィンテージピースを現代的に再構築した高品質なプロダクトを手がける気鋭のブランドである。 元々は皆さんと同じ『Lightning』の読者だったん...

Pick Up おすすめ記事

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

上海発・気鋭のアメカジブランド「REAL SIMONS」を知っているか?

  • 2026.08.30

近年アメカジが流行し、大きな発展を遂げている中国。同国で1984年に創業したレザーウエア工場の生産背景を元に2017年に始動したのが「リアル シモンズ」だ。ヴィンテージピースを現代的に再構築した高品質なプロダクトを手がける気鋭のブランドである。 元々は皆さんと同じ『Lightning』の読者だったん...

「VINTAGE PEANUTS」が約10年ぶりに復刻! 「ウエアハウス」の新作Tシャツ一挙見せ!

  • 2026.09.08

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。 装いのアクセントにユニークなTシャツを! ウエアハウ...

記念すべき第1弾の革をモヒカン小川がプロデュース! AJLP活動報告。

  • 2026.09.01

ALL JAPAN LEATHER PRODUCT。略して「AJLP」なるビッグプロジェクトの活動報告。国産の原皮=地生(じなま)にこだわり、鞣しから縫製まですべてを日本で行う“オールジャパン”に価値を見出し、そのクオリティや魅力を伝えるべく動き出した革のプロたちのリアルドキュメンタリーである。同プ...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR