実を言うと、もともとバイク好きってわけじゃなかったんです。【H-D偏愛主義】

大学を卒業し、写真家を目指して東京(正確には神奈川)に残ってカメラマンのアシスタントをしたり、写真ギャラリーで展示をしたり、海外でバックパッカーみたいなことをしてみたりというフワフワした生活を送っていた、栃木生まれの26歳。写真家として大成したいとは思っていたものの、仕事をしなくては生きていけない。ということで、バリバリ働いている友人たちに遅れを取りながらも就職活動を始めた。

沼尾哲平|愛車のスポーツスターは、人生2台目のハーレー。いまは通勤と取材で乗るのがメインになってしまっているが、本当はひとりでロングツーリングに出かけたい

バイクじゃなくて「ハーレー」にハマった

クリエイティブな仕事がいいなという何となくな考えがあったので、出版関係を中心に当たってみるものの、ことごとく惨敗。ただ、そのうち1社に通り、入社することとなった。それが枻(エイ)出版社だった。当時の役員だった根本健さんとのサシでの圧迫面接で、これは絶対落ちたな、と思っていたところの合格だったので逆に大丈夫か? と思ってしまった。

枻では始め、根本さん直属の部署「編集推進部」という何をしているかわかりにくい部署に配属され、発行されている雑誌をウェブ記事にするためリライトなどをしていた。『クラブハーレー』との出会いはこのとき。編集部に行って直近の号と使用写真(当時はポジフィルム)を借りてきて、スキャナーでひたすらスキャン。記事を書いては、編集部で雨宮さんに校正してもらっていた。

そのころから神奈川県の厚木に住んでいたので世田谷の用賀まで通うにはなかなか遠い。そこでバイクの免許を取らせてほしいと上司に進言。バイク雑誌が中心の会社だったので、教習所に通うのを快くOKしてくれた。しかも業務中でも行っていいとのことで、かなりスムーズに中型免許を取得できた。

とはいっても別段バイクに興味があったわけではない。なんなら電車で旅をするのが好きだったし、学生時代も遊びに行くのはクルマか電車だったので、バイクに触れる機会がほとんどなかったのだ。

ウェブ記事を書いているうちになんとなく乗るならアメリカンかな、と思うようになり、免許取得後はホンダの「スティード」を買い、通勤で使うようになった。ちょうどそのころ、同じ部署の同期がどんどん他部署に配属されるようになっていき、僕もある日社長室に呼ばれた。

そこには社長と根本さん、当時クラブハーレーの編集長だったジャック高橋さんがおり、入室早々に「沼尾はクラブハーレー編集部に行ってくれ」といわれた。理由は最近バイクの免許を取ったらしいから、バイクに興味があるんだろう。ということだった。いまだから言うと、正直そこまで興味はなかった。通勤に使えて便利だな、ぐらいの感覚。それから先、ハーレー中心になるとは、このとき夢にも思っていなかった。

配属されてすぐは中免のままだったが、ハーレーを扱う以上、大型を取らなきゃということで、また業務中に教習所通い。無事に取得してからは試乗会から広報車の運搬、編集部で持っていたソフテイルカスタムに乗るなど、走る仕事が増えていった。ときにはツーリング企画で九州まで走ったり、試乗会で何十台も乗り換えて走行写真を撮ったり。また、カスタムショーに取材にいってカッコいいカスタムをたくさん見て、自分も乗ってみたいな。と思うようになり、だんだんとバイクというよりもハーレーという乗り物とハーレーを取り巻くカルチャーにハマっていったように思う。だから、バイク全般が好きな方には申し訳ないけれど、正直ハーレー以外のバイクは興味ないんです。

なんだかんだで200冊近く作っていると、正直飽きることはありました。でも続けられているのは、ハーレーというワンメーカーのバイクだけど、それを取り巻くカルチャーが常に新しいものであふれているからだと思う。だからネタ尽きないでしょ。

これからどこまで携われるか、先のことはわからないけれど、ハーレー乗りの皆さん、これからもお付き合いのほどを。

2010年1月号(Vol.103)はツーリング特集。ただ走るのでは企画が成立しないので、ハーレーにちなんでアメリカンなことをしようと、ハンバーガーで有名な佐世保を目指して走ろうという飲みながら考えたような企画を立て、なんなら3食全部ハンバーガーでもいいや、なんて勢いで出発。故・持木カメラマンのマーチに並走してもらいながら5日ぐらいかけて東京~佐世保を往復した。佐世保のログキットの店前で撮った写真が表紙を飾ったのもいい思い出。

クラブハーレー編集部に配属されて初めて編集に携わった2008年6月号(Vol.95)。はっきりとは覚えていないけど、確かテントの写真をひたすら集めた記憶がある。途中ライトニング編集部に在籍していた期間もあるけれど、もう200号ぐらい作っていることになるのか~。

初めて表紙を飾った2009年9月号(Vol.110)。ハーレーの新車発表&試乗会で富士スピードウェイに取材に行ったときに撮った写真。顔の大きさいまの半分だな。

2011年に手に入れた初めてのハーレー、FXRを手に入れて、あちこちイジった後、当時各地で行われていたドラッグレースに参戦した。いまはもうない仙台ハイランドのドラッグレースウェイはいいコースだったな。

いまのスポーツスターに乗り換えるまで乗っていたFXR。埼玉の「ジャパンドラッグ」に現車を見に行ったのが2011年3月11日、東日本大震災のその日。お店で地震が発生したことを強烈に覚えている。

(出典/「CLUB HARLEY 2025年10月号」)

この記事を書いた人
チューバッカ沼尾
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チューバッカ沼尾

旅好き元バックパッカー

1981年式の元カメラマンでパックパッカー。バイクは2007年にクラブハーレー編集部に配属になってから興味を持ったクチなので、遅咲きといえば遅咲き。ただ、旅をするのにこの上ない乗り物と知りドハマり。現在に至る。愛車は1200ccボアアップの2011年式XL883。
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