2ページ目 - 「シンゾーン」染谷さんの原点は自宅で縫製を行っていた『VAN』のジャケット【アメトラをつくった巨人たち。】

新たな航路。竹がつなぐ持続可能な未来

業界歴48年を経て今、染谷さんの関心は新たな素材へと向かっている。それが、竹から生まれた繊維を使って服を作る「takes.(テイクス)」だ。

「当初は周囲から消極的な意見もありましたが、竹素材の持つ驚くべき機能性をモダンなファッションへと昇華させたい、人々を健康にしたい。そう願ってファッションの新たな価値に挑戦しています」。

近年、長男の真太郎さんが別事業を立ち上げ、自身の道を歩み始めたことも、染谷さんにとっては一つの原点回帰となった。

「方向性の違いでお互いの道を歩み始めましたが、彼も彼のやりたいことを突き詰めている。ぼくはぼくで、もう一度『シンゾーン』のリブランディングに挑む決意を固めました」。

そんな活動は服づくりに留まらない。「リーバイス」とのパートナーシップや、「バング&オルフセン」と音楽を融合させるプロジェクトなど、その好奇心は留まることを知らない。

「大人の女性に長く愛用できる上質なものを届けるため、これからも誠実なものづくりに取り組んでいきたいですね」。

誠実なものを、次の世代へ

染谷さんが貫いてきたのは、単なるウィメンズ服の販売ではない。むしろ「男性的なこだわり」を女性のマーケットに持ち込み、時間を編むようにクオリティを追求してきた。

「ファッションって、結局は“中身”が大事なんですよ。見た目のかっこよさはもちろんですが、長く着た時に『あぁ、やっぱりいい服だな』と思ってもらえる中身の質。その人自身が気づかなくても、服に詳しい人が見た時に唸るような縫製。そこに妥協はしたくない。やっぱり服って面白いですよね。僕は人々をファッションの力で笑顔にしていけるんじゃないかと信じているので、新しいファッションの可能性に挑戦してきたい。そのために、できるかぎり現役を続けていきたいと思っています」。

VAN、アイビーに魅せられた青年期を経て数々の名ブランドをインポート

こっそり羽織ったネイビーブレザーをきっかけに「ヴァン」に魅せられた染谷少年。その後、「バラクータ」や、「マーガレット・ハウエル」など名だたるインポートブランドに関わり、過酷な業務を乗り越えながら、知見とノウハウを積み重ねていった。

アイビーをきっかけにファッションに目覚めた染谷さんにとって、憧れの存在であったアメリカ。彼にとっては聖地でもあったUCLAなどの大学にも行っていたという。

かのマーガレット・ハウエル本人を連れて、熊本観光をした際の一葉。

2001年に独立して立ち上げたレディスブランド「シンゾーン」

「シンゾーン」の躍進を決定づけたのがベイカーパンツの誕生だ。「女性が綺麗に履けるワークパンツを突き詰めました。カジュアルな工場ではなく、あえてウールのスラックス工場で縫い、ハイウエストでセンタープレスを効かせる。結果、8年で6万本を超える異例のヒットとなり、ブランド不動の屋台骨となりました」と染谷さん。カットオフデニムやスラックスも、特にその美しいシルエットが服好きの女性の心を捉え、定番アイテムとして愛用され続けている。デニムパンツ2万8600円、ベイカーパンツ2万3100円、スラックス2万3100円(シンゾーン表参道本店TEL070-1389-5295)

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