長く愛用できるモノをどう探す? “チープシック”の体現者「リゾルト」林さんに学ぶ、もの選びの流儀

スタンダードな服を選び、手入れしながら長く使い続ける。そんな姿勢は、「リゾルト」のものづくりにも通じるチープシックの実践だ。長年デニム業界に携わり、2010年に「リゾルト」を立ち上げた林芳亨さんは、細かなサイズ展開と定番に特化したものづくりで知られ、現在もフィッティング会などで全国を巡り、ジーンズの魅力を伝えている。インタビューと愛用品から、そのもの選びの流儀を探る。

良いモノを選ぶために何をするべきか……読者へのアドバイスは?

失敗を恐れずまずはいろいろ買ってみたらいいと思います。

「自分の身体に合ってるかどうかが大事だと思います。僕も昔はピチピチのパンツを穿いたりと、失敗もしてきました(笑)。失敗を繰り返して、自分に何が合うのかがわかってくると思います。だからまずはいろいろ買ってみたらいいと思います。『これは自分に合わん』とか『こっちはええな』とかわかってくるから。あとは買う時に『これは長く着られるか?』と立ち止まって考えることですね。そうやって自分の中の基準ができてくると思います」

コーディネイトを考える時にどのような順番でアイテムを選びますか?

僕の場合は、まずはジーパンですね。

「まずはジーパンを基準にして、上に着るものであったり靴であったり、他のアイテムをどうするかをいろいろと考えます。同じジーンズでも、季節によって選び方は変わりますね。春夏は薄い色、冬は濃い色とかね。そうやって少しでも選ぶモノを変えるだけで全体としての雰囲気が違ってくるんです」

モノを選ぶ目をどう養いましたか?

ディテールの違いを細かく見比べてどれがいいかを判断する。

「僕の場合、ボタンの付け方や生地の風合い、縫い方の違いなど、細かい部分をじっくりと見比べながら『どれがいいか』を自分なりに判断してきました。学生時代は、ブランド名やディテールの違いを友人同士で語り合うことが楽しみでしたね。『どこの靴がいい』とか『この服は作りがいい』とか。仲間と話しながら、そういった基準が作られていったのかもしれません」

服を身につけるうえで大事にすべきことは何ですか?

いいものを長く使って馴染む過程を楽しむ。

「結局はスタンダードなものを大事にすることだと思います。いいものをちゃんと手入れして長く使う。長く使うことで生まれる変化を楽しむ。服って新品が一番かっこいいわけじゃないんですよ。着ているうちに体に合ってくるし、色も少しずつ変わってくる。そうやって馴染んでくる感じが面白いんです」

ものを長く使うために大切にしていることはありますか?
日頃からの小さな手入れの積み重ねです。

「ちょっとした手入れを欠かさないことが大事だと思います。靴なら保管する時にはシューレースを外してシューキーパーを入れておく。毎日同じものを履かない。ソールが減ってきたら交換をする。特別なことではなく、当たり前のことを当たり前に続けることが、長く使うためには1番大切です」

林芳亨のチープシックな名品。

体に合うフィッティングと実用性を重視し、使い込むことで風合いが増していくもの。林芳亨さんが日常で使い続けている愛用品には、そんな共通点が見えてくる。

リーバイスのデニムジャケット

当時の現行品だった70505。同ブランド初期のボックス型とは異なる丈の長いシルエットが林さんの体に自然とフィット。自分の体型を知り、より良いフィッティングで服を選ぶ姿勢が表れている。

ビルケンシュトックのアリゾナ

ヨーロッパで手に入れたビルケンシュトックのアリゾナ。足幅に合わせてナローを選び、サンダルでもフィッティングを重視する林さんらしい1足。霜降りの靴下を合わせるなど、スタイリングによってラフな足元を楽しんでいる。

エル・エル・ビーンのトートバッグ

日本未上陸の頃、ドル決済のメールオーダーで手に入れた。厚手の帆布は水にも強く、長年使い続けてもへこたれない。パーツを補修しながら使い続ける、林さんらしい実用本位の定番品。

シップス エニィのボートシューズ

足の形に沿うフィッティングの良さと、柔らかな生地感が気に入っているボートシューズ。夏には裸足で履くこともあり、軽快でラフな足元をつくる。気負わず履けて、ジーンズを軸にした普段の装いにも自然に馴染む。

ナイジェル・ケーボンのメカニックキャップ

6年ほど前に購入したメカニックキャップ。洗濯と外干しを繰り返すことで生地に風合いが生まれ、年代物のような表情に育っている。やや小さめでタイトなフィット感が林さんの頭の形にフィット。

ファー イースト マニュファクチャリングのユーティリティーパンツ

林さんが手がけるブランドの新作で、数カ月の着用でもこの風合い。当時物より生地を厚くし、シルエットにもこだわりを凝縮。独特な色落ちで経年変化が楽しみな1本。

(出典/「2nd 2026年5月号 Vol.217」)

この記事を書いた人
ジョージ
この記事を書いた人

ジョージ

風合い至上主義

1997年生まれ。学生時代、アウトドア好きが高じてテックウェアに興味を持ち、次第にワークやミリタリーといった起源のある服へ傾倒。経年変化を楽しめるデニムや、長く付き合える天然素材の魅力に惹かれている。民藝品好きで、旅先では器を探すのが恒例。休日はULギアを身にまとい山へ。日本のいいものを、風合いとともに伝えたい。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

夏を装いが物足りない時のひと工夫。涼しげな素材と優しい配色で気軽に“レイヤード”を楽しむ

  • 2026.04.16

シャツとジーパン。それだけで成立することは分かっていながら、やっぱりちょっと物足りない、と感じたときに思い出してほしいキーワード。それは、レイヤードだ。ぜひ夏の装いのひと工夫に加えてもらいたい。 涼しげな素材×優しい配色のレイヤード 夏に着るトップスはシャツとインナーだけになりがち。だが、シャツの下...

「バンソン」のタフネスを、春夏へ。伝説の映画『EASY RIDER』とのコラボアイテムにも注目だ

  • 2026.04.02

バイカーブランドの代名詞、VANSON。今春は軽やかな布帛アイテムでイージーな装いを提案。そして伝説の映画『EASY RIDER』とのコラボレーションも登場。自由なスピリットを、そのまま服に落とし込んだラインナップを紹介する。週末のライドにも、街の散歩にも、着ることで体感できるフリーダムさを、VAN...

これまでで一番“アイビー”なクラークス誕生! 2026年春夏の新作にペニーローファーやボートシュー ズも登場

  • 2026.04.27

「クラークス」が2026年春夏の新作として発表した「デザートアイビーコレクション」。ブランドのアイコンである[デザートブーツ]や[ワラビー]、[デザートトレック]はアイビーらしい配色に落とし込まれ、アイビーの定番靴であるペニーローファーやボートシューズも顔ぶれに加わる。英国、アメリカ、日本。各国のカ...

これが“未来のヴィンテージ”。綿、糸、編み機……すべてに徹底的にこだわる唯一無二のカットソー

  • 2026.04.27

綿、糸、編み機……。素材から製法まで徹底的にこだわり、唯一無二のカットソーを創り続けるライディングハイ。「FUTURE VINTAGE(未来のヴィンテージ)」を目指す彼らのフィロソフィは如何にして形成されているのか。プロダクトの根幹をなす代表・薄 新大さんの“アイデアの源”に迫る。 More tha...

Pick Up おすすめ記事

これまでで一番“アイビー”なクラークス誕生! 2026年春夏の新作にペニーローファーやボートシュー ズも登場

  • 2026.04.27

「クラークス」が2026年春夏の新作として発表した「デザートアイビーコレクション」。ブランドのアイコンである[デザートブーツ]や[ワラビー]、[デザートトレック]はアイビーらしい配色に落とし込まれ、アイビーの定番靴であるペニーローファーやボートシューズも顔ぶれに加わる。英国、アメリカ、日本。各国のカ...

これが“未来のヴィンテージ”。綿、糸、編み機……すべてに徹底的にこだわる唯一無二のカットソー

  • 2026.04.27

綿、糸、編み機……。素材から製法まで徹底的にこだわり、唯一無二のカットソーを創り続けるライディングハイ。「FUTURE VINTAGE(未来のヴィンテージ)」を目指す彼らのフィロソフィは如何にして形成されているのか。プロダクトの根幹をなす代表・薄 新大さんの“アイデアの源”に迫る。 More tha...

開襟シャツに刺繍入りジャケット……老舗デニムブランドが提案する、春夏のアメカジスタイル。

  • 2026.04.01

老舗デニムブランドであるステュディオ・ダ・ルチザンが提案する、春夏のアメカジスタイル。定番ジーンズからHBTのワークセットアップ、開襟シャツや刺繍入りジャケットまで、軽やかな素材と遊び心あふれるディテールで、春夏の装いを彩る。 [5743]ボーリングシャツ 1950年代のヴィンテージ・ボーリングシャ...

100本限定生産の「エイトG」大戦モデルは、春にぴったりの履き心地とメリハリのエイジング

  • 2026.04.02

無骨なまでに肉厚なデニムで知られるエイトG。その中でも比較的穿きやすく、この時期にぴったりの一本が、第二次世界大戦期のディテールを落とし込んだ大戦モデルだ。特濃インディゴで染め上げた糸ならではの、メリハリの効いたエイジングは、自分だけの一本になること間違いなしだ! ワイドシルエットが生む、クラシカル...

大人の夏はゆるくてこなれ感があるコーデが気分。“アジ”のあるピグメントTとデニムさえあればいい

  • 2026.04.17

ハナから古着みたいに着られる、アジのある服が大好きだ。「ジムマスター」が今季推すピグメントTとデニムも、加工感が素敵。いい“アジ”を知り尽くすふたりも、どうやら気に入ったご様子です。 「MIA MIA Kuramae」ヴォーンさんは、ピグメントTにオールインワンを着崩して合わす! 色ムラによる古着ラ...