たいしたものじゃない。そこにある奥行きも堪能。
「いかに生地をケチって、速く縫うか……。それしか考えてないような、まるで〝ジャンクフードの洋服版〟みたいなシャンブレーシャツにも、それならではのアジがあるんですよね(笑)」
ラルフ・ローレンの創造物にも、海軍や消防署の支給品にも、ジャンクフードの洋服版にも……。大淵さんは、あらゆるシャンブレーシャツに奥行きを見出し、着倒し、自身のブランドでも1993年の設立時からリリースしてきた。
「いいものを着ているからといって、格好よく見えるわけではないと思っています。自分のなかで価値を見つけることが大事でしょう。僕の場合は、〝たいしたものじゃない〟と言えるようなシャンブレーシャツが特に好きです。たとえるなら、佳作と呼べるようなもの。そういうものほど、着た時のゆるさがそこはかとなくいいんです」
気取っていない、良すぎない、最優秀作ではない佳作の世界線。そうした次元に身を投じ、自由に着てみる。他にはない享楽が、シャンブレーシャツにはあるのだ。
大淵さんが愛用するシャンブレーシャツより厳選して紹介。
「作業着か囚人服のイメージしかなかったシャンブレーシャツをファッションにした最初の人がラルフ・ローレンだと思います」70年代のポロ。
「少し縦に長いポケットの形が好き」30年代のUSネイビー。
「綿ポリのシャンブレー。どうでもいい作り方ですが、着た感じはいい」70~80年代初めのビッグヤンク。
「ホームスパンのような味わいのあるシャンブレーですね」10~20年代のブレイブマンシャツ。
「ワンポケットだと着た時に張り切った感じがしない。それが好きでよく着ていた」40年代のUSVA=米国退役軍人省。
(出典/「2nd 2023年2月号 Vol.191」)
Photo/Satoshi Ohmura, Yuta Okuyama, Nanako Hidaka, Shunichiro Kai, Norihito Suzuki, Takuya Furusue, Akira Mori, Yoshika Amino Text/Okamoto 546, Shuhei Sato, Masatsugu Kuwabara, Tsuyoshi Hasegawa, Shinsuke Isomura, Kiyoto Kuniryo, Shuhei Takano, Kazuki Imanishi
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