1.【ハンティングジャケット】アウトドアウエア随一の機能美を誇る。
狩猟大国と言われるアメリカにおいて、ハンティングとは娯楽以上に山間部で生活する者の日々の糧として欠かす事ができないアウトドアアクティビティ。そのため活動着により高い機能性を求めるのは必然であり、英国貴族が嗜んだような様式美を重んじるそれとはまるで見解が異なっている。
近年では、そのような機能性に優れたディテールを各所に装備したアメリカ由来のハンティングウエアが“機能美”として受け入れられ、ファッションブランドからも同様のジャケットやベストがリリースされている。そのことからも、アーバンヘビーデューティの必須アイテムとしてワードローブに加えてほしい一着と言える。
1930~’60年代頃にかけては、我々にも馴染み深いダック生地のものが主流となって、数々の有名ブランドが肩を並べた。ダックスバックやヒンソン、エル・エル・ビーンなどがその代表格とされ、いまも古着市場で不動の人気を誇っている。
ハンティングジャケットの機能性を持った6つのディテールの名称。
1.銃弾ホルダー
シェルループと呼ばれるショットガンの弾を個別に収納できるループ。フラップで覆ったり、ポケットの中に装備する仕様も存在する。
2.フロントポケット
ループにセットする前に大量の予備を入れておく「シェルポケット」というディテールは、マチ付きで弾を取り出しやすく大容量。
3.ガンパッチ
獲物を狙う際に銃床を肩に押し当てて固定させる。補強や銃が滑らないために、生地を当てて2重にしたりステッチを入れている。
4.ゲームポケット
狩猟中に捕えた獲物を持ち運ぶための大型ポケット。襟下のスナップボタンを外せば裾まで開く。
5.水抜き穴
ゲームポケットの底部分に施されるハトメ。この穴が捕えた獲物から出る水や血を貯めないように外へ逃がす役目を果たす。
2.【フィッシングジャケット】“多ポケット”は昨今のストリートブランドにも影響。
アウトドアウエアの最大の魅力、それは、街で着るには少々オーバースペックともいえる機能性の高さにある。フィッシングジャケットに備えつけられた数多くのポケットや、猟師が獲物を持ち運ぶために搭載されたゲームポケットなどがそれに該当する。
いまとなっては定番とされている、アウトドアブランドによる名作も同様で、スポーツとしてアウトドアが確立する以前から森林伐採者や猟師に愛されていたフィルソンの【マッキノークルーザー】や、革新的な機能性素材“60/40クロス”を用いたマウンテンパーカを生み出したシエラデザインズも、もとはと言えば野外での過酷な環境に耐え得るウエアをつくることが目的。ファッション的なデザインは二の次だった。
そんな機能性に優れたディテールが“機能美”として受け入れられ、いつしかファッションアイテムとして認識されるようになったのは、小林泰彦氏が1977年に出版した『ヘビーデューティの本』の功績が大きい。アウトドアウエアをファッションアイテムと捉える考え方が、急速に日本にも広まったのである。
いまとなっては、アウトドアシーンのみならず、タウンユースにも欠かせないアイテムとしての地位を確立するまでに至ったのだ。
フィッシング用には欠かせない個性的な5つのディテールの名称。
1.ハーフムーンポケット
フロントの中央、左右に施される半月型のポケット口。
2.シープスキンフライパッド
使用するフライ(毛針)をボアに引っ掛けてスタンバイ。
3.リアネットホルダーループ
背にランディングネットを掛けておくための仕様。
4.リアネットホルダーループ
釣り竿を固定しておくループ。スナップで外せる仕様。
5.ゲームポケット
背の裾部分に配される釣り上げた魚を入れておくポケット。
※この記事は2017年6月号、2018年3月号の記事を再編集したものです。
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