書類、名刺、レシートなどすべてデータ化 リモートワークの必需品 ScanSnap iX2500

ScanSnap Cloud+発表。紙が「AIが読める資産」に変わる──スマホで使える「ScanSnap Camera」も登場

PFUは7月14日、ScanSnapシリーズの新しいクラウドサービス『ScanSnap Cloud+』の提供を開始した。月額980円(税込)からの有料プランで、手書き文字に対応したOCR、文書内容を理解したAIによるファイル名生成、予定登録やメール作成など次のアクションにつながるPDFの生成に対応する。あわせてモバイル版ScanSnap Homeがアップデートされ、スマートフォンでスキャンできる『ScanSnap Camera』も追加された。「ワンタッチでPDFに」という体験を四半世紀磨き続けてきたScanSnapが、AI時代にスキャンしたデータをさらに活用するために一歩を踏み出した。

紙はなくならないが、スキャンしてAIに取り込むことで、活用範囲は広がる

ScanSnapが紙のドキュメントをPDFで取り込めるようにしてから、四半世紀が経つが、意外と紙はなくならない。

紙はレガシーなのではなく、いつでも誰にでも渡すことができて、デバイスを必要とせずに読める。保存性が高く、場合によっては数千年経っても読み取れるという、ある意味で、すごいメディアだ。

だからこそ重要なのは『紙をなくすこと』ではなく、『紙を、使えるデータに変える技術』だと筆者は思うようなった。とくに、これからはAIの時代だ。NotebookLMやChatGPTに資料を読み込ませて仕事を進めるのが当たり前になりつつあるが、AIは紙を読めない。書棚に眠る過去の取材資料も、手書きの取材メモも、AIにとっては存在しないのと同じなのだ。

手元の紙資料は、検索可能なPDFとしてクラウドに置いた瞬間に、初めてAIから見える『資産』になる。ScanSnap Cloud+は、そういったことを理解したアップデートだ。

ScanSnap Cloud+は、ScanSnapと連携するクラウドサービス『ScanSnap Cloud』の有料プランという位置付け。従来からの活字OCRや、原稿種別に応じたクラウドサービスへの自動振り分けは引き続き無料で使える。その上に、AI機能『ScanSnap AI』と、後述するScanSnap CameraのAI補正が有料プランとして選択可能になる。

手書きも読める。ファイル名も考えてくれる

ScanSnap Cloud+の中核は、AI機能『ScanSnap AI』だ。まず、OCRが手書き文字に対応した。書類の端に書かれた会議の手書きメモや領収書の但し書きのような文字も認識され、活字と同じようにキーワードで検索できる。次に、AIが文書の内容を理解して、適切なファイル名を自動で付けてくれる。分かりにくいネーミングの書類の中から、ドキュメントを探した経験のある人なら、そのありがたみは理解できると思う。

筆者が一番便利そうだなと思ったのが『次のアクションにつながるPDF』だ。文書内の日時やメールアドレス、QRコードをAIが検出し、カレンダーへの予定登録、メール作成、リンク先へのアクセスへと次のステップにその場で進めるURLを埋め込んだPDFを生成する。案内状をスキャンすれば、予定が登録できる状態で手元に届くわけだ。

しかもこのPDFは、共有された相手も同じように使える。ScanSnapを持っていない相手でも、リンクをクリックできるPDFを活用できるというわけだ。

なお、AI処理はクラウド側で行われるが、スキャンデータをAIモデルの学習に使うことはないとPFUは明言している。機密書類を扱うこともある仕事には、これは大事な安心材料だ。

発表会では、アドビでAcrobatを担当する立川太郎氏も登壇され、情報を埋め込んだPDFの大切さと、AIでの活用方法について語られた。

スマホがScanSnapになる『ScanSnap Camera』

もうひとつの目玉が『ScanSnap Camera』。モバイル版ScanSnap Homeから使える新機能で、スマートフォンのカメラで撮った紙文書を、ScanSnapが培ってきた画像処理技術でスキャナー品質に仕上げる。向き補正やカラー自動判別、背景除去といった基本機能は無料。

そしてScanSnap Cloud+に加入していれば、折れや紙面のカーブをAIが伸ばす『フラット補正』と、スマホ撮影にありがちな影をAIが消す『影けし』が使えるようになる。

つまり、一番安いSプラン(月額980円)にさえ入っておけば、スキャナーのない外出先でも、撮影した資料が高精度に補正されてScanSnap Cloudに集約される。会議で配られた資料、取材先で受け取った書類、自宅に届いた紙。デスクのScanSnapと、出先のスマホカメラ——入り口がどこであっても、同じ場所に、同じ品質で、検索可能なデータが揃っていく。この『集約』の価値は大きい。もちろん取り込んだデータにも手書きOCRやAIファイル名生成が効くから、『後から探せて、すぐ使える』状態で手元に残る。

なお、ScanSnap Cameraの利用にはiOS/iPadOS 18以降またはAndroid 12以降と、バージョン4.0.0以降のScanSnap Homeアプリが必要だ。

980円で『探す・考える・整理する』が外注化できる

プランは利用量に応じてS/M/Lの3つ(月額980円/1,980円/2,980円)。Sプランには1か月の無料トライアルもある。

仕事の効率が売上に直結する職種なら迷う必要はない、ということだ。大量の領収書や契約書を扱う経理事務所や法律事務所。取材資料とゲラの山に埋もれる、筆者のような編集者・ライターのように、効率が上がった分だけ売上が増える、あるいは仕事の時間が減る職種なら、書類を『探す・考える・整理する』時間が月に1時間減るだけで980円は余裕でペイする。電子帳簿保存法やインボイス制度で書類のデータ化が事実上必須になった今、手書きOCRとAIファイル名生成は、事務仕事の道具として実に強力だ。

一方、趣味や自宅用途なら、必要かどうかは人それぞれだろう。ただ、学校のプリントや保険の書類、家電の保証書といった家庭の紙が検索できるようになる便利さに加えて、ScanSnap CameraのAI補正が付いてくることを考えれば、980円のSプランは加入する価値がある。まずは無料トライアルで試してみるのがいいと思う。

スキャンは、AI活用の入り口になった

ScanSnapは25年間、『紙をPDFにする』技術を磨いてきた。ScanSnap Cloud+は、AI活用することで、そのPDFを活用できる『知性』へと高めてくれる。

一貫して「紙とデジタルの境界」に立ち続けてきたScanSnapは、『紙→データ化』するところから『紙→データ化→活用できる知性へ』と進化した。

紙は、たぶん筆者が現役のうちにはなくならない。だが、AIが仕事の道具になった今、紙のままの情報と、データ化された情報との価値の差は開いていく一方だ。手元の紙の山を『AIが読める資産』に変えるパイプラインとして、このサービスの意味は大きい。その先としては、NotebookLMのような生成AIサービスへの、もう一段深い直接連携を期待したい。

(村上タクタ)

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村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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