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僕らの“LINE”これからどうなる? 15周年で発表された驚きの変化

LINEの15周年を記念して、「Connect the Next」をキャッチフレーズに近々のサービスの変革が告知された。LINEは1億人が使う日本最大のメッセージプラットフォームであることをテコにして、インフォメーション、ショッピング、ライフ、トークの4領域に注力し、さらにAIエージェントを組み合わせて変革を行っていくという。我々が日常的に使うLINEはどのように変わっていくのだろうか?

(LINEヤフー株式会社 上級執行役員 コンテンツ&メンバーシップドメインリード 舛田 淳さん)

15年前に創業、21年にYahoo! JAPANと合併して得たもの

日本発のメッセージインフラとして確固たる地位を築いているLINE。その15周年を記念したイベントで、これらの方針と、いくつかの新しいサービスが発表された。誰もに関係するサービスだけにその動向は見逃せない。

その前に、まず、LINEのこの15年の歴史と状況を簡単に振り返っておこう。

冒頭に日本発と書いたが、そこに異義を挟む人もいるだろう。正確には韓国NAVER系の日本法人が東日本大震災の時に「身近な人と連絡を取るためのアプリを作りたい」と始めたのがルーツ。ローンチは2011年6月23日。資本的には現在もNAVARは大株主だが、2023年の情報漏洩問題をきっかけに、「国民の大多数が使っているサービスに、他国の影響が大きすぎるのは問題」と日本政府の行政指導が入り、資本以外の依存度は下がっている。

また、2021年3月にLINEと当時Yahoo! JAPANの親会社だったZホールディングスが合併しており、巨大なプラットフォーム企業となっている。ちょっとややこしいが、現状を上流から話をすると、孫正義氏率いるソフトバンクとNAVERが50%ずつ出資してAホールディングスという会社を持っており、そのAホールディングスが約62%の出資をしてLY Corporationという会社を作り、その中に、LINEやYahoo! JAPANというブランドやサービスがあり、傘下にPayPay株式会社や、ZOZOなどがあるという構造だ。

当時、日本のビッグプレイヤーであるLINEとYahoo! JAPANが合併するなんて、なんだか不思議な感じだったが、孫さんの絵図としては、アメリカのGoogle、Meta、Amazon、中国のTencent、Alibabaなどと戦うには、日本(と資本的には韓国)のLINEとYahoo!を合併するしかないということだったのだろう。

話が長くなってしまったが、そうやって成立したLINEのメッセージと、Yahoo! JAPANのポータル、ショッピング、オークションなどの力、ZOZOなどのEC、そしてPayPayという決済サービス、それにソフトバンクの持つAIの資産を掛け合わせた事業の結果が、ようやく今カタチになりつつある。その一部分が今回、LINE 15周年として発表されたというわけだ。

インフォメーション、ショッピング、ライフ、トークの4領域に注力、さらにAIを掛け合わせる

今回の発表の骨子は、マスターエージェント「Agent i」を使った、with AI エージェント戦略で、インフォメーション、ショッピング、ライフ、トークの4領域で、新たなサービスが発表された。

まず、インフォメーション領域では、なんと、長年親しまれたLINEのホームタブのデザインを変更し、ユーザーが必要な情報や体験が自然に集まる場所にするという。一億人がいやおうなしに使うLINEを活かして他のサービスの普及、収益の向上を図ろうとすると当然そうなるとは思うが、現状「親しい人と連絡を取る」ためにLINEを使っている人たちがどう思うか? 親しい人と連絡を取るための場所に、他の情報、ECの広告などがたくさん表示されるようになったらどうなるだろうか。

「AIエージェントを活用して、ユーザー一人ひとりに最適化された情報提案を目指す」というが、それは反発を呼ばない着地点を得られるだろうか? 手腕が問われるところだと思う。

ショッピングタブについては、従来ギフトなどでわずかに(といっても年間1,000万人)の利用に留まっていたショッピング機能を9月に一気に拡大。商品数を30万点から3億点以上へと1,000倍に拡大。

エージェントAIが商品との出会いから購入、配送の管理までを一気通貫でサポートするという。どんな商品でも、LINE IDにヒモ付いた登録住所、支払い手段、特にPayPayなどと連携されて簡単に買えて、簡単に支払えるのだという。

実例が示されたが、たとえばあるアイドルの公式アカウントを友だち追加していると、そのファンであると認識され、限定グッズの先行販売のニュースをエージェントAIが持ってきて、購入を指示したら限定販売に並んでくれて、PayPayで買えるという体験になっていくという。

ライフ領域については、LINEで友だち追加している公式アカウントで使われているミニアプリの体験改善が行われるという。LINEで友だち追加していると、ポイントカードアプリや、クーポンアプリになる機能がある。これらのミニアプリは実は約3万3000個も存在しており、約3000万人が使っている。

このミニアプリがさらに、予約や順番待ち、オーダーのお気に入り登録……などの機能を持つようになり、ミニアプリ自体、スマホでアプリを管理するように、LINEの中でミニアプリを管理できるようになる。また、もちろんエージェントがこれらのミニアプリと連携するようになるので、たとえばある店が満員だった時に、近隣の店を探して予約まで行えたりとか、そういう機能が充実していくという。

そして、LINEの一番肝心な機能であるトーク機能。

この機能は、エージェントAIと連携することにより会話に留まらない便利さを持つようになるという。たとえば、トークルームで複数人で予定を調整した後に、それをカレンダーに登録できる。

LINEのカレンダーにはすでに他のOSのカレンダーが登録できるようになっており、それを使って予定を調整したり、登録したりできるようになっている。近い将来には、公式アカウントのを友だち追加することで(試合やライブ、セールなどの)予定を取り込むことができるようにもなるという。

また、PayPayとの連携も進み、LINEの友だちにお金を送ったり、トークルームのメンバーとワリカンにして、それをPayPayで支払ったりもできるようになる予定だという。

さらに『Agent i in Chat』を年内リリースし、タスク整理、スケジュール管理、写真整理などをグループ内で AI エージェントが自動サポートするという。たとえば、会話の中で「@Agent I 今の会話を取りまとめてメニューを提案して」「@Agent I 今会話でまとまった懇親会の予定をスケジュールに入れて」というようなことが可能になるということだ。

サブスクは増やしたくないが、LYPプレミアムは魅力的

さらに、LYPプレミアムいうサブスクリプションの施策も推進される。ちなみに、すでにLYPプレミアムの会員が約666万人、ソフトバンクのサービスのバンドルなどを含むグループ会員が約2,549万人いるという。

従来のLYPプレミアムスタンダードプランが650円なのだが、7月中旬には機能を絞ったLYPプレミアムライトムランも290円で公開予定だという。

また、新機能として、送信済みメッセージを15分間だけ編集(修正)できる機能、相手のリストからも消えるプレミアムブロック、メッセージの送信を時間指定できるメッセージ予約機能、通話を録音文字起こしできる通話レコーディング機能などがローンチ予定だという。

たしかに、日常使うLINEでこれらの機能が使えたら「メリットある!」と思う人も多いようだが、一方で「メッセンジャーとして当たり前の機能をなぜ有料化する!?」という人もいるだろう。LINEは無料で使えるが、LINEヤフーもさまざまな方法で収益化する必要があるのだから、これはこれで仕方ないような気もする。

合併効果とAIの総合力が、LINEヤフーグループを加速する

以上のように、LINE、Yahoo! JAPAN、ソフトバンク、PayPay、ZOZOなどの合併効果と、孫さんが力をいれるAIの総合力が徐々に現れてきた感のある発表だといえる。

しかし現実となるのは、トークの場面にAIが商品をプロモーションしてきたり、頼んでもいないのにファンであるグループのアイテムがプッシュされたり、友だち登録している店のキャンペーンなどがよりさりげなく告知されたりする世界かもしれない。全体として収益力を高める工夫がされているわけだが、つまりは我々ユーザーの支出が増える世界でもある。労働者全体の実質年収は増えていない現状で支出ばかりが増えると苦しさは増すばかりな気もする。

一方で、先日のアップルの値上げからも分かるように、これからの企業はAIを導入せざるを得ないわけだが、その演算コストをどこに持っていくかが課題になっていくともいえる。LINEヤフーグループの場合、合併の総合力で稼いでいくために、各分野の技術を連携させ、それにAIを掛け合わせるのが勝ち筋といえるし、今の段階でここだけの成果を出せるのは、早くからこの状況を見越して変革を行ってきたからだともいえる。

LINEヤフーは激しい国際競争とAIの時代に進化していく。他の日本企業は、十分な変化を起こせるだろうか?

(村上タクタ)

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村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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