
モデルチェンジするごとに大きく進歩
Ankerはバッテリー、充電器メーカーとして創業し、この15年の間に急成長した。その過程で、ホームプロジェクターのNebula、掃除機やホームセキュリティを扱うEufyなどのサブブランドを立ち上げたが、その中でも特に成長著しいのがSoundcoreのブランドネームで取り扱うイヤフォン部門である。
ちなみに、5月27日にはそれらのサブブランドをすべてAnkerに統合するという発表が行われたので、今後はSoundcoreという名前は無くなりそうだ。当初は、Ankerのリーズナブルなバッテリーブランドというイメージに引っ張られるのを避けたかったようだが、今後は統一イメージで売っていくことにしたようだ。たしかに、我々もSoundcoreのことを「Ankerのイヤフォン」と言ってきたのだから、分かれている方が煩雑だ。それだけ、『Anker』がブランドとして確立したということでもある。
フラッグシップイヤフォンである『Liberty』シリーズも、当初は「それなり」の音質だったが、Liberty 4あたりからは「驚くほど高音質」になってきている。ノイズキャンセリングの能力も高く、どのぐらいノイズを消すかを設定できるという意味ではAirPods Proより高機能だともいえる。
筆者はLiberty 4以降の各モデルを試しているが、「AirPods Proの半額だからお得」「AirPods Proに迫る音質」「AirPods Proと同等かも」と、年々評価が上がってきている。そして、今年は「AirPods Proと同等レベル。さらにノイキャンは強力で多機能」という評価になっている。
音質とノイキャン性能は、AirPods Proと同等か、それ以上
Libertyシリーズが、明かにAirPods Proをベンチマークに据えていることは分かるが、年々肉薄してきていることに驚かされる。そして、今年のLiberty 5 Proは、AirPods Pro 3と同等の音質、より強力なノイズキャンセリング、AI、翻訳、音声文字起こし(Max)……と、単なるイヤフォンの機能を超えた製品となっている。

最初にパッケージを開けて使おうとして驚くのは、従来のLibertyシリーズと、まったく違うデザインだということだろう。従来の細長い形状と違って、腎臓というか、豆のような少し丸まった形状となっている。
2〜3日使っての形状に関する感想としては、ちょっと左右の方向が分かりにくいと感じる。ケースに入れる時も向きを間違えがち。より長期間使うと慣れるのかもしれないが、もう少し向きが分かりやすいデザインにして欲しいなと思う。

音質は非常によくなっており、今後、ゆっくり聞き比べたいと思っているが、AirPods Pro 3と同等かそれ以上。非常にバランスもよく、低音もしっかりと出ている。

今回は、ノイズキャンセリングなどのAI処理においてこれまでの同社チップセットに比べて150倍の処理能力を発揮するという独自設計の新型チップ『Thus』が能力を発揮しているのか、ノイズキャンセリングが非常に強力。

さっそく飛行機の中で試してみたが、AirPods Pro 3よりはるかに静かな環境を作り出してくれる。これは飛行機の他にも、電車の中など極端に騒音の大きな場所で音楽を楽しむには非常に高い性能を発揮してくれるだろう。
強力過ぎるノイズキャンセリングは、街中を歩く時などに危険を伴うのではないかと感じるほどだが、ノイズキャンセリングの強弱をユーザーが5段階でセットできるので、そのあたりは自分で考えて調整すべきだろう。アップルのAirPods Proはオン/オフしかできないが、効き具合を調整できる方が便利ではある。
また、飛行機用、電車用と、ノイズの周波数を選択的にキャンセルする設定も可能。こちらはそれぞれの環境で試してみても違いは良く分からなかったが、おそらくひそかに「より快適」になるぐらいの効き具合なのだろう。長時間飛行機に乗る際などには助けになると思う。
ノイズキャンセリング性能に大きく影響するマイクは左右合わせて8つを搭載。さらに2つの骨伝導マイクを搭載している。この骨伝導マイクは、風切り音の大きな時に、それをキャンセルして相手に声を伝えるために大きく貢献している。

他社のイヤフォンを試してみても、ノイズキャンセリング性能と、通話のこちらの声の音質の良さは、マイクの数とチップセットの性能に大きく依存する。そういった意味で、ハード面から考えても、Liberty 5 Proの性能が高いのは必然だ。
Microsoft Azure AIを利用した独自 AI、Anka(アンカ)
音質とノイズキャンセリング性能は、業界標準であるAirPods Proと同等または超えたということで、Ankerが取り組んだその他の機能の充実ぶりにも注目だ。
AIの進歩により、イヤホンはインターフェースとしてより重要度を増すはずだ。 そのことをAnkerはよくわかっていて、いわゆる『AIイヤフォン』とでもいうべき方向に注力していると思われる(AI機能と翻訳機能はアプリの機能なので、Soundcoreアプリ4.0以上で対応製品を使えば利用できる)。
スマホ側のSoundcoreアプリと連携し、独自AI『Anka(アンカ)』を使うことができるし、翻訳機能を使うこともできる。

なお、今回マイクロソフトとの提携が発表され、 Ankaがバックエンドで『Microsoft Azure AI』を利用していることも発表された。

Maxでは、録音・文字起こしデバイスとしても利用可能
Liberty 5 Pro Maxでは、ケース側のマイクとスクリーンを翻訳デバイスの一つとして使えることで、このAI翻訳機能をより便利に使うことができる。こちらは、イヤフォンに向かってしゃべり、相手はケースに向かって話すという具合だ。

また、Liberty 5 Pro Maxでは、ケースのマイクをSoundcore Workと同じような録音文字起こしデバイスとして使うことができる。
マイクの性能は、Soundcore Workと同等ということで、機能としてはどちらも同じ。
ただし、実際に使ってみたところ、やはり襟元などにクリップ可能でハードウェアボタンのあるSoundcore Workの方が利便性は高いと思う。
しかし、別途持ち歩きをしなくてもいいという意味で、たとえばSoundcore Workを持ってくるのを忘れた際に、Liberty 5 Pro Maxで録音文字起こしが使えるというのは便利ではある。一方、文字起こしの機会が多いのであれば、Liberty 5 Pro Maxを使うより、Soundcore Workを使った方が、確実ではあるだろう。
なおこの機能は、利用する時間数によっては、サブスクの課金が必要となる。
あとちょっと、些細な点ではあるが、さまざまな機能を持ったことで、ケース自体が大型化しており、ポケットに入れっぱなしにしにくいのが筆者としては気になる点だ。
イヤフォンカテゴリーでも、Ankerは重要なプレイヤーになった
AIの進化とともに、日常的にAIに語りかけたり、その返答を受けたりする頻度が増している。Liberty5 Proは、その方向に大きく一歩踏み出したイヤフォンだと言える。土台としての音質・ノイズキャンセリング性能の完成度の高さとともに、非常にお勧めできるイヤフォンだといえる。
(村上タクタ)
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