マニラ封筒から現れたthe world thinnest notebook
スティーブ・ジョブズが「It’s the world thinnest notebook(世界で最も薄いノートブックだ)」と言いつつ、封筒からMacBook Airを取り出したことをご記憶の方も多いだろう。
あれは、2008年1月15日のことだった。つまり、16年が経ったことになる。
そこから、幾多のモデルチェンジを経て、現在の形状にたどり着いたのが2018年(その前は画面の周りのシルバーのベゼルが広かった)。当初はCore i5を搭載していたそのモデルに、Apple SiliconのM1チップが搭載されたのが2020年。
Apple Siliconへの移行という大ジャンプの皮切りとなったのは、このMacBook Airのアイコニックな外見が『変わらない』という安心感があるからだろうと思う。
アルミユニボディもSSDも、MacBook Airから始まった
ハードウェア的なチャレンジが多かったモデルでもある。
実は、Mac、iPhone、iPad、Apple Watch、そしてVision Proにいたるまで、多くのアップル製品の製造方法の基本となるマシニングセンターによるアルミ切削加工ボディ(ユニボディ)の最初の1台は、このMacBook Airである。
また、今では当たり前のことだが、ストレージをSSDとしたのもMacBook Airが最初だ。最初は容量が64GBしかなく、価格も約40万円と非常に高価で、一部の人向けかと思っていたら、その後すべてのパソコンがSSDになっていったというのもMacBook Airが切り開いたエポックだった。
その後、一番安かった時代は13インチモデルでも10万円を切っていて(9万9800円)、誰もがスタイリッシュなパソコンであるMacBook Airに憧れる……という一時代を築いた存在になったことも特筆すべきだろう。
真に薄いノートパソコンを作ることができるようになった
そのクサビ形のMacBook Airもついにその歴史を閉じることになった。
筆者が取材で聞いたところによると、「昔はクサビ形にすることで一部分を薄くしながら、CPUやファンを内蔵する部分を厚くするしかなかった。しかし、Apple Siliconの登場で我々はついに真の薄さを実現することができた」ということで、M2 MacBook Airからは全体が薄い形状となったのだ。
たしかに、M1 MacBook Airは最薄部は4.1mmだが、最厚部は16.1mmもある。対してM2〜3 MacBook Airは、全体に11.3mmとなっている。また15インチモデルになっても11.5mmだ。これは比率として非常に薄く感じる。
この薄さは、Apple Siliconの発熱の少なさから、ファンレス構造が実現し、放熱の仕組みが不要になったために薄く作れたのである。他社のパソコンで、この薄さでこの性能を実現するのはなかなか困難なことだと思う。
16年間、お疲れさま!
ともあれ、現行ボディになってから6年弱。初代から数えると16年。ついに、クサビ形のMacBook Airの歴史に幕が下りた。
少し残念だけれども、時代は移り変わっていくのである。新しいフラットなMacBook Airの進化に期待したい。
(村上タクタ)
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