1866年、テネシー州リンチバーグ。伝説のウイスキーはここから生まれた。
ジャックダニエルは、すべてここリンチバーグの蒸溜所で作られている。この蒸溜所は、アメリカ最古の政府登録蒸溜所としても知られている。世界中のファンを魅了する、テネシーウイスキーの最高峰の秘密に迫る。
ジャックダニエルに不可欠な要素とは?
世界中に流通しているジャックダニエルは、すべてこのリンチバーグの蒸溜所で作られている。蒸溜所がアメリカ政府に登録されたのは1866年。日本では薩長同盟が成立し、徳川慶喜が第15代将軍に就任した年。そんな昔に、現在まで愛されるジャックダニエルが誕生したとは驚きだ。創業者はジャスパー・ニュートン“ジャック“ダニエル。彼が、ここリンチバーグで、自らの名を冠したテネシーウイスキーを製造することとなる。ではなぜリンチバーグという土地を選んだのか。その話をする前に、まずテネシーウイスキーの説明をしよう。
ジャックダニエルを“バーボン“だと思っている人もいるが、それは大きな間違い。バーボンとテネシーウイスキーには、大きな違いがあるのだ。バーボンの定義は、
- アメリカ合衆国で製造
- 原材料のコーンの含有量は51%以上であること
- 内側を焦がしたホワイトオークの新樽で熟成
- 80%以下のアルコール度数で熟成すること
- 熟成のために樽に入れる前のアルコール度数は62・5%以下
- 瓶詰めする場合のアルコール度数は40%以上
- 着色料の使用は禁止
一方、テネシーウイスキーとは、これらバーボンの定義をすべて踏まえた上で、
- 蒸溜と貯蔵をすべてテネシー州内で行うこと
- サトウカエデの木炭で濾過
これらの条件を満たすことで、テネシーウイスキーと呼ばれる資格を得ることとなる。特に、サトウカエデ(シュガーメープル)の木炭で濾過することをジャックダニエル蒸溜所では「チャコール・メローイング」と呼び、テネシーウイスキーとして、非常に重要な工程となっている。しかし、ジャックダニエルの芳醇で豊かな味わいを実現するために、もう一つ大切な要素がある。それが「水」だ。
なぜリンチバーグに蒸溜所を造ったのか。その理由は水にある。年間を通して摂氏13度、鉄分を含まない純粋な水が湧き出る水源を確保するために、ジャック氏は周囲300エーカーの土地を購入し、この地に蒸溜所を造ることに決めたのだ。「ケーヴ・スプリング」と呼ばれるその水源は、テネシーライムストーンと呼ばれる石に囲まれており、その石に濾過されることで鉄分が取り除かれ、ジャックダニエルに適した純粋な水を作り出すという。






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