走り出したくなる衝動を掻き立てる、映画とハーレーダビッドソン。

モーターサイクルが登場する映画、とりわけそれをハーレーダビッドソンと限定して原初を探れば、サイレント映画時代にまで遡るだろうが、しかし多くは単なる交通手段の“小道具”として描かれるのみに過ぎなかった。しかし、そこに登場人物と物語に強い関係性をもたせた“キャスト的存在”として、重要な役割を得るに至った初めての作品は、今からおよそ70年余り前、前世紀の’50年代に公開された『乱暴者』に起源がある。以来、’60年代~’70年代にはカウンターカルチャーとヒッピーの影響を映しながら、バイカーというスタイルと共に現在に至るまで、各時代を通じて、様々なアイコニックなキャラクターたちとバイクたちとが現れた。それこそドラマ的演出の効いたフィクションから、あるいは演出なしの生々しいドキュメンタリー作品に至るまで、そこに映るのは主要な登場人物に限らず、多くの情報が混在する。マシンのディテール、周囲に映る人々の装いや動き、背景に映る街並み等々、そんな視点で今一度、代表的なバイク映画を楽しんでみようではないか。

1.バイク映画としての原点リアルなボバーが魅力。|乱暴者(あばれもの)

BRMC(黒い反逆者)を名乗る一団を率いる主人公のジョニー(マーロン・ブランド)こそはトライアンフのサンダーバード6Tだが、その周囲には’50年代初頭までのハーレーが登場。ジョニーの敵役のチノ(リー・マービン)は薄汚れてはいるが、当時としては比較的新しい部類のハイドラグライドに乗って登場。今となってはリアルなボバーの姿が拝める作品となっている。

原題:THE WILD ONE
公開:1953年
制作国:アメリカ
配給:コロンビア ピクチャーズ
監督:ラズロ・ベネディク
出演:マーロン・ブランド 他

2.オールドスクールなチョッパーを満喫。|ワイルド・エンジェル

通常より2インチ長い軍用スプリンガーを組んだパンヘッド、後に“パープル・ドラゴン”として知られる主人公ブルース(ピーター・フォンダ)のバイクを始め、作中では’60年代中期までのリアルなチョッパーが多数登場。カウンターカルチャー隆盛の時代ならではのサイケデリックな色調のカスタムが全編に渡って登場。今となっては資料性の高い映像で溢れている作品だ。

原題:THE WILD ANGELS
公開:1966年
制作国:アメリカ
配給:アメリカン・
インターナショナル・ピクチャーズ
監督:ロジャー・コーマン
出演:ピーター・フォンダ、ナンシー・シナトラ 他

3.黒いレザースーツ、セクシーな装いが魅力。|あの胸にもういちど

人妻でありながら、フランスから国境を超えてドイツまでFLHを走らせるヒロインのレベッカ(マリアンヌ・フェイスフル)。その下着にタイトなレザースーツという姿は、後のTV版『ルパン三世』(初期)をはじめ、多くの映像作品に女性のバイク乗りとしての姿を印象付け、多大な影響を残している。

原題:The Girl On A Motorcycle
公開:1968年
制作国:イギリス、フランス
配給:東和
監督:ジャック・カーディフ
出演:マリアンヌ・フェイスフル、
アラン・ドロン 他

4.迫真のレース映像を収めたバイク・ドキュメンタリー。|栄光のライダー

当時、アクション俳優として絶頂期だったスティーブ・マックイーンが登場することで広く知られたこの作品だが、その前半約30分はAMAダートトラックのレースでH-Dファクトリー・マシン、XR750を駆るマート・ローウィルに密着取材。初期のXRTTがデイトナを走る姿も映している。

原題:On Any Sunday
公開:1971年
制作国:アメリカ
配給:東和
監督:ブルース・ブラウン
出演:スティーブ・
マックイーン他

5.不朽の金字塔となったヒッピーエイジのアイコン。|イージー☆ライダー

世界中にチョッパーを広めた作品。キャプテン・アメリカ(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)のふたりがそれぞれのチョッパーを駆る姿は時代のアイコンとなった。レプリカとして最も数多く作られたチョッパーであり、基本中の基本ともされているが、その詳細はいまだ謎が多い。

原題:Easy Rider
公開:1969年
制作国:アメリカ
配給:コロンビア映画
監督:デニス・ホッパー
出演:ピーター・フォンダ、
デニス・ホッパー 他

6.ジャンプにウィリー、XR750に見惚れる。|ビバ・ニーベル!

’70年代“世界で最も危険な男”と言われるほどに知られたイーブル・クニーブル。H-Dが公認でスポンサードした後は、オリジナルカラーのXR750を駆り、数多のスタントに挑戦。この作品ではそんなイーブル・クニーブルとXR750によるスタントアクションが随所に散りばめられている。

原題:VIVA KNIEVEL!
公開:1977年
制作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース
監督:ゴードン・ダグラス
出演:イーブル・クニーブル 他

7.’80年代、黒塗りの集団がMTVを席巻した。|ストリート・オブ・ファイヤー

“ロックンロールの寓話”として始まるアメリカ版『渡り鳥』といった作品だが、ここで注目したいのは、やはり主人公よりもその敵役。1981年の『ラブレス』を機にスターダムへと登ったウィレム・デフォー演じるレイベンと、それが率いる黒塗りのハーレー集団“ボンバーズ”の姿は実に魅力的に描かれている。また、映画の封切り当時はMTVでよく流れていた。

原題:Streets of Fire
公開:1984年
制作国:アメリカ
配給:ユニバーサル映画
監督:ウォルター・ヒル
出演:マイケル・パレ、ウィレム・デフォー 他

8.近未来的なチョッパーと新しいバイカースタイル。|ハーレーダビッドソン&マルボロマン

主人公ハーレーダビッドソンを演じるミッキー・ローク自らがコンセプトを考案した作品であり、そこに登場する“ブラック・デスⅢ”と名付けられたFXRSをベースにしたカスタムも、映画が制作された’90年代初頭としては、独創性のある未来志向のカスタムとなっていた。旧来とは一線を画し賛否両論あったが、今ではこれも確立したカスタムスタイルとなっている。

原題:Harley Davidson and the Marlboro Man
公開:1991年
制作国:アメリカ
配給:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
監督:サイモン・ウィンサー
出演:ミッキー・ローク、ドン・ジョンソン 他

9.意外にも真似しやすいスタンダードなスタイル。|ターミネーター2

1990年式として発表されたばかりのファットボーイの翌年モデルを早々に採用した“T2”。シュワルツェネッガーの体型こそ真似するのは難しいが、それ以外、基本的に純正のままのマシンにレザーの上下の装いとなれば再現してなりきることもできるかも!? とはいえ、“T2”仕様のジャケットでグレードの高い古着を探すのは、結構難しかったりする。

原題:Terminator 2
公開:1991年
制作国:アメリカ
配給:トライスター ピクチャーズ
監督:ジェームズ・キャメロン
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、
リンダ・ハミルトン 他

(出典/「Lightning 2025年2月号 Vol.370」)

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