ハーレー乗り必見。男にも女にも、そのビジュアルで後の世界に影響を与え続けた作品『あの胸にもう一度』。

芸術的な価値はどうあれ、ハーレー談義のネタにあるいは物理メディアのコレクションとして、ガレージの棚の飾りか肥やしにピッタリな、そんな映画をテキトーにゴショーカイするぜ!

『あの胸にもう一度』

日本でも伝えられたフランス人俳優アラン・ドロンの訃報は、正直、ノスタルジックな記憶を呼び起こすとともに、実に寂しいものを感じた。

確かに、ここ数年はゴシップ的なニュースが稀に報じられるばかりで、新作映画の話も特に見聞きもせず、映画人としてはすでに遠い過去の人という印象ではあったが、それでも、少なからず、下限でギリギリアラ還世代以上とはなるが、そうした日本人にとって、このアラン・ドロンという存在は、イケメンなどという単に顔に人並なパーツがついていれば当たり前に使われる陳腐な表現では決して収まらない存在である。

先だって、その訃報に際し、当年51歳のTBSの安住紳一郎アナウンサーが「アラン・ドロン? 誰ですか?」ってTVで発言をしたことが話題になっていたが、その場に居合わせた劇作家・演出家の三谷幸喜に「“二枚目”という言葉が公然と使われるようになったのはアラン・ドロンから」と言わしめた存在でもある。

その代表作といえば映画史にも残る古典的名作『太陽がいっぱい』、『冒険者たち』をはじめ『サムライ』、『ボルサリーノ』、『さらば友よ』などが数多あるわけだが、とりわけバイク乗りにとって覚えておいていただきたいと思う作品がいくつかある。まぁこの媒体の性質上、ハーレーに絡んだ作品というコトでは、まずはここに紹介する1968年度の英仏合作作品の『あの胸にもう一度』は外せないところだろう。

詳しくは後述するが、この1968年式、俗にアーリーショベルといわれるFLHに、タイトなレザースーツを着たマリアンヌ・フェイスフルが乗る姿は、後に世界中の映像作家に影響を与えたもの。それこそ“峰不二子”に始まりミュージシャンのスージー・クアトロ、アメリカ映画なら『アベンジャーズ』、『ブラック・ウィドウ』諸々と、制作から56年を経ても、いまだに強い影響力を放つ不朽のアイコンともいえる作品だ。

その作品の中で若い人妻のヒロインをかどわかし、不倫に誘い支配するニヒルでサディスティックな男の役がアラン・ドロン。

物語としては好みの大きく分かれる作品だが、その劇中ではヒロインのみならず、アラン・ドロンが件のFLHを始め、ノートンのアトラスに乗る場面も描かれている。

ちなみに、プライベートでもバイク乗りだったことで知られるアラン・ドロンは、日本の三船敏郎を俳優として敬愛し、度々来日しては詣でていたとも。しかもそんな御二方がそろって実際にプライベートでバイク乗りだったんだよな。老若男女を問わず“カッコイイ”って人間がバイクに乗るってね。

さて、その流れで繋げると、以前この連載で少し触れた“原宿のドン”と呼ばれた“ガンさん(この御方も筋金入りのバイク乗り)”は、アラン・ドロンの来日時に幾度もボディガードを務めたんだよな。

ま、ヒロイックな映像、世界観って大事だな、バイクには。

『あの胸にもう一度』

制作 :1968年・イギリス・フランス合作
原題 :The Girl On A Motorcycle / La Motocyclette
監督/脚本 :ジャック・カーディフ

仏のアンドレ・ピエール・ド・マンディアルグによる小説『オートバイ』を原作とし、1968年に英仏合作で制作。同年末に日本公開されるが、当時はベッドシーンが大幅にカットされていた。後に1974年に再映され、その際には全編収録版が公開。以後、数多くリバイバル上映されている。アニメ版『ルパン三世』の峰不二子のキャラクタービジュアルのモチーフとなっているのは有名。他にも様々な映像作家がこの作品のレベッカの姿をインスパイアした作品を世に送り出している。

見どころ①

若き人妻であるヒロインを翻弄、精神的に支配する冷徹でサディスティックな大学教授ダニエル。レベッカ役のマリアンヌ・フェイスフルは母がハプスブルグ家由来の名門貴族の出自、ストーンズのマネージャーを介して映画界にデビュー。1970年までミック・ジャガーと恋人関係にあった。後にさまざまなスキャンダルを克服して近年まで活躍。ミュージシャン、女優業で活躍した。1997年にはメタリカの楽曲、PVでも共演した経歴をもつ。

見どころ②

作品中にはないバイクとのオフショットが数多く残るアラン・ドロン。複雑な家庭環境から14歳で働き始め、20歳で海軍除隊した後にしばらく放浪し、22歳でカンヌでハリウッドの有力者に見出され映画界入り。水兵時代に腕に入れた刺青は撮影中に隠していたとも。プライベートでも純然たるバイク乗りであり、小型のモペッドからハイエンドなマシンまで、数多くのマシンに乗った姿をスクリーン、スチールにと残している。また強烈なガンマニアでもあった。1935年生れ、2024年8月18日没、享年88歳。R.I.P.

見どころ③

原作小説におけるレベッカのモデルとなったのは、原作者マンディアルグと交友のあったドイツ人女性モーターサイクル・ジャーナリスト、アンケ=イヴ・ゴールドマン。彼女は革のワンピース・レーシングスーツを着た最初の女性ライダーともいわれている。

見どころ④

ラスト、クラッシュする場面ではアーリーショベルではなくVL? らしきSVを使用。横倒しになるうクローズアップではスプリンガーにナセルを被せて誤魔化している。

(出典/「CLUB HARLEY 2024年10月号」)

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