’60〜’70年代のバイカーカルチャーに浸る映画『THE BIKERIDERS』は、劇中のファッションにも注目!

1960年代、シカゴに実在したMCの日常を収めた一冊の写真集『The Bikeriders』をモチーフとして制作されたバイカームービーが日本上陸。ファッションやバイクを中心に、当時のアウトローバイカーのスタイルをリアルに映し出す貴重な映像の魅力を紐解く。

『THE BIKERIDERS』はどんなストーリーなのか簡単に解説!

本作は、アメリカの写真家ダニー・ライオンが、60年代シカゴに実在したバイカー集団“Outlaws Motorcycle Club( アウトローズ・モータサイクル・クラブ)” の日常を描写した1st写真集「The Bikeriders」(1968年初版)にインスパイアされている。劇中では架空のクラブ名 “ヴァンダルズ” として、その創立から数年間の軌跡が事実を基に描かれる。

バイクを愛するアウトサイダーたちの唯一の居場所(クラブ)が、誰も予想だにできない形へ変貌していく——。彼らを取り巻く状況の変化とともに、クラブはより邪悪な犯罪組織へと発展し、対立と憎悪を生み出すようになる。60年代アメリカを舞台に、インタビュー形式で綴られる伝説的モーターサイクルクラブの栄枯盛衰。半世紀以上にわたって私たちの想像の中に生き続けてきた象徴的なアウトロー・バイカーと、彼らが辿った反抗的な文化が、生々しくも儚さを携えてスクリーンに蘇る—ここに、バイク映画の歴史に名を刻むクールな一作が誕生した。

『THE BIKERIDERS』
TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中
邦題:ザ・バイクライダーズ
監督:ジェフ・ニコルズ
キャスト:オースティン・バトラー、ジョディ・カマー、トム・ハーディ、マイケル・シャノン、マイク・フェイスト、ノーマン・リーダス
配給:パルコ ユニバーサル映画
https://www.universalpictures.jp/micro/the-bikeriders
©2024 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.

’60〜’70年代のバイカーカルチャーに浸る!

過去のシーンを明確に映し出す映画は、現代から歴史を紐解く教科書のような存在である。バイカームービーというカテゴリーにおいては、’53年公開の『乱暴者』と’69年公開の『イージー・ライダー』が代表作として頭に浮かぶ。二作品は歴史上のバイク乗りのスタイルを語る上で本誌でも何度も触れてきたし、それぞれの時代のバイクシーンに大きな影響を及ぼしたことが知られている。

ここで紹介する『ザ・バイクライダース』は、’68年に出版された写真家ダニー・ライアンによる同名の写真集を基にしたストーリー。実在のモーターサイクルクラブの日常が現代の映像として描かれた作品である。

そのストーリーは、いわゆる1%erと呼ばれるアウトサイダーたちが題材となるため、一般的なバイク乗りたちのライフスタイルからはかけ離れたもの。元はバイクを愛する仲間たちがレースクラブとしてスタートしたはずが、規模を拡大するにつれ、友情やプライドをかけていざこざが連続し、当初のクラブとしては望まない方向に向かってしまう。

この手のバイカームービーとしては珍しいストーリーではないが、インタビュー形式でストーリーが展開され、主人公のガールフレンドの視点が随所に入ることで、彼らの生き様が客観的にわかりやすく描写され、儚く破滅的な様子が強調されているように感じられる。

元ネタの写真集の中でも最も有名な橋の上を走るシーンが、主人公ベニーの走行によって再現されている。ベニーは常にVANDALSのカラーを背負うカットオフを纏い、’65年H-Dエレクトラグライドと共に登場する。現代の日本の大半のバイク乗りからは、想像しがたい世界観ではあるが、冒頭のバーで常連客から難癖をつけられるシーンにおいて、自分の身を犠牲にしてカラーを守る立ち振る舞いが、彼らにとってのカラーの意味を物語っている

そして、本項でフィーチャーしたいのは、彼らのバイクやファッションを含むスタイルである。『乱暴者』、『イージー・ライダー』と明確に異なるのは、その二作品はほぼリアルタイムのシーンを映し出す作品であるのに対して、『ザ・バイクライダース』は、過去のシーンを忠実に甦らせることを試みた作品であるということ。

前者は当時の最先端のスタイルであり、本作は遥か昔の歴史を映像化する工程が存在する。それゆえ制作陣は、車両においても衣装においてもスペシャリストを用意し、題材の写真集を研究して、時代考証を正確に意識したことが本国のインタビューで語られている。

レザージャケットやデニムのカットオフなど、象徴的なアイテムが登場する衣装の多くは映画のために用意、または製作した新品だが、当時の着こなしを模倣するだけでなく、その質感を表現するためにエイジング加工が施され、現代の技術を駆使して当時のスタイルに迫った点も見所と言える。

決して安易に触れることができない当時のアウトサイダーたちの生き様に思いを馳せることに加え、同時にバイクやクルマ、ファッションの当時の時代感を堪能できる、バイク好きもヴィンテージファッション好きも楽しめる映画なのである。’60年代の伝説的な写真集がそのまま映像化されたような、当時のアウトサイダーたちの世界観を堪能してほしい。

ライダースにLeeのカットオフを重ねた姿は、当時のアウトローバイカーの正装。デニムの襟はライダースの襟に隠れるように短めにカットされている

劇中のウエアにも注目!

最もファッショナブルなキャラクターとして描かれるのがプレジデントのジョニーだ。変形のDポケ付きダブルライダースやギャバジンレーヨンシャツなど、’40~’50年代頃の当時としてはやや旧いデザインのアイテムを着こなしている。愛車はおそらく’56年ハイドラグライド。さりげないドレスアップが施された時代考証に基づくスタイル。

やや厚めにロールアップした’50sテイストなデニムセットアップだが、5つの月桂樹ボタンでフラップ付き片ポケットのジャケットの背景が気になるところ。

中指のパッチはアメリカン・アウトローズ・アソシエーション(AOA)がモチーフ。

数少ないアイアンスポーツ乗りのブルーシーは襟付きシングルのスポジャケにデニムカットオフをレイヤード。

取材をする写真学生ダニーは、パッチはないがMCへのリスペクトが伺える。

デュオグライドを整備するメカニック、カルのカットオフは襟と肩にレザーを配したカスタムが特徴的。

シャツを開け、レザーベストを羽織るコーキー。スタッズカスタムがハードな雰囲気を演出。

世代交代を狙う若者は自作のボバーが愛車。ライダースはスタッズでカスタムされている。

古参メンバー、ジプコの愛車は’55年FL。フェンダーにバンパーグリルを装着した時代感に忠実なカスタム。

ヴァンダルズのプレジデントジョニーの革ジャンがリリース!

ジョニー着用のモデルをモチーフとしたショットの『Vandals Jacket』が発売決定。代官山蔦屋書店のポップアップにて、実物が展示されていた。

(出典/「Lightning 2025年1月号 Vol.369」)

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ADちゃん
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ADちゃん

ストリート&ミリタリー系編集者

Lightning本誌ではミリタリー担当として活動中。米空軍のフライトジャケットも大好きだけど、どちらかといえば土臭い米陸軍モノが大好物。そして得意とするミリタリージャンルは、第二次世界大戦から特殊部隊などの現代戦まで幅広く網羅。その流れからミリタリー系のバックパックも好き。まぁとにかく質実剛健なプロダクツが好きな男。【得意分野】ヴィンテージ古着、スケートボード、ミリタリーファッション、サバイバルゲーム
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