金継ぎ現場に潜入! 初めての金継ぎでわかったこと【後編】

前回は、割れた器を接着する作業を見学させてもらった。それから3カ月後、仕上げの金粉を蒔くというので、早速ショップへ。その様子を見学させてもらった。

奥深い金継ぎの世界。これは最高の仕上がりになる予感。

漆によって接着したので、仕上げの作業は金粉を蒔くこと。金継ぎ・金継ぎキット専門店「つぐつぐ」では、金粉だけでなく銀粉、プラチナ、赤、黒といったの色漆を好みによって色を選ぶことができる。金粉を蒔前にベースとして漆を塗るのだが、選んだ色によってその漆の色(弁柄漆)を変えているという。例えば金粉であれば赤漆を、プラチナであれば白漆といった具合。メインの色に合う弁柄漆を使うことで、金やプラチナの色が映えるのだそうだ。この作業もかなり繊細なもので、特に白漆の場合、筆刷けムラが出やすいので難しい。今回は正方形の平皿の方を金のツヤ消し、ごはん茶碗のほうをプラチナにしてもらうのだが、その仕上がりはいかに。期待は高まるばかり。

これが使用する金粉とプラチナ粉。

では、最後の工程を追ってみよう。

①このごはん茶碗の場合、表面がザラザラしているため、凹凸の中に金粉が入りやすいのだそう。それを防ぐためにマスキングテープでカバーしてから、割れ目に白の弁柄漆を塗っていく。塗り終わったら横に置いて少し時間をおく。

②その間に平皿の方も同じようにベースになる漆を塗る。平皿には金粉を蒔くので赤の弁柄漆を使う。こちらも塗り終わったら横に置いて時間をおく。

③平皿の金粉を蒔く作業。真綿に金粉を付けて、真綿をポンポンと叩いて金粉を振る。真綿で優しくなでたら磨き、1週間ほど乾かす。水洗いをして完成だ。

ごはん茶碗も同じ工程。あとは出来上がりを待つだけ。

【見学をして初めて知ったこと】
・金継ぎには漆を使うが、「接着する」や「埋める」で漆と一緒に使う材料が異なる。
・漆が乾くまでにはかなり時間がかかる上、一定の温度・湿度の環境を作らないと漆は乾かない。
・細かな作業を少しずつ行うため、それなりの時間も手間もかかる。それゆえ、気を長くして待つのが得策だ。
・完成してから、1カ月は観賞用にして徐々に使うようにする。
・本来の強度に戻るわけではないので、電子レンジや食器洗い機には入れないなど、取り扱いに関して制限もできる。

……などなど。

手間と技術が必要な分、料金もそれなりだった。

平皿:約6000円、ごはん椀:約2万4000円

器によっては同じものを買った方が断然やすいし、時間も手間もかかる。しかしそれが金継ぎというもの。世界にたったひとつ、同じようなものでもなく、唯一無二の一皿を手に入れたことへの満足感は計り知れない。割れ方によってはまた表情が変わりかっこよくなるというのも興味深い。またお気に入りの器を割ってしまったら、今度は自分でやってみたいと思う。金継ぎという伝統技術……深くて、とても面白い!

【DATA】
金継ぎ・金継ぎキット専門店「つぐつぐ」
東京都渋谷区恵比寿2-21-2 akikito apt. 1F
TEL03-6879-0940
10時~18時
水曜休
https://kintsugi-girl.com/

この記事を書いた人
めぐミルク
この記事を書いた人

めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

働くヒトとヴァーグウォッチ。【vol.01靴磨き職人/「Chett」店主・大平雄太さん】

  • 2026.05.21

「Time is Money」=「時は金なり」。自身の仕事に誇りを持ち、日々働く人々は有限な“時間”というものを重んじ、身につけるプロダクトにも徹底的にこだわる。アンティークウォッチの旧きよきディテールを備えながら、手軽かつデイリーに使うことのできるヴァーグウォッチはそんな彼らの心強い相棒となる。 ...

磨き続けた伝統が、新たな定番を生み出していく。「アリゾナフリーダム」の新作に注目

  • 2026.06.03

長く愛される定番には理由がある。そして、その定番を更新し続ける覚悟があるからこそ、プロダクツは生き続ける。今回、紹介する新作は、奇をてらった変化ではなく、受け継がれてきた意匠や職人技を礎にしながら、細部にわたり静かな進化を重ねた美しい作品たち。変わらないために進化し続ける。そこには揺るぎないクラフト...

革ジャン好きなら一度は通るべき! 「No,No,Yes!」の最上級オーダー“アルチザン”とは?

  • 2026.06.01

「世界にひとつだけの革ジャンを作る」。それは、レザーラバーの憧れだ。革好き注目のブランド「No,No,Yes!」が誇るオーダーメニューの中でも最上級に位置する「アルチザン」とはいったいなんなのか? その正体に迫る。 革ジャンの伝道師・モヒカン小川が実際に“アルチザン”を体験 これは単なる革ジャンの話...

ロンドン生まれのアイウエアブランド「CUBITTS」が日本に本格上陸! 人気の秘密に迫る。

  • 2026.05.19

英国・ロンドン生まれのアイウエアブランド「キュービッツ」。日本へ本格上陸したばかりでまだ多くを知られていない、その全容を紐解く。 ロンドン生まれ質実剛健な実力派 2013年にロンドンで創業、2025年に日本へ本格上陸を果たした「キュービッツ」。本国では、新鋭ながら圧倒的な知名度を誇り、ビスポークも手...

夏を彩るカラーゴールド。「市松」定番の18金シリーズはカラバリ豊富で夏に欠かせないアクセサリー

  • 2026.05.18

湘南に工房を構えるオーダーアクセサリーブランド「市松」。1997年に創業し、その2年後から27年も続く定番の18金シリーズは、カラバリも豊富で、いまや欠かせないブランドの顔だ。プロダクツとしての魅力だけでなく、夏の装いにも重宝する。 「市松」の定番、特別な5色の18金 「酷暑日」という言葉が新たに発...

Pick Up おすすめ記事

働くヒトとヴァーグウォッチ。【vol.01靴磨き職人/「Chett」店主・大平雄太さん】

  • 2026.05.21

「Time is Money」=「時は金なり」。自身の仕事に誇りを持ち、日々働く人々は有限な“時間”というものを重んじ、身につけるプロダクトにも徹底的にこだわる。アンティークウォッチの旧きよきディテールを備えながら、手軽かつデイリーに使うことのできるヴァーグウォッチはそんな彼らの心強い相棒となる。 ...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

落語家たちが洋装に身を包む会、第4弾! 落語会「師匠お似合いですよ」の舞台裏で注目の落語家たちをSNAP!

  • 2026.05.18

アメカジを提案するファッションブランド「ゴールデンベア」が主催する落語会、その名も「師匠お似合いですよ」。弊誌も師匠方のスタイリングを担当。第4回目となる今回も大盛況でした。楽屋裏で撮影したみなさまの素敵な着こなしをお届けします! 落語家たちが洋装に身を包む会「師匠お似合いですよ」の舞台裏に潜入! ...

ロンドン生まれのアイウエアブランド「CUBITTS」が日本に本格上陸! 人気の秘密に迫る。

  • 2026.05.19

英国・ロンドン生まれのアイウエアブランド「キュービッツ」。日本へ本格上陸したばかりでまだ多くを知られていない、その全容を紐解く。 ロンドン生まれ質実剛健な実力派 2013年にロンドンで創業、2025年に日本へ本格上陸を果たした「キュービッツ」。本国では、新鋭ながら圧倒的な知名度を誇り、ビスポークも手...

アメリカンクラシックの原点「ディグナ クラシック」の[ジミー]なら、カラバリ・仕様も豊富で自分好みの1本が見つかる!

  • 2026.05.21

50sアメリカンスタイルを踏襲した「ディグナ クラシック」の[ジミー]は、シンプルなデザインやクラシックな世界観から多くの人に愛される名作。その人気ゆえ、仕様やカラーのバリエーションが非常に豊富な[ジミー]の全容をいま一度おさらいする。 955E“Jimmy”とはどんなメガネ? 1950年代にアメリ...