ギアとしての信頼感と、着込んだ風合いを楽しめる服。
アメリカンカジュアルをバックボーンとする日本発信のブランドが数ある中で、アイアンハートが特にバイク乗りから支持され続けるのはなぜか。それは、時の流れに消費されることのない、定番を丁寧に作り上げるモノ作りの哲学にある。
コンセプトは、“ハイ・スタンダード”。奇を衒うことなく、スタンダードをハイクオリティに作り込む。代表作であるデニムが18 ozから25 ozまでのヘビーオンスを段階的に揃えることは、ライトニング本誌でも何度も紹介しているのだが、それ以外のアイテムもほぼ全て日本生産のオリジナルファブリックを採用。シャツにもセルビッジを採用するなど、贅沢な素材使いはスタンダードのより高みを目指すための手段なのである。
旧くから存在するモチーフであっても、ヴィンテージを焼き直すのではなく、現代のバイク乗りのギアとして必要なスペックを前提に縫製や生地を選び、質実剛健を追求する。また、オリジナルファブリックを国内生産にこだわるのは、メイド・イン・ジャパンのクオリティを世界に広げたいという思いがあるのだと代表の原木さんは語る。
そして、日常的にハードに走るバイク乗りの着用に耐えうるタフさに加え、着込むほどに風合いを増す素材もファンの心を掴む魅力のひとつ。ギアとしての信頼感と長く着込む楽しさを味わえる服。それこそがアイアンハートがバイク乗りのユニフォームとして浸透する所以である。
しなやかで身体に馴染みやすい肉厚なシープスキンスエードを採用するトラッカージャケットを主体とするレザースタイルは、ローテクだが街乗りからロングまで十分な機能性を備える。スエードのマットな質感のトラッカージャケットは落ち着いた大人のバイカーに相応しい。
ワイルドな香りを漂わせるタフな春夏レザースタイル。
本国のアウトローMCをイメージしたハードな雰囲気が特徴的な着こなし。レザーベストはポケットが増える利便性に加え、防風性の高さからロングライドの疲労を軽減する。さらに、インナーによって印象が大きく変わり、幅広いレイヤードを楽しめるのも魅力だ。着込むほどに風合いの変化を楽しめるレザー&デニムによる質実剛健を極めるスタイルだ。
半袖シャツレイヤードで陽気な西海岸のバイカーをイメージ。
程よくレトロなデザインと力の抜けたラフな着こなしにウエストコーストのバイカーの香りが漂う。ウエスタンシャツは普遍的なデザインでありながらも、セルビッジ生地を採用するなど、素材使いに妥協を許さないアイアンハートのモノ作りの哲学が表れた1着。愛車の新旧を問わず、喧騒を颯爽と駆け抜ける都会的なバイカーにオススメしたい。
着込むほどに味わいを増すタフなワークスタイル。
シャンブレーシャツとトラウザーを合わせたワーク色が色濃いオーセンティックな着こなしだが、どちらもバイクライドのスペックを想定した肉厚なオリジナル生地を採用する重厚さが特徴。ミリタリー、ワークの無骨さが際立つスタイルだけに、足元はローテクスニーカーでスポーティな雰囲気を演出。アクセントとなる首元の小物使いにも注目したい。
【問い合わせ】
アイアンハート
TEL042-696-3470
※情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning 2024年7月号 Vol.363」)
Text/Y.Kinpara 金原悠太 Photo/S.Kai 甲斐俊一郎
関連する記事
-
- 2024.10.02
自称ブレザー偏愛家の黒野が 「紺ブレ」に関するあらゆる疑問に答えます
-
- 2024.09.20
ミリタリー巧者に学ぶ、カモ柄パンツの大人の着こなし術、5選。
-
- 2024.08.21
旬なアロハシャツ着こなし術。渋谷・サンハウス編