【鐵馬乗り的銘品図鑑】世界初となる歴史的なブーツカットデニム「LEVI’S Lot.517」

世には銘品と呼ばれる優れたプロダクトが、数多く存在している。そんなマスターピースを鉄馬乗りの目線でピックアップしていく。ハーレーライフをより充実させてくれる相棒になってくれることだろう。

ブーツを美しく魅せる名作ジーンズ

今回クローズアップするのは「リーバイス」の定番モデルである「517」。世界初のブーツカットデニムとして1971年に生まれた銘品で、今も愛され続けているロングセラーモデルである。当モデルはイメージの通り、カウボーイをターゲットにしている。

リーバイスは“ポケットをリベットで補強する”という特許を武器にワークウエアメーカーとして大きく成長した歴史をもつ。その一方で30年代ごろよりデュードランチブームによるウエスタンウエアの需要に応える形で、通称「ロングホーン」と呼ばれるタグデザインを採用したウエスタンラインを展開。50年代にはショートホーン、60年代には家族で着られるカジュアルウエアという形でデニムファミリーを展開するなど、ウエスタンウエアには注力してきた。

ただパンツにおいてはスナップボタンを用いたウエスタンパンツなどは散見されるものの、同業他社である「リー」の「101Z」、「ラングラー」の「11MWZ」など、ジッパーフライで裾幅の広いストレートシルエットの方が、主力品番の「501」や「505」よりもウエスタンブーツとの相性がよく、カウボーイ関連の市場でシェアを奪われている状況もあった。そこでカウボーイ市場における逆転の一手として打ち出したのは71年の517だったというわけだ。

“サドルマン・ブーツ・ジーンズ”のキャッチコピーで売られ、サドルの上に座っても腰が露出しない深めの股上、ウエスタンブーツやローパーブーツを美しく魅せる緩やかなフレアカット、そして501ではクレームの多かった縮みの大きいデニムではなく、505と同じサンフォライズドデニムを使うことで縮みが少なく、ジッパーフライでも動作不良が起きないように配慮された。

これに飛びついたのはカウボーイだけでなく、フラワームーブメント全盛で映画『イージー☆ライダー』に代表されるハーレー乗りたちだ。この時期はよりファッション性に長け、縫製などの工程を簡略化することでコストパフォーマンスに優れたオレンジタブのラインからベルボトムの「646」や「684」がリリースされ、ファッションとしても裾の広がったジーンズが大流行。リーやラングラーといった競合他社もこぞってフレアカットを発売。ヒッピーはオレンジタブを好んだが、バイカーやカウボーイの硬派な男たちは517を愛用する方が多かった。

ウエスタンブーツだけでなく、エンジニアブーツにも相性が抜群。さらにタイトフィットなトップと相性がいいことから、ハーレー乗りの定番であるライダースジャケットやウエスタンシャツにもマッチする点も大きかっただろう。さらに80年代にはブラックデニムを用いた517も登場し、バイカーの定番として根付いていった。

現在は色落ちのいい初期の「ビッグE」や「シングル」は高騰しているので、まだ手の出しやすいUSA製あたりを狙うのがおもしろいはず。80〜90年代の独特なブルーも1周回って新鮮だ。

LEVI’S 517

膝のダメージも含めて、いい感じにエイジングされた89年製の517。70年代ごろまではタテ落ちする経年変化だが、70年代後半からオープンエンド糸になり、染色も変わったことで霜降り感ある風合いに。ただ現在は逆にこのような色落ちをするデニムがほとんどないので、逆に新鮮。ブラックデニムは高いが、インディゴは手ごろだ。1万3200円

【ポイント①】赤タブ仕様

1971年に王道のストレート501、ファッション性に長けたスリムフィットの505に次ぐ、第三の矢として放たれた世界初のブーツカットデニム。フラッグシップモデル的な意味合いをもつ赤タブが主流であるが、安価なオレンジタブも散見される。どうせなら赤タブを選びたい。

【ポイント②】ジッパーフライ

今も501はボタンフライであるが、はき始めた時は硬いため、都市部ではジッパーフライが重宝された。そのニーズに応えて、517ではジッパーフライを採用。サンフォライズドデニムで動作不良の心配なし。

【ポイント③】ブーツカット

USネイビーのユーティリティトラウザーズで水に落下した際に脱ぎやすいようにフレアしたパンツはあったが、世界初のブーツカットデニムとして売り出したのが517。ベルボトムに比べて緩やかな角度だ。

【ポイント④】メイドインUSA

古着で探す場合は、メイドインUSAに限定するのも一興である。90年代より徐々に海外生産を増やしていき、2003年にアメリカ国内のすべての自社工場が閉鎖された。このタグを使っているのは主に80年代で今となっては貴重な存在。80〜90年代ならまだ手が出しやすい。

(出典/「CLUB HARLEY 2026年4月号」)

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