「ウエアハウス」の新作は、限りなくヴィンテージに近いピーコート。

ヴィンテージをミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。今回の新作もまるでヴィンテージのような仕上がり。そのディテールを見ていこう。

初期の米海軍のピーコートを忠実に再現させたような逸品。

海軍のユニフォームの中で最も美しいデザインだといわれるのが、第一次大戦時に製造された初期のピーコートである。1800年代後半、英国のものにヒントを得て米海軍オリジナルのピーコートを考案したといわれている。

4つのポケット(ウエストポケットは1930年代に廃止)、丈が長くボタンは10個装備、13個のスター&アンカーデザインのボタンなど、後年のモデルとはディテールも一線を画している。縫製なども秀逸で、将校をはじめとする士官クラスに向けて作られたものとしか考えられないほど、随所にテーラリングの技術とオーダーメイドのような仕様が見られるのが特徴だ。

このスタイルのピーコートは、1910年頃から’30年代まで採用された。そのエレガントなスタイルは、規律正しい米海軍を象徴するかのような佇まいだが、後によりシンプルなものに変更されていくことになる。理由は明確だ。米海軍の軍備拡大による兵士の増員だけでなく、大量生産に向けた「既製服」としての仕様変更を重視したためである。

気品溢れる初期の米海軍のピーコートは、今ではヴィンテージ市場でも非常に希少な存在。それが、ウエアハウスから満を持して2023年秋にリリースされる。羽織るだけで一般的なそれとは明らかに異なるオーラを放つ別格の1着。カジュアルからフォーマルなスタイルまで網羅する逸品なので、一生物としてぜひこの機会に手にしていただきたい。

元にしたヴィンテージはこちら!

Lot.2205 1920s WW1 STYLE U.S.NAVY 13STARS PEA COAT ウールメルトン

当時の仕様を徹底的に再現するため、ワークウエアではなく、テーラーメイドを得意とするファクトリーに生産を依頼。米海軍の士官の気品までも漂う1着に仕上がった。13万7500円

裏地には当時のものと同様に先染めのレーヨンサテンが使われているため袖通りもいい。

大きさだけでなく、型彫から徹底的に追求。彫刻刀で彫ったような鋭角な溝も再現した。

海上で風を通さないほど目の詰まったウールメルトンの質感や黒さのある色合いも再現。

細かく均等に施されたステッチワークも美しい。この辺りもワークウエアとは全く異なる。

最上部のボタンホールは後期型と異なり、襟元まで留めることを想定して施されている。

左側のハンドウォーマーも内側にはコーデュロイが施され、ネームラベルも付属する。

ウエスト部のポケットは、袋地がコーデュロイ生地になっている。これは後期型も同様だ。

襟を立てた際の防寒性を高めるため、ボタン留めのチンストラップも装備している。

初期型は襟元まで留めることを想定しているが、当然このように開襟にしても美しい。

この記事を書いた人
ランボルギーニ三浦
この記事を書いた人

ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

これまでで一番“アイビー”なクラークス誕生! 2026年春夏の新作にペニーローファーやボートシュー ズも登場

  • 2026.04.27

「クラークス」が2026年春夏の新作として発表した「デザートアイビーコレクション」。ブランドのアイコンである[デザートブーツ]や[ワラビー]、[デザートトレック]はアイビーらしい配色に落とし込まれ、アイビーの定番靴であるペニーローファーやボートシューズも顔ぶれに加わる。英国、アメリカ、日本。各国のカ...

横浜発アメカジブランド「HEATH」による、定番アメカジのマストアイテム5選はこれだ!

  • 2026.04.03

横浜を拠点に、定番からちょっとアレンジの効いたアメカジを提案するHEATH。人気ブランドのアイテムをセレクトするだけでなく、オリジナルのモノづくりにも注力しており、そのコストパフォーマンスの高さには定評がある。今回はその中から絶対に手に入れておきたいマストアイテム5選を紹介しよう。 【横濱デニム】デ...

「バンソン」のタフネスを、春夏へ。伝説の映画『EASY RIDER』とのコラボアイテムにも注目だ

  • 2026.04.02

バイカーブランドの代名詞、VANSON。今春は軽やかな布帛アイテムでイージーな装いを提案。そして伝説の映画『EASY RIDER』とのコラボレーションも登場。自由なスピリットを、そのまま服に落とし込んだラインナップを紹介する。週末のライドにも、街の散歩にも、着ることで体感できるフリーダムさを、VAN...

夏を装いが物足りない時のひと工夫。涼しげな素材と優しい配色で気軽に“レイヤード”を楽しむ

  • 2026.04.16

シャツとジーパン。それだけで成立することは分かっていながら、やっぱりちょっと物足りない、と感じたときに思い出してほしいキーワード。それは、レイヤードだ。ぜひ夏の装いのひと工夫に加えてもらいたい。 涼しげな素材×優しい配色のレイヤード 夏に着るトップスはシャツとインナーだけになりがち。だが、シャツの下...

Pick Up おすすめ記事

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

開襟シャツに刺繍入りジャケット……老舗デニムブランドが提案する、春夏のアメカジスタイル。

  • 2026.04.01

老舗デニムブランドであるステュディオ・ダ・ルチザンが提案する、春夏のアメカジスタイル。定番ジーンズからHBTのワークセットアップ、開襟シャツや刺繍入りジャケットまで、軽やかな素材と遊び心あふれるディテールで、春夏の装いを彩る。 [5743]ボーリングシャツ 1950年代のヴィンテージ・ボーリングシャ...

これまでで一番“アイビー”なクラークス誕生! 2026年春夏の新作にペニーローファーやボートシュー ズも登場

  • 2026.04.27

「クラークス」が2026年春夏の新作として発表した「デザートアイビーコレクション」。ブランドのアイコンである[デザートブーツ]や[ワラビー]、[デザートトレック]はアイビーらしい配色に落とし込まれ、アイビーの定番靴であるペニーローファーやボートシューズも顔ぶれに加わる。英国、アメリカ、日本。各国のカ...

これが“未来のヴィンテージ”。綿、糸、編み機……すべてに徹底的にこだわる唯一無二のカットソー

  • 2026.04.27

綿、糸、編み機……。素材から製法まで徹底的にこだわり、唯一無二のカットソーを創り続けるライディングハイ。「FUTURE VINTAGE(未来のヴィンテージ)」を目指す彼らのフィロソフィは如何にして形成されているのか。プロダクトの根幹をなす代表・薄 新大さんの“アイデアの源”に迫る。 More tha...

夏を装いが物足りない時のひと工夫。涼しげな素材と優しい配色で気軽に“レイヤード”を楽しむ

  • 2026.04.16

シャツとジーパン。それだけで成立することは分かっていながら、やっぱりちょっと物足りない、と感じたときに思い出してほしいキーワード。それは、レイヤードだ。ぜひ夏の装いのひと工夫に加えてもらいたい。 涼しげな素材×優しい配色のレイヤード 夏に着るトップスはシャツとインナーだけになりがち。だが、シャツの下...