家飲みにも店飲みにも対応する鯉と鰻の名店。
平日でも朝酒ができる店は全国に数多あるが、まるます家ほど質の高い肴を出す店はない。埼玉に隣接する城北一帯には町工場が多く、高度経済成長をフル稼働で支えた。夜勤明けの工員らがお酒を飲む店が今なおあり、その代表格がまるます家なのだ。
戦後すぐの昭和25(1950)年創業。3代目になる松島和子さんの祖父が創業者だが、自転車預かり場を経営しながらも、飲み助ゆえにあちこち出歩き、心配した祖母が飲み屋の開業を思いついたという。もっとも、店を始めても結局は、祖父は「外でばかり飲んでいた」そうな。
店名通りの川魚がウリの店。隅田川や荒川が近く、川魚料理の文化がある地域だからこそ。使用する鯉は赤城山の麓の清流育ち。臭みは皆無で、信州にルーツを持つぼくには最高の酒肴だ。
「まるます家」の極上川魚料理。
うなぎの蒲焼(2,300円)は、 身が大きくふわふわ。200円プラスすればうな重もたべられる。
鯉あらい(400円)は、清らかな生け簀で泥もしっかり吐かせ、泥臭さは一切しない。この旨味は何にも変えがたい。すっきりした飲み口の新潟の金枡に合う。
ジャン酎モヒート(1,200円)は人気の飲み物。3杯以上飲むなら断然おトクである。モヒート(ライム)をもらい、自分で作るのも楽しい。
【DATA】
まるます家
東京都北区赤羽1-17-7
TEL03-3902-5614
営業/11時~19時
休み/月曜(月に1度連休あり)
※値段など情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/別冊Lightning Vol.209「TOKYOノスタルジック横丁」)
Text/ R.Suzuki 鈴木隆祐 Y.Takeuchi 竹内佑騎 Photo/ A.Kuwayama 桑山章 Y.Amino 網野貴香
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