ウイスキーやワインだけがヴィンテージじゃない! 古酒の新定番、日本酒が面白い。

銀座に店を構える長期熟成日本酒BAR「酒茶論」はその名の通り、日本酒の古酒が飲めるバーだ。ワインやウィスキーでは“ヴィンテージ” が一般的だが、実は日本酒にもヴィンテージ酒(古酒)があるのだ。そこで、オーナーの上野伸弘さんに日本の古酒について伺った。

「長期熟成日本酒BAR酒茶論」上野伸弘さん|酒茶論のオーナーであり、一般社団法人刻SAKE協会の常任理事を務める。日本酒の古酒を世界に広めるべく、尽力している。5月に移転し「熟と燗」をオープン。ギャラリーのような店内で極上の古酒を楽しめる

日本酒のヴィンテージ、古酒の魅力。

酒茶論で常時飲める古酒は約50アイテム。また特別アイテムとして300種類ほどあるので、好みに応じて選んでもらえるのも嬉しい。また日替わりセットもおすすめ

ヴィンテージのお酒といえば、まず思い浮かべるのはワインやウイスキー。現在銀座を拠点する長期熟成日本酒バー「酒茶論」のマスター、上野伸弘さんは、「無色より、琥珀色のお酒の方が価値が高く見られるんです」という。事実、ワインやウイスキーといった色の付いたお酒は、日本のみならず世界で高価で取り引きがされ愛飲者も多くいる。

最近では日本酒も世界中に輸出され、日本酒人気は否めないが、それは新酒がメイン。日本酒の古酒はまだまだ知られていない。上野さんは、日本酒の古酒を世界に広めるための様々な活動を行っている。

上野さんの著書「日本酒の古酒」。古酒特有の味わいや楽しみ方まで丁寧に解説されている。より古酒の世界を深く知ることができる一冊だ

「昔は日本酒も古酒で飲むのがスタンダードでした。しかし明治以降、製造段階で税金をかけ始めたことで、早い段階で現金に換えたい酒蔵は、新酒を流通・販売。とはいえ、古酒を好む人は多く、新酒に古酒のような香り付けをすることもあったのようです。戦後、酒造りを再開したことで、再びそれぞれの酒蔵が古酒を造り始めました」

日本酒というのは、陶器や磁器、ガラスといった様々な質感の器で楽しめる唯一のお酒。それが古酒だったら……。酒茶論では、旧くは1964年ものからいただくことができる。自分の生まれ年や青春時代のお酒を飲むことで、自分の熟成をも感じならじっくりと楽しむのもいいだろう。

これは同じ日本酒を熟成させたもの。日本酒すべてがこのように同じような色に変化するわけではなく、糖度やアミノ酸の量で色の変化が変わるそうだ。当然熟成したものは、舌触りが丸くなり濃厚な味わいになる。年代で飲み比べてみるとよりわかりやすい。そんな楽しみ方ができるのも、ヴィンテージ酒の面白いところ
日本酒の飲むときに使われる器は陶器やガラスなど様々なものが使われているが、酒茶論では、より古酒を美味しく飲むためにグラスを変えている
刻(とき)SAKE協会設立記念として、厳選した長期熟成酒のスペシャルセットを限定販売。なんと200万超えの高価セットにもかかわらず、即完売したそうだ

ヴィンテージ日本酒の奥深き世界を体験。

現在の日本において、日本酒は新酒で飲むというのが一般的になっているため、なかなか古酒を飲む機会はなかったという人も多いかもしれない。ギュッと凝縮された古酒特有の味わいをぜひ味わって欲しい。その中でもおすすめがこちら。

達磨正宗/昭和四十七年醸造酒

古酒に特化した酒蔵で、古酒=達磨正宗といった知名度もある。通常日本酒を造るときには過度にお米を削るのではなく米の旨みを生かした精米を心掛ける。こちらは50年熟成された希少な一杯だ。

笹の川酒造/二十五年古酒

笹の川酒造は日本酒だけでなく、スピリットやウイスキーの技術も持つという少し珍しい酒蔵。こちらの25年モノの純米酒は、年数のわりに重さがなくスッと飲める一杯。香りを楽しみながら飲んでほしい。

天吹酒造/吹息の天

泡盛を造るときに採用される全麹仕込みを取り入れており、蒸した米を麹にして使っている。さらに天吹酒造のオーク樽で熟成させることで、酸味と甘みが融合して絶妙な味わいを造り出している。2007年もの。

月の桂/純米大吟醸古酒

京都の増田徳兵衛商店の銘柄、月の桂の純米吟醸酒を贅沢に熟成させた古酒。オーダーして作った特製の磁器の甕に入れ熟成させるというこだわり。美しい琥珀色で華やかな香りも楽しんで欲しい。

榎酒造/貴醸酒

通常、日本酒を造るときに水が使われるが、この貴醸酒はお酒を使うというとても贅沢な造り方をしているため、高貴な方が好んで飲んでいた御酒。濃厚で香りを楽しみながらゆっくり飲んで欲しい一杯だ。

東力士/熟露枯

奥深い洞窟で熟成した東力士の熟露枯(うろこ)シリーズ。淡い琥珀色が特徴で、10年と20年熟成がある。蜂蜜の様な甘い熟成香と、アルコールの刺激を感じさせないまろやなか味わいで飲みやすい古酒。

【DATA】
長期熟成日本酒BAR酒茶論
東京都中央区銀座6 丁目4-8 曽根ビル B103
TEL03-6263-9710
営業/平日18:00~深夜、土曜16:00~21:00
休み/日曜
https://www.shusaron.net

(出典/「Lightning2023年4月号 Vol.348」)

この記事を書いた人
めぐミルク
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めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
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