ヴィンテージハーレーとレザーとともに。「MOTO」本池秀夫の生き方。

革人形作家の第一人者であり、モトの創設者でもある本池秀夫さん。唯一無二で圧倒的な作品は言わずもがな、その個性的なライフスタイルも多くのファンを魅了している。今回は自身の核となるハーレーとレザーに迫りたい。

長年革と向き合ってきた職人、本地さんが惹かれるものとは。

愛用しているレザージャケットはモーターのスポーツジャケット。上質なホースハイドを使ったもので、8年ほど愛用。ブーツもモーターの物で、ドレスエンジニアブーツだ

日本を代表するレザーアーティストである本池さんが、その道を目指したのは今から50年前。ヨーロッパを放浪している際に、イタリアで出会った磁器人形に感銘を受け、その後、加工ひとつで様々な表情となるレザーを用いた唯一無二の革人形を創作した。

本池さんの作品の大きな特徴は、革を使うことで新たな息吹をもたらし、人形一人ひとりが異なる表情を持つこと。これは革の特性や経年変化を深く理解しているからこそ。そんな本池さんの愛用品は、作品にも負けない個性的なエイジングばかりだ。

モーターのファーストコレクションからラインナップされている定番のスポーツジャケット。負荷の掛かる肘などの部分が擦れて、ヴィンテージのような表情をもつ
モーターの人気モデルであるドレスエンジニアブーツは、上質なイタリアのホースバットを使っている。見事な飴色にエイジングされている

「この48年製ハーレーのパンヘッドは、アメリカの東海岸で発見されたもので、納屋の軒先に25年以上放置されていたそうです。オリジナルのペイントがなんだかわからないくらいエイジングしていますが、鉄は腐っておらず、湿度の低いエリアだからこその偶然の産物。これを見た瞬間に自分と重ね合わせてしまって(笑)。

バッグはオリジナルが付いていましたが、さすがに使える状態ではなくてね。だから自分でまったく同じサイズで設計し、スタッズは本来付いていたものを移植しました。鉄と革は昔ながらの工業製品で使われている原始的な組み合わせ。ともにエイジングするので、その美しい調和には、本能的に惹かれます」

サイドバッグは、本来付属していたものと同じサイズで本池さんが製作。3ミリ厚のクロムエクセルレザーの原皮を使い、スタッズやバックルはオリジナルのものを移植している
オリジナルペイントは赤だったそうだが、一切手を加えておらず、奇跡的なエイジングに。パーツ類もオリジナルであり、タンクエンブレムも純正である
本池さんが手を加えたのはフェンダー部分のみ。穴が空いていたので、そこに’50年代のホットロッドで好まれたスカルヘッドとウィンカーを取り付けている

【問い合わせ】
モトイケギャラリー
TEL03-6447-1613
www.motostyle.jp

(出典/「Lightning2023年2月号 Vol.346」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

【BIG SMITH×2nd別注】米軍の名作バッグをデニムで再構築! 経年変化が楽しめるデニムのエプロンバッグ。

  • 2025.09.22

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! BIG SMITH × 2nd ワーカーズエプロンバッグ 1940年代のアメリカン・レッドクロス(米国赤十字社)が製...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

Pick Up おすすめ記事

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

【Willis & Geiger×2nd別注】ミリタリーとサファリが香るアーバンアウトドアウエア

  • 2025.09.17

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 90年代のアーカイブをデザインソースに、上品さを加えてアップデート。ウールメルトンジャケット[メトロ ウォーカー] ...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

【BIG SMITH×2nd別注】米軍の名作バッグをデニムで再構築! 経年変化が楽しめるデニムのエプロンバッグ。

  • 2025.09.22

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! BIG SMITH × 2nd ワーカーズエプロンバッグ 1940年代のアメリカン・レッドクロス(米国赤十字社)が製...