革ジャンの王道であり原点! ライダースジャケットの選び方と人気ブランドのおすすめの1着。

革ジャンの歴史を紐解けば、航空黎明期の飛行機乗りのフライトギアへとたどり着く。オープンコクピットの時代、風を凌ぎ、スピードに打ち勝つために発達していったアビエイター用ジャケットは、やがてモーターサイクルジャケットへと進化を遂げていく。今ではファッションアイテムとして、女性やライダー以外のメンズにも支持されているライダースジャケットの種類、そして選び方のポイントを解説していこう。

ライダースジャケットとは?

1920年代に飛行機乗りのために誕生したレザージャケットは、その後アウトドア用としても発展し、1930年代にはモーターサイクルジャケットとしてライダースジャケットが登場。

’30年代前半にはまだシングル襟しかなく、この年代の後半に、ダブル襟の原型であるアビエイタースタイルのライダースジャケットが確立された。その後はロックなどのカルチャーとも結びつきながら進化。現在ではファッションアイテムのひとつとなっている。

ライダースジャケットには大きく分けて2種類ある。ひとつは、飛行服をルーツに発展を遂げた、ライダースジャケットの王道「ダブルライダース」。肩にはエポレット、腰にはベルト、左身頃下にコインポケットが付いているのが基本スタイル。一方、「シングルライダース」はバイクのレーシングスーツを上下に分けたことから誕生したと言われるだけあり、シンプルなデザインでファッションに取り入れやすいのが特徴だ。

ライダースジャケットには、しなやかなホースハイド(馬革)、重厚感のあるカウハイド(牛革)のほか、柔らかく着心地のいいシープスキン(羊革)を用いたものもある。茶芯のレザーを選べば、経年変化にまた違った面白さが出てくるだろう。

ライダースの基本の6タイプ、初心者メンズでも着こなしやすいタイプはどれ? 購入すべき1着を伝授します!

ライトニング本誌レザー担当、誰が読んだか“革ジャンの伝道師”・モヒカン小川。革ジャン全般を愛しているが、大好物はダブルライダース。もちろんシングルライダース愛も深く、真冬はインナーに着て重ね着を楽しむ。「ダブルは、革ジャンの華。イングルはすっきりした襟元が魅力。さあ、一緒に最高の1着を探そうぜ!」

革ジャンの伝道師、モヒカン小川。これまでに着用した革ジャンは数知れず。ただ着用するだけでなく自らカスタムするなどレザー愛は誰にも負けない。最近では公式YouTubeチャンネル「CLUTCHMAN TV」にてそのどこまでも深い愛と知識を披露しているので要チェックだ。

まずは、ダブルライダースの5タイプを紹介していこう。

1.ダブルライダース(スタンダードタイプ)

ショット・ワンスターに代表されるダブルスタイルが、このスタンダードタイプ。肩にエポレット、腰にベルトを装備し、左身頃下にコインポケットが付いているスタイルが一般的だ。ダブルの代名詞的デザインなので、これを着てしまうとコーディネイトの逃げ場を失うことも。

ワイルド度:★★★★☆
着こなし難易度:★★★★☆

前を開けるか閉じて着るか、それが問題だ。

これが「前立て」

ダブルライダースは本来フロントを閉じて着用するものだが、往年のロックシンガーの影響により、フロントを開ける着方に憧れる人も多い。その際に気を付けたいのが「前立て」。この前立ての幅が太いと、開けて着た時に前立てばかりが目立ちカッコよくない。モチーフにしている年代が旧くなるほど前立てが太くなるので、注意が必要だ。

前を閉めて着た場合。本来ライダースは、前を締めて遮風性を高め、スピードに挑むもの。前を閉じれば、その分身頃の味も出やすくなる。

前を開けてルーズに着るのもアリ。写真のショットワンスター217USの前立ては、細くて開けるのに適している。

【モヒカン小川おすすめ①】Schott 217 US

ダブルライダースのマスターピース、ショット・ワンスターも、シープスキンなら柔らかく、ライダース特有の窮屈さも感じない。Made in U.S.A.。13万2000円(Schott Grand Store TOKYO TEL03-3464-1913)

【モヒカン小川おすすめ②】 BILTBUCK Horsehide Johnson Riders Jacket

シャープな襟や眺めの袖ジップなど、ライダース黎明期を感じさせる1着。カゼイン仕上げのホースハイドはシボが強調され、ヌメ革らしい力強いエイジングを見せる。21万7800円(アトラクションズ TEL03-3408-0036)

【モヒカン小川おすすめ③】JELADO REBEL JACKET

エポレットに2スターは、1950年代のWIND WARDがモチーフ。コンビ鞣しと染料のみで仕上げた新開発の馬革を用い、1.6㎜という厚みながら非常にしなやかだ。19万8000円(ジェラードTEL03-3464-0557)

2.ダブルライダース(Dポケットタイプ)

左身頃に大きく装備されたD型ポケット、通称Dポケは、飛行服の名残りのディテール。1950年代までのクラシカルなライダースによく見られる意匠だ。男くささ満点のスタイルだが、かなりの上級者アイテムなので、初めてダブルに挑戦する人は、手を出さない方が無難。

便利……なのか?

ワイルド度:★★★★★
着こなし難易度:★★★★★

【モヒカン小川おすすめ④】 BUCO J-24 JACKET

モーターサイクルアクセサリーメーカーとして一世を風靡したBUCOの名作J-24。その後のライダースに多くの影響を与えた。素材はベジタブル鞣しの馬革。27万5000円(リアルマッコイズ東京 TEL03-6427-4300)

【モヒカン小川おすすめ⑤】天神ワークス DOUBLE COLLAR JACKET JW2

1940〜’50年代の黄金期のジャケットをイメージし、植物タンニン鞣しの栃木レザー製ステアハイドで再構築。ライニングにはバッファローチェックのコットンを採用。18万1500円〜(天神ワークス TEL03-3870-8658)

【モヒカン小川おすすめ⑥】ALLSTATE×INDIAN MOTORCYCLE HORSEHIDE DOUBLE RIDERS JACKET

シアーズ・ローバック社のオールステートとインディアンモーターサイクルのWネーム。1.5㎜の肉厚な馬革を使い、着込むほどに茶芯が出現する。18万4800円(ジャンキースペシャル TEL03-3232-0850)

この記事を書いた人
モヒカン小川
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モヒカン小川

革ジャンの伝道師

幼少期の革ジャンとの出会いをきっかけにアメカジファッションにハマる。特にレザー、ミリタリーの知識は編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。トレードマークのモヒカンは、やめ時を見失っているらしい。
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