A-2 コレクター・木下さん
1961年生まれ。東京都出身。アンテナ関連の会社に務めながら、独学でタイプA-2を追求。1980年代よりヴィンテージのA-2を集め、今では60数枚のコレクションを所有。
「ホースハイドの方が好き個人的にはゴーというファンが多いと思うのですが、トスキンの方が好みなんです。単純に着やすいのが一番なんですが、本来はミルスペックでホースハイドが指定されており、その供給量に対応できなかった代打的な革なので、探してみると意外と見つからないんですよ。あとは台襟なしの方が好きですね。実際に着ていると台襟が擦れて、けっこうなストレスなんです(笑)。コントラクターごとの意匠も魅力ですが、ラフウエアのように複数回やった会社もあれば、1回だけの業者もいて、生産数にかなり偏りがあるんです。そこらへんを加味して選んでもおもしろいですよ」
1.1941 PERRY SPORTSWEAR INC.
1941年11月12日にオーダーされたことが判明しているペリースポーツウエア製のタイプA-2。「ゴートスキンというのが一番のポイント。同社製のもので、ホースハイドの仕様も持っています。経年変化によって、かなり明るいブラウンになっているのも気に入っています」
2.1941 DAVID D.DONIGER & CO.
マクレガーブランドでお馴染みのデビッドドニガー社が生産したA-2は、かなり生産数が少なく、レアなタイプA-2のひとつ。「おそらくゴートスキンのみの生産で、その数は5000枚と言われています。リブが替わっていますが、当時交換されたものだと思います」
3.1942 STAR SPORTSWEAR MFG.CO.
こちらはコントラクトナンバーからスタースポーツウエア製だとわかる。1942年のみの生産で約3万枚だと言われている。「自分の中でスタンダードなA-2といったイメージ。同じ生産年ですが、オーダーナンバーとコントラクトナンバーのタグが2種類あります。ペイントものは真贋が難しいので敬遠していますが、これは本物かな」
4.1942 I.SPIEWAK & SONS
1942年に1度だけ生産を行ったコントラクター。木下さんが求めるディテールをすべてクリアしている。「ゴートスキンで台襟がないため、かなり着やすいのが選出した理由です。ロングポイントである点も素晴らしい。他のゴートスキンと比べると肉厚な印象を受けます」
5.1939 WERBER SPORTSWEAR CO.
木下さんが所有するタイプA-2の中で、もっとも旧いのが太平洋戦争前となる1939年製の個体だ。「開戦する前のA-2の生産量は極めて少なく、1930年代のものはまずお目に掛かれません。このウェーバー社製のものは1250枚しか生産されておらず、旧くなると更に少ない」
6.1941 WERBER SPORTSWEAR CO.
同じくウェーバースポーツウエア製のタイプA-2だが、1941年になるとその生産数が飛躍的に増える。「1939年のロットが1250枚に対して、この年は約1万1000着と言われています。ただ他社だと3〜5万枚なんていう数もありますから、それでも少ない方なんです」
7.1940s UNITED SHEEPLINED CLOTHING CO.
1942年にコントラクターとして納入していたニュージャージー州のユナイテッドシープラインド社が民間用に生産したタイプA-2。「民間用ですが、パッチやネームから軍で使われていたものだと思います。かなり肉厚なホースハイドで、民間用ですがかなりのクオリティ」
(出典「Lightning2022年2月号 Vol.334」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/K.Hayashi 林和也
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