訪れる者を魅了する、波止場の隠れ家バー。
時がいくつ流れても記憶は消えないものなのか――。幼き日に祖父母と歩いた神戸のメリケン波止場、横浜港近くの友人のバーへ通った日々。17歳で東京へ出て都内のキャバレーや大阪のバーなど、夜の酒場を渡り歩いてきた丸岡俊文さんが、オールドウイスキーと出会い、自身の店を持つためにたどり着いた先は、やはり港だった。
船舶が行き交う丸亀港の埠頭に佇む倉庫。夜のとばりが下りる頃、「SILENCE BAR」の電飾が灯り、そこがモルトバーであることを知らせる。扉を開くと中は薄暗く、店の奥へ歩を進めるとカウンター席の棚を埋め尽くすウイスキーの景色が目に飛び込んだ。
こちらも照明は最小限に抑えられ、店内に窓はひとつもない。ウイスキーに禁物な太陽光を遮るために内壁を張り替え、窓はすべて塞いだという。だが、頭上に広がる高い天井が倉庫の面影を留めている。
「イメージはウイスキーが眠る樽の中。ここに集う人間の魂もまた熟成し、よい飲み手になっていくことを願いながら店をやってます」と丸岡さん。2017年に30周年を迎え、店も年代物のオールドボトルの域に達した。店の隅々に過ぎし日々の記憶を留めながら、これからも変わらず建ち続ける。
埠頭に佇む無骨な建物。夕方から夜かけてに建物を眺めると、まさに映画のワンシーンのよう。内装は、倉庫をそのままというよりも波止場の酒場をイメージし、赤煉瓦などを使って雰囲気を出した大人の空間に仕上がっている。強いお酒を静かにゆっくり飲みたいときに訪れたい、そんなお店が香川にありました。
【DATA】
SILENCE BAR
香川県丸亀市港町307 23埠頭
TEL0877-24-3646
営業/19:00~25:00
休み/不定休
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(出典/「Lightning 2018年2月号 Vol.286」)
Text/M.Murota 室田美々 Photo/T.Uchida 内田年泰
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