【リノベーション倉庫⑤】100年以上の歴史を刻む「ザ・リアルマッコイズ」本社。|兵庫・神戸

  • 2021.10.24  2020.11.12

神戸港にある巨大な倉庫に社屋を構えるザ・リアルマッコイズ。ブランドの世界観を色濃く投影した重厚な内外観は見る人を圧倒する空間を形成していた。ショップと異なりなかなか見る機会のない、本社オフィスのなかを紹介しよう。

オフィスの枠を超えた、仕事と趣味が同居した圧倒的な世界観。

ミリタリーウエアやレザーブランドBUCOなどを手掛ることで知られるザ・リアルマッコイズ。全国にある直営店に足を運んだことがある人ならば、重厚な世界観を作り出していた内装をイメージしやすいだろう。今回紹介する本社オフィスは、その規模を何倍にも広げた圧倒的な空間を作り込んでいた。

リベットが打たれ、褪色した青い塗装が印象的な大きな鉄扉。その脇に設置されたランプも潮風で錆びていて、ファサードからもマッコイズの世界観がにじみ出ていた

神戸港にある倉庫の一角にその建物はある。重い鉄の扉を開けると、そこは別世界。アンティークのインテリアやアートなどが飾られた、驚愕の空間が広がっていた。

右の鉄扉を開けると広がる巨大な空間は、パーティルームとして利用している。コンクリートで作られた左右の棚には、アンティークのテーブルウエアや雑貨など辻本氏のコレクションが陳列される

なにより建物自体にも歴史があり、築年数は約100年。輸入穀物を扱う保税倉庫として大正時代に建てられた建築だという。現在はペンキが塗られてシンプルに見えるが、内装の壁の作りに注目すると杉板の木枠の跡が残り旧い施工方法で作られたことがわかる。

「趣味と仕事に境界線を引かない」という辻本氏の信条が具現化されている応接室。部屋にはオーディオ、カメラ、ヴィンテージのハリバートンといった趣味のアイテムに囲まれる。また壁に並ぶアンディ・ウォーホルを始めアートはすべてオリジナルというから驚き!

「最初は柱しかない広い空間だったんです。歴史的な建物ということで、当時のディテールを残したかったという想いもあったので、空間を仕切るためのコンクリート壁を作っただけ。その分アンティークの家具などを詰め込んで自分好みの空間に仕上げています」

と当時の思い出を語ってくれた代表の辻本仁史氏。本社機能の他にも、ガレージやオーディオルームなど氏の趣味を反映させた空間も設置されている本社オフィス。まさに倉庫だからこそできる使い方を楽しんでいた。

奥に鎮座するオーディオは’50年代JBLハーツフィールドで手前は’60年代 ALTEC。大のオーディオ好きである辻本氏らしいセレクションとなっている
天井裏のスペースには映画館さながらのシアタールームが。JBLやマランツ、ヴィンテージのマークレビンソンといった極上のAVシステムを構築
ガレージにはショートホイールベースの最終型である’67年式ポルシェ911Sを始め、VWタイプ2など旧車が目立つ。奥には現行車両のバイクが置かれる
サーフボードコレクションも圧巻。ジーン・クーパーやスキップ・フライが手掛けたロングボード。この一角だけでもフ ァン垂涎のプロダクツが並ぶ
高い天井へ伸びる螺旋階段。あえて塗装を剥いだベアメタル仕様が歴史ある倉庫の佇まいにマッチ。天井裏のシアタールームにアクセスできる
オフィス入口付近に置かれる辻本氏があつらえた薪ストーブ。上部にはピザが焼ける窯も設計した特別仕様。重厚な雰囲気を演出する一角となっている
オフィスの各部屋に繋がる扉の上には大きなハンティングトロフィが飾られる。この様な広い空間を持つ倉庫だからこそ似合うといえる
別棟の倉庫にあるもう一つの応接室。シンプルなインテリアだけに、家具の一つひとつの存在感が際だつ。まるでショールームのような空間となっている

もはやオフィスという概念を超越した空間で、全てにこだわる姿勢は、まさにザ・リアルマッコイズの世界観を忠実に再現していた。「外国人がここに来ると必ず“AMAZING!”って叫ぶんだよ(笑)」というエピソードにも納得。

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