最近ご無沙汰な人も、初見の若い人も、絶対に見ておくべきブルース・リー映画5本を、日本で唯一のブルース・リー専門店「今井商店」オーナーの今井毅さんに紹介していただいた。
1.『燃えよドラゴン』
「映画冒頭のサモ・ハン・キンポーとの試合は、総合格闘技の原点と言われています。しかしこの試合、実は最後に撮影された場面。最初に観ていたはずのブルース・リーは、生前に撮影された最後のアクションなのです。またコアな視点で観るのなら、麻薬密造の証拠をつかむためにリーがハンの島を探索する場面。夜間外出禁止にも関わらず黒装束で出かけ、静まりかえった宴会場を見回る敵に見つからぬように、うまく体を隠しながらやりすごす場面は、これから激しい闘いが始まるのか? と胸が高鳴る名場面。リーのしなやかな動きが実に素晴らしい! そして『まるでマンガだぜ! ハンさんよ』という印象的な台詞を放つ、‘70年代の男気満載のアフロなドラゴン、ジム・ケリー扮するウイリアムス。彼は劇中でリーと一言も交わすことはないのですが、真の男同士は会話無くとも目に見えない友情で繋がるのか、リーを庇い悪役のハンに襲われ絶命するのが見所です」
【ストーリー】
香港裏社会の支配者ハンに姉を殺されたリーは、ハンが主催する武術トーナメントに参加し、復讐を果たそうとするが……。
2.『ドラゴンへの道』
「この映画はブルース・リーの初監督作品で、撮影したカメラマンは日本人の西本正さん。彼の高い撮影技術と長年の映画製作の経験が、『ドラゴンへの道』の製作に活かされています。また見所はリー演じる主人公タンロンが、町で出会った娼婦の部屋に行った場面。鏡に映る自分に素早く身構える動きや、キックやパンチの練習風景で見せたスピード感溢れる動きは、まさに彼の真骨頂!! そしてラストシーンでのタンロンを見送る仲間が放った台詞『行く手にはいつも銃とナイフ、それがタンロンの運命かも知れない』。それはあたかもその後のブルース・リーの運命を暗示しているかのようで印象的です」
【ストーリー】
主人公のタン・ルンは、マフィアに立ち退きを迫られている中華料理店の娘チャンを助けるためイタリア・ローマへやってくる。カンフーで撃退するタン・ルンのもとに、マフィアはアメリカ人武道家・コルトを送り込んできて……。
3.『ドラゴン怒りの鉄拳』
「中国人を馬鹿にした “東亜病夫” の額縁を『負けたら食ってやる』と豪語した日本人道場生に、主人公のチェンが無理やり食わせる台詞が印象的。破った紙を彼らの口にねじ込むチェンは、相手を見ずにじっと前をにらんでいる。まさにリー渾身の狂気の演技。そして最後の闘いの後、『自分が自首すれば、道場はつぶさないでくれるな』と約束して連行されるチェン。実はこのラストは1971年のアメリカ映画『明日の壁をぶち破れ』とまったく同じ設定。この作品はほかにもブルース・リー映画との関連があるので要チェック!」
【ストーリー】
師匠の死を受けて上海に戻ってきたチェンは、葬儀を妨害する日本人武道家を叩きのめす。さらに師匠が残した道場の乗っ取りを画策し、師匠を毒殺したとの情報を掴んだチェンは、師匠の敵討ちを決意する……。
4.『ドラゴン危機一発』
「この映画でのブルース・リーの役柄は、田舎から出て来た朴訥な青年で、『燃えよドラゴン』で我々を魅了した鬼気迫る主人公との違いには、当時は愕然としたものです。でも実はこれ、ブルース・リーの演技力によるものでした。当時31歳のリーですが、すでに芸歴は30年!! 武道が強いだけでなくしっかりとした演技力も備わっており、きちんと役柄を演じ分けていたということですね。そして『うわー! にぎやかだ』と映画開始早々に放つ、ブルース・リーが演じた青年チェンがタイの街並みを見ての第一声は必聴。特に藤岡弘、さん演じる日本語吹き替えで観ると、その田舎者っぷりの演技がよりよく表現されて見えます」
【ストーリー】
田舎から出てきた朴訥な青年チョウアン。働く製氷工場は麻薬の密売で儲けており、知った仲間の工員は殺され、彼らを探す工員ホイも惨殺されてしまう。仇討ちを決意したチョウアンは社長のもとへと向かうが……。
※prime videoの場合はこちら
5.『死亡遊戯』
「主人公ビリーがレッドペッパータワーの3階で出会う韓国テコンドー金段の強敵、チー・ハンサイが放つ『俺と出会ったからには 上の階には通さない』という台詞(※日本劇場公開版のみ収録)。そこに達人の意地と誇りが窺えます。その後にジークンドー対テコンドーの対決が始まるのですが、実際の撮影でもプライドのチーとリーが、作中での勝負の行方について、折り合いをつけるのに苦労したそうです。この作品では、リー本人の登場は10分足らずですが、本物ならではの凄みが味わえます」
【ストーリー】
映画スターのビリーは、国際犯罪組織のボス、ドクター・ランドから傘下に下ることを求められていた。拒否するビリーに対し、ドクター・ランドはビリーの恋人である歌手アンを手にかけようとし始める。重傷を負ったビリーは自らを死んだと偽装し、復讐の機会をうかがうのだが……。
教えていただいたお店……「日本一ドラゴンなお店 今井商店」
長野県飯田市幅権現978-1
TEL090-8032-0848
営業/土日11:00〜18:00(臨時休業する場合あり)
休み/月〜金曜(予約があれば開店する場合あり)
http://www.bruceleedvd.com/
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(出典/「Lightning 2016年8月号 Vol.268」)
Text/A.Shirasawa 白澤亜動
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