そこで、今回、さまざまなジャンルの有識者や専門家に「絶対に見るべき映画」を調査。ミリタリーファンには戦争映画を、ウエディングプランナーには恋愛映画を、剣術士には時代劇を、漫才師にはコメディ映画を……と、その道のプロが選んだ名作が出そろった。
これまで興味がなかったジャンルの映画にも手を出すきっかけに、そして「こんなときどんな映画を見る?」に応えてくれる映画を厳選して紹介します!
1.フルサイズのバンがほしくなる1本……『特攻野郎AチームTHE MOVIE<無敵バージョン>』
アメリカンフルサイズバンを中心に扱っている横浜の「DEEZ CREW」スタッフ・中村則夫さん。自らもプライベートでシェビーバンとダッジバンの2台を所有し、公私ともにフルサイズバン漬けの生活を送っている。そんな中村さんおすすめの1本がこちら。
かつて大ヒットしたTVシリーズをリメイクし、劇場版として2010年に公開されたTHE MOVIEは、逮捕されてしまったAチームのメンバー達が、無実であるということを証明するために行動を開始するというストーリー。冒頭のシーンでB.A.が運転するおなじみ黒いGMC バンが登場すると、当時のファンの心を鷲掴みにした。TVシリーズは、’83年型のGMC Vandulaが活躍しているが、劇場版ではより新しい’94年式がベース。サイドに斜めに入った赤いラインの角度やデザインも変更されているようだ。
「“バニングといえばこのクルマ!” という人も多いと思います。最近は若い世代の人も、ミニカーでこのクルマを知って、当社を訪れてくれたりします。Aチームは、世代を問わず多くのフルサイズバン好きが影響を受けた映画なんじゃないでしょうか」と中村さん。店頭にTVシリーズやこの映画に影響されたであろう、マットブラックのシェビーバンが定期的に入荷していて、人気も高いという。気になる方は要チェック!
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2・3.とにかく何も考えず笑いたい日の2本……『ピッチ・パーフェクト』、『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』【フルーツポンチ(お笑いコンビ)】
村上さんが挙げたのは、ダメダメな大学ガールズアカペラ部の奮闘を描く『ピッチ・パーフェクト』。
「コメディ映画って一口に言っても、シュールなものから高尚なもの、わかる人にはわかるものなど、いろんな種類がありますけど、この作品はとにかく登場人物のキャラがコミカルでくだらなくて面白い。いい意味でステレオタイプなキャラ達が、その期待を裏切らないんです。観終わった後、考えさせられることも空が青く見えることもないんですが、後でバカなキャラを思い出してほくそ笑んだりしてしまいます。是非特別でない、何でもない日に観てもらいたいですね(村上)」。
一方、亘さんは『ハングオーバー!』をチョイス。男たちが、ベガスで独身最後のバカ騒ぎ。翌朝、二日酔いから目覚めると……。
「とにかくハメを外し過ぎたおバカな映画。芸人たる者、この映画みたいに破天荒に生きてみたいですね。この映画は僕の芸人魂をくすぐる映画なんです。マイク・タイソンまで出てきて、思わず吹いちゃいました(亘さん)」
お笑いコンビ フルーツポンチ
テレビや舞台で大活躍中の、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑いコンビ。テレビで、その運動神経の悪さが知られている(?)ボケ担当の村上さんと、アメカジ芸人として、メンズ雑誌に連載を持つツッコミ担当の亘さん。今回はコメディ映画について、お気に入りの1本をそれぞれ挙げていただいた。
4.’50sのアメリカ車が出まくりの1本……『ペギー・スーの結婚』
トライシェビーを中心にヴィンテージアメリカ車を扱う「DREAM MACHINE(http://www.dream-machineemo.com)」代表のシェビー山田さんが選んだのがこの1本。
巨匠コッポラがキャサリン・ターナー、ニコラス・ケイジらを起用して手がけた’86年公開の作品。夫との離婚を決意し、子供と暮らしていた主人公のペギー・スーが、ハイスクールの同窓会に出席したことをきっかけに、25年前のハイスクール時代にタイムスリップする物語。別居中の夫、チャーリーはハイスクールの同級生。当時まだ交際中だったチャーリーとの関わりを通じ、青春時代の葛藤を、ペギーの俯瞰した目で見るという、なんとも面白い視点から映画は進む。
「物語はもちろんなんですが、注目したいのは、タイムスリップした’60年代初頭の世界です。当然ですが登場するほとんどのクルマが’50年代という、’50sカー天国。メインで登場する’58年のベルエアコンバーチブルの他にも、トライシェビーを中心に多くの’50sカーを見ることができます。自分の好きな年代のクルマが現役だった時代を垣間みることができる、数少ない映画なんですよ」と山田さん。登場するほとんどのクルマはオリジナルの状態。この作品は、新車だった当時のリアルな姿を再現した隠れた名作として、’50sカーファン感涙の一本なのだ。
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5.波乗りを始めたくなる1本……『ビッグ・ウェンズデー』
「これまでの人生で一番多く観た映画ですね」と『ビッグウェンズデー』を猛烈にレコメンドするのは、サーフィン雑誌などで活躍する写真家ペロさんだ。湘南で生まれ育ったペロさんだが、そもそも波乗りを始めたきっかけが、この映画だったとか。
「中学生の時に初めて観ました。それまでカンフー映画にぞっこんでしたが、作品の雰囲気がとてつもなく好きになって、自分も波乗りをしたいと思いました」
舞台は1960年代後半のカリフォルニア、三人のサーファーの生き様を、時代背景とともに描いた青春ストーリー。監督ジョン・ミリアスはマリブ出身の筋金入りのサーファーなので、波乗りの撮影にひと際こだわっている。当時のニューカマー、ジェリー・ロペスなど多くのプロサーファーも登場。まさに「本物」の波乗り映画だ。クライマックスは、水曜日にやってくるという伝説の大波に三人が挑むシーンだ。
「主人公のマットが大波に向かおうとして、石階段を降りようとすると、ケンカ別れや疎遠になっていた仲間のジャックとリロイが登場。はにかんだ感じで言葉も交わさずに 三人で大波に向かう。男心をくすぐりますね。深夜に酒を飲みながら観るとグッときますよ」
6.スタイリッシュなサーファーになれる1本……『シェルター』
湘南でも屈指のスタイリッシュなプロサーファーとして知られる榎本信介さがんおすすめするのが、『シェルター』だ。2000年に制作された作品だが、ロブ・マチャド、ジョエル・チューダーら、当時の人気サーファーが軒並み出演して話題を呼んだ。
「それまでのサーフムービーはメロコアがガンガンで激しい映像が主流だったが、この映画はゆるくてのんびりした映像と音楽が印象的だった」と、榎本さんが語るように、この作品は全編16㎜フィルムで撮影したり、BGMはオーガニックサウンド(ジャック・ジョンソンも登場)を流したりとアート色が強く異色だった。
また、当時のフィン界はトライフィンと呼ばれるパフォーマンス重視のサーフボードが主流だったが、この映画
で登場するのはシングル・フィンと呼ばれるクラシックなデザイン。榎本さんがお気に入りのシーンも「シングル・フィンのショートボードを仲間で乗り合う」場面。そのメローなサーフスタイルに触発されて、榎本さんもシェイパーとして自らシングル・フィンのサーフボードを手掛けるようになったという映画だ。
7.西海岸カルチャーに浸れる1本……『シードリング』
アメリカンブランドをはじめとする総合スポーツアイテムショップ「オッシュマンズ」のプレス担当者であり、ロングボード一筋という生粋のサーファーでもある角田浩紀さんがおすすめするのがこちらの作品。 サーファーであり、スケーターでもあるトーマス・キャンベルが2年かけて世界中で撮影してきたサーフムービーだ。
「昨今のコンペティションシーンとは違って、シングルフィンのクラシカルなロングボードがもつ優雅さが見事に表現されてます。トーマス・キャンベル放つ世界観に感銘を受け、私自身のサーフスタイルにも大きな影響力を与えた1本なんです。
何よりもノスタルジックな16㎜フィルムで撮影しているので、アーティスティックな映像に仕上がっているのもポイント。サーファーならば、絶対に観なくちゃいけない映像。西海岸のサーフカルチャーがスタイリッシュに描かれているので、サーフィンを知らない人でも、アメリカ好きならそのカッコよさは伝わるはずです!」
8.地球の壮大な自然を感じられる1本……『ワンエイティ・サウス』
アメリカを代表するアウトドアブランド「パタゴニア」日本支社の岡部泰英さんがおすすめするのが『ワンエイティ・サウス』だ。
「パタゴニア」のイヴォン・シュイナードと、「ザ・ノースフェイス」のダグ・トンプキンスという偉大なアウトドアブランドの創設者二人が、若かりし頃に南米まで旅に出た。その時の記録に魅せられた一人のフォトグラファーが、彼らの軌跡を辿る旅を映像化。
「南米パタゴニアの大自然の美しさには息を呑むばかり。映像とマッチしているジャック・ジョンソンの楽曲をはじめ、サウンドトラックが心地いい作品なんですよ。イヴォンとダグの語りかけてくる環境メッセージが、ストレートに心に響きました」
イースター島の美しい夕景や荒れ狂う大海原、パタゴニアの高峰コルコバド山の壮大なパノラマをフィルムに収め伝説の旅を見事に再現した地球の美しさを体感できる一本だ。
9.ROCKなスピリットを感じる1本……『デッドマン スペシャル・エディション』【池田“ジンケ”健児さん(ギタリスト)】
ジョニー・デップが演じるビル・ブレイクは会計士。ある日、濡れ衣の罪を着せられ、賞金目当ての殺し屋たちに追われるようになるという物語。最初は気弱そうな青年という印象のビルだったが、逃亡を続けるうち次第に凶暴性を帯びていく……。
「何といっても制作者の意図がROCK的(笑)。全編モノクロ映像というのも驚いたけれど、バックに流れる音楽がまた強烈で、ニール・ヤングのギター1本のみ。ドラムとベースもまったくなし。シーンによってミュートしたりアルペジオになったりとアレンジが変わるのだけど、基本同じテーマの繰り返し。映画というよりもプロモビデオみたいでカッコいい!」
ギタリスト 池田“ジンケ”健児さん
ロックバンドASIRO(http://asiro-offcial.com/)でギターを担当。他のバンドにもサポートで参加するなど精力的に活動中だ。
10.本当の家族像を垣間見られる1本……『8月の家族たち』【IMALUさん(タレント、歌手)】
8月の真夏日。父親が失踪したと知らされ、率直で毒舌家の母親の住むオクラホマの実家に集まった三姉妹。生活も思惑もバラバラな家族たちは、言わなくてもいい本音をぶつけ合い、ありえない隠し事が次々と明るみになるという物語。
「家族の映画って絆や愛をテーマにしたものが多いけれど、この作品は家族間にあるギスギスした感情をリアルに描いているんです。クレイジーな母親に性格の違う姉妹、それを取り巻く親戚。家族だからこそイラッとすることってある! と共感できる部分がたくさんありますよ」
メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツを中心に超豪華キャストが集結した本作。彼らの体を張った迫力ある演技も見所のひとつだ。
タレント、歌手 IMALUさん
語学を学ぶためカナダの高校へと留学。現在はタレントやアーティストとしてTVや雑誌等で活躍中。大の映画好きとしても知られている。
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11.タランティーノを知る上で欠かせない1本……『レザボア・ドッグス』
神田・神保町で20年以上古書専門店「ヴィンテージ」を営む帖佐勲さんは、熱狂的なクエンティン・タランティーノ監督のファン。
「綿密に計算された構成、そして彼自身映画オタクで、ファンを喜ばせようという仕掛けに満ち溢れている。アカデミー賞は取れないと思うけど」
中でも最高の1本を挙げるとしたら?
「どれも最高なんだけど、あえて言うなら『レザボア・ドッグス』。複数人の登場人物の歩んできた物語を挿入しながら、時間軸は事件の中で動いていく秀逸なシナリオ。タランティーノがマドンナの話で盛り上がっているオープニングから一転して黒服の人たちが一斉に歩いてくる。それだけでカッコいい」と絶賛。「来日はたくさんしてると思うので、ウチのお店にも来て頂けたら嬉しいです。お待ちしております、監督!!」
12.料理人としての情熱を感じる1本……『二ツ星の料理人』【速水もこみちさん(俳優)】
料理家でもある速水もこみちさんが挙げてくれた料理映画が、現在公開中のこの作品。パリの一流フレンチレストランの二ツ星シェフ、アダムがスキャンダルを起こして姿を消した。腕はいいが人間的には欠点だらけの男が、三ツ星をとって世界一になることを誓うという物語。
「『二ツ星の料理人』は、『ハングオーバー』に出演されていたブラットリー・クーパーさんが主演されているということで公開前から気になっていた作品です。劇中ではレシピが出てくるだけでなく、主人公のストーリーも描かれており、シェフとしてだけでなく一人の人間としてのドラマがありました。
ひとつの料理を仕上げるまでにどんな食材・調味料が必要なのか、どんな調理法があるのかということも描かれていて、次の展開がとても気になる作品でした。特に印象的だったのは調理場でのやりとりのシーン。普段見ることができない調理場ではそれぞれの役割があり、お客さん一人ひとりに完璧で最高の料理を出すまでの掛け合いがとてもリアルで緊張感がありましたね」
俳優 速水もこみちさん
1984年生まれ。映画やドラマで活躍する傍ら、2011 年よりNTV 系『ZIP!』内「MOCO’Sキッチン」を
担当。これまで1300以上のレシピを披露している。
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13.アメコミにハマる1本……『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』
様々なSFカクテルを考案するバーテンダーとして活躍する「神田FLUX」店長・荒谷大輔さん。ちろん自身も
SF映画好きで、新作は公開初日に映画館で観るのが楽しみなんだとか。そんな荒谷さんがおすすめするアメコミ原作映画がこちら。
マーベルコミックが生み出した伝説のアメコミヒーロー、キャプテン・アメリカの活躍を実写で描いたアクション大作。作品の舞台は1942年のアメリカ。大戦中の軍の秘密実験によって、主人公は強靭な肉体を手に入れる。
「強い意志と正義感を持ちながらも身体的に劣っていた主人公が、科学の力で強靭なパワーを手に入れ活躍するところに惹かれます。ひょっとしたら実現可能? と思わせ、わかりやすくドキドキするストーリーがアメコミ映画の魅力。人間臭いキャラクターが好きなので、他には『アイアンマン』、『ダークナイト』もお気に入りです」
14.アメコミの意外な一面を知る1本……『デッドプール』
東京・秋葉原にある日本随一の品揃えを誇るアメリカンコミック専門店「ブリスターコミックス」のオーナー・大橋徹二さんが、アメコミの意外な一面が見れるとすすめてくれたのがこちら。
「実は以前からアメコミファンに圧倒的に支持されていた作品なんです。だから一般的には無名に近かった『冗舌な傭兵』ことデッドプールが映画化されたとあって選出せずにはいられませんでした。常にジョークを言い放ち、相対する敵を容赦なく倒す……というかぶった切り、撃ち抜く! 荒唐無稽なキャラクターをいかに実写化するか興津々でしたが、結果は見事に◎! 前知識なく観れるのもいいですね。文句のつけようのない快作ですよ」
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15.好きな人が出来た時に観る1本……『最後の恋のはじめ方』
出版社の広告営業を経て、念願のハワイに移住。現在はブライダル関連の仕事に従事し、趣味はゴルフとサーフィンというブライダルマネージャーの髙橋塁さんがおすすめする「恋愛もの」がこちら。
ヒッチことウィル・スミスは、恋愛下手な多くの男性たちに勇気とテクニックを与え、確実に幸せへと導くデート・コンサルタント。しかしヒッチが恋に落ちた相手のサラは、彼が女性を騙す仕事をしていると勘違いしたため、自身の恋愛が難航するという物語。
「最終的に恋愛を成就させるにはテクニックではなく、パッションが必要なんだと感じました。ちなみにヒッチが依頼主に教える恋愛テクニックは、意外と勉強になります。好きな女性が出来たりや合コンに行っ時には、活用してみるのもいいかもしれません。そんなハウツーモノとしても観てほしい一本ですね(笑)」
本気の恋に踏み出せない人へ勇気を与えるという仕事のヒッチ。劇中に登場する冴えない会計士とのやり取りも笑いを誘う。
16.もう一回野球を始めたくなる1本……『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』
小学生から野球をはじめ、中・高・大と野球一筋だった「ウエアハウス」プレス・藤木将己さんがおすすめする1本がこちら。デトロイト・タイガースのベテラン投手チャペルの選手生活最後となる日を描いたストーリー。球団が売りに出されることが決まり、チャペルは引退かトレードを迫られる。また恋人からも別れを告げられ、重い足取りでマウンドに上がる。しかも対戦するヤンキースは勝てば優勝が決まるため、絶対に落とせないと試合に臨む。
「野球モノは1シーズンや半生を描いたりする映画が多いけど、1試合だけにフォーカスしている珍しい作品ですよね。だから崖っぷち投手の葛藤がじっくり描かれているのが秀逸。時折挟まれる回想シーンでは別れた恋人とのストーリー展開され、よりチャペルの心理状況を浮き彫りにする。しかもアウェイのスタジアムで投げる過酷な状況(甲子園で江川が投げるイメージかな)も描写されて観てるこっちまでドキドキしてくる」と大絶賛。そんな藤木さんが驚いたのはチャペルを演じるケビン・コスナーの投球シーンなのだとか。
「彼は野球が上手いんでしょうね。プロ顔負けのフォームで普通にMLBを見ているような違和感の無さでした。ケビン・コスナーの野球愛は本物です!」
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17.ビートル好きなら必見の1本……『ラブ・バッグ』
意思を持ったビートル“ハービー” がレースで大活躍するという、’69年公開のディズニー映画の名作をおすすめするのは、「FLAT4」代表・小森隆さん。空冷VWの専門店として40年以上支持されている老舗ショップ代表で、今作の劇中で使用された本物のフロントフードがディスプレイされているショールームは、ファンならずとも必見の価値ありだ(http://www.flat4.co.jp)。
「当時’59年式のトライアンフTR-3Aに乗っていたんですが、この映画を観て『いつかはビートルに乗ろう!』と決
心した思い入れのある映画です。現在ショールームに飾ってあるフロントフードも劇中で実際に使用された車両から外したホンモノで、30年以上前に入手しました。私の宝物です」と、小森さん。驚くべきことに、現在の「FLAT4」ができるきっかけとなったのがこの映画だったというワケだ。
劇中車のハービーは’63年式のラグトップモデルを使用していて、現在でも“白い63ラグトップ”は人気が高い。フードを開け閉めしたり、ヘッドライトをクルクルと動かすことで感情を表現するハービーは、愛らしいスタイルのビートルでなければ再現できなかっただろう。
ちなみにレーシングストライプや53番のゼッケンは、世界中のファンによって再現されており、それが今でも簡単に入手できる。つまり、白いビートルにステッカーを貼るだけで簡単にハービー仕様を再現することができるというワケだ。’05年にリンジー・ローハン主演で続編ともいえる「ハービー/機会じかけのキューピッド」が公開され話題となり、その公開前後は、世界中のVWミーティングでハービー仕様をたくさん見ることができた。ハービーは老若男女問わずに愛されるアイコン的な存在なのだ。
18.フツーの怪獣映画では物足りないならこの1本・・・『恐竜・怪鳥の伝説』
SF、ホラー映画を中心に、ハマー・フィルムの研究会を主宰する他、怪奇映画研究家、造形作家などマルチに活動している「ハマー・フィルム研究会」主宰・小浅和大さんがおすすめするのはフツーじゃないこちらの映画。
「’70 年代中盤の恐竜ブーム、そして1976年に公開された『ジョーズ』のヒットを受けて製作された、動物パニック映画の趣をもった珍しい怪獣映画。富士山麓の西湖に現れた首長竜(プレシオサウルス)と翼竜(ランホリンクス)襲来の恐怖を描き、血生臭い描写が多く、従来の特撮怪獣映画とは一線を画したグロさが特徴。青木ヶ原樹海のジットリした空気感、馬の首なし死体、女性のバラバラ死体など、リアリズムに富んだ箇所が随所にあり、見どころも多いのだけど、肝心の怪獣特撮シーンがつたないのが何とも残念」
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19.貴重なお宝シーンが拝める特撮モノならこの1本・・・『エスパイ(東宝DVDセレクション)』
伝説のエロ雑誌「デラべっぴん」で、AVアイドルのヌードが動く紙工作「オナマイド」を10年連載。編著は「昭和ちびっこ広告手帳」、「アカツカNo.1 赤塚不二夫の爆笑狂時代」など多数あるエディトリアル・デザイナーのほとうひろしさんのおすすめは『エスパイ』。
平和のために超能力を使う“エスパイ” と、政治や謀略のために力を使う“逆エスパイ” の対決を描いた作品。
「テレビ『仮面ライダー』で、繊細さと逞しさを兼ね備えた本郷猛を演じ、男子の心を鷲掴みにした藤岡弘と、資生堂“NG5” の広告で飛び抜けた爽やかさを振りまき、女子をメロメロにした草刈正雄。’70年代前半を代表するガタイのいいイケメン俳優二人が、最も旬だった’74年に、世界最高峰の紳士服店『アンジェロ・リトリコ』のスーツに身を包み、イカした超能力者を演じるという、華麗さが際立つ特撮アクション映画。ヒロインの由美かおるは当時23歳。見事な釣鐘型の乳房(乳首込み)を悪漢に丸出しにされるシーンでは、スローモーションでわざわざユッサユッサさせているところも最高な大傑作です」
20・21・22.深夜の自宅でついGUNアクションをマネしたくなる3本・・・『デルタ・フォース』『ジョン・ウィック』『リベリオン -反逆者-』
男性はいつまでたっても童心を忘れない。刺激的なGUNアクション映画を見た日には、ついその動きをマネしたくなるもの。そこでエアガンメーカーの雄、東京マルイの島村さんに推薦映画を紹介してもらった。
「まずは“B級アクション”という言葉の代表格、チャック・ノリス主演の『デルタフォース』。当時推定46歳の体を張った動きは、見るからに頑張ってる感満載で必見。あと外せないのは“ガン=カタ” という架空の近接戦闘術を劇中で登場させた『リべリオン』。試写室で見るなり目からウロコの衝撃! 数々のGUNアクション映画を観てきましたが、こんな描き方があるんだ! としきりに感心しましたね。女性にしか興味ない自分ですが、主演のクリスチャン・ベールには惚れました(笑)。そして最後は『ジョン・ウィック』。主演のキアヌ・リーブスのワンテイクで流れるように演じた無駄のない銃捌きはまさにプロ!! キアヌ・リーブスにも惚れました!」
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23.子育て中の人に見てもらいたい1本・・・『サウンド・オブ・ミュージック 製作50周年記念版 DVD<2枚組>』
ドレミの歌で知られる『サウンド・オブ・ミュージック』。第二次世界大戦が始まる直前のオーストリアにて、修道女マリアが7人の子供たちの家庭教師になるところからストーリーが動き始める。学年ビリのギャルが慶應に現役合格する映画『ビリギャル』のモデルとなった本人。現在はウエディング・アドバイザーとして活躍中する小林さやかさんがおすすめポイントを教えてくれた。
「最初は頑なだった子供たちが、徐々にマリア先生と打ち解けていくシーンが大好きです。子供も観やすい映画だけど、大人こそ観てほしいですね。子育て中のママは特にオススメしたい。大事なメッセージが込められている映画ですが、重すぎずストレスなく観られるミュージカル映画ですね」
24.もしもの時に備えて観ておきたい1本・・・『カリフォルニア・ダウン』
川崎市消防局の現役レスキュー隊員である川窪雄一さんがおすすめするのがこちら。カリフォルニアに大地震が起き、ロサンジェルスとサンフランシスコが壊滅。ロスの消防局でレスキューとして働くレイが離婚調停中の妻エマと協力しながら、娘ブレイクがいるサンフランシスコに救助へと向かう。
「未曾有の大災害に立ち向かう恐怖がありながらも家族や人々を助けたいというレイの強い気持ちに共感を受けました。映画ならではの演出もありますが、娘ブレイクの冷静な判断も素晴らしい。何よりも共に助け合い、支え合うことが大切であることが描かれていて、同じレスキュー隊員として深く共感しました」
崩れ落ちる高層ビル群など災害の描写がリアル。大地震の怖さを思い知らされる。映画だから……と思わずに真剣に観たい一本だ。
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25.猛者の“腕力”を堪能できる1本・・・『オーバー・ザ・トップ』
2009年エジプトで開催されたWAF世界大会に出場、マスターズ78キロ級で優勝、世界チャンピオンとなった宮本“THE RUSH”真治さん。アームレスリングチームzero腕代表としてアームレスリングの普及にも力を入れている彼がピックアップしたのは、アームレスリングを題材にした1本。
アームレスリングを通じて、親子の絆を謳い上げた、ロッキー、ランボーに並ぶスタローンの代表作。愛する息子を、死んだ妻の父から取り戻そうと、父として男として、すべてをかけたアームレスリングシーンは圧巻の一言。公開当時、日本でも大ヒットし、少年たちの間で腕相撲が流行したのを覚えている方も多いのでは。
「この映画が公開された1987年、私はサラリーマンをしていましたが、この映画を観て触発され、すぐにアームレスリングについて調べ、京都で開催された西日本大会に初めて出場しました。結果は惨敗。悔しくて負けた次の日からジムに通い、本格的にアームレスリングにのめり込んでいきました。『オーバー・ザ・トップ』を観なければ、今の自分はいなかったかもしれません。私もなんども世界選手権に出場しているんですが、あの作品には、現在も世界で活躍している有名スター選手が多数出演してるんですよ。なかでもジョンブルザンク選手やコブラ選手、アレンフィッシャー選手など、50歳を超えても一線で戦う現役選手であり、私の憧れでもあるんです。誰もが一度は経験したことがあり、すぐに始められるアームレスリングの魅力を、この映画で堪能してもらいたいですね」
26・27・28.ガチの軍用装備を身に着けたくなるこの3本・・・『ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場』『プルーフ・オブ・ライフ 特別版』『ネイビー・シールズ』
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戦う男たちが身に着ける装備はどれもスパルタンなアイテムばかりで憧れてしまう。だから自分も同じモノを身に着けたいって思うのが、男のサガというもの。そんな視点のもとに観るべき戦争映画とは? ミリタリーやファッションシーンから支持を集める、最新軍用プロダクツショップを主宰する「新宿テーラー&ストーナー」横田晴信さん(http://www.taylor-stoner.com/)に聞いてみた。
「映画『ハートブレイク・リッジ』は、クリント・イーストウッド主演の戦争娯楽映画。グレナダ侵攻をテーマにしており、その時代はPASGTヘルメットが支給され始めた頃。ウッドランド迷彩のLC-2装備との組み合わせが素敵です。映画『プルーフ・オブ・ライフ』は、装備や衣服等もその時代に合わせてS.O.TECH社(※米軍に依頼されて特殊装備品を作るメーカー)を使っており、国籍不明を装う西側のオペレーターながらも、装備や衣服の組み合わせから元の所属をなんとなく推測できそうな感じがよくできています。映画『ネイビー・シールズ』は、特殊部隊らしい全身黒装備にH&K MP5(※短機関銃)の組み合わせが最高。敵陣への潜入作戦ではオーストリア迷彩やローデシア迷彩、そしてチャイナチェスト(※弾匣袋)を組み合わせていたりと、ネットが無い公開当時としては、これがリアルな装備なのかと感心しました」。う〜ん、マニアックです!
29.プレイボーイな空の男になりたくなる!1本・・・『戦う翼』
本格的アクション俳優として一時代を築き、世界中の映画ファンを熱狂させたスティーブ・マックイーン。彼の戦争映画の代表作と言えば『大脱走』だが、隠れた名作として知られるのが『戦う翼』だ。原題は「The War Lover」となっており、実はその原題こそが作品の本質を表したタイトルなのだが……。それはさておき、この作品はリプロダクトブランドとして知られる「バズリクソンズ」と深い関係にある作品。そんな訳でブランド統括を務める、亀屋さんにこの作品について語ってもらった。
「この映画は大戦最中の1943年、米陸軍航空隊の第8空軍が駐屯していた、イングランドでの活動の様子がストーリーの軸となっています。劇中にはスティーブ・マックイーン演じるバズリクソンズ大尉が登場するのですが、彼の名前が私たちのブランド名の由来になります。この作品の見所は、劇中に登場するパイロットたちが纏ったフライトジャケットのA-2とB-3。実際の史実でも着用頻度の高かったフライトジャケットで、劇中でもそれと同様に経年変化を伴った味わい深い表情を見せており、映画をより生々しくリアルなものへと昇華させています。
またマックイーン扮するバズリクソンズ大尉が飛行隊の指揮を執っており、そこで見せたB-17爆撃機の絶対的な操縦技術への自信さと、女性を口説き落とす時に見せる自信に満ち溢れたプレイボーイぶりには、ただただ脱帽するばかりです(笑)」
30・31・32.オタク目線で観るべきミリタリー作品3本・・・『鷲は舞いおりた』『ガールズ&パンツァー 劇場版』『戦争のはらわた』
多くの戦争映画を観てきた「ザ・リアルマッコイズ」内田さん。ミリタリーに関しての知識、造詣の深
さは随一で、本誌でも折につけその見識眼を披露いただいているが、おすすめの映画もまた独自のセレクト眼が光る。
「外せないのが1977年公開の『戦争のはらわた』。旧い記録フィルムに新しい映像をオーバーラップさせるオープニングから、ジェームズ・コバーンの笑い声が被さるエンドロールまで、サム・ペキンパー監督の暴力的なスローモーションが狂気を煽ります。次に『鷲は舞い降りた』。空挺隊がフックを咥えるシーン、アフリカの従軍カフタイトル、山岳部隊章など、細かいところまで手抜きなしなのがスゴイ! 最後に……『ガールズ&パンツァー・劇場版』。狙っただろと言われそうですが、本当に面白くてブルーレイを買って何度も観ています。戦車ファンならなおオススメします。甲高い発砲音、排莢シーン、どこをとってもこだわりが感じられ……たまりません!」
33.プロレスで男泣きする1本・・・『レスラー』【清野茂樹さん(フリーアナウンサー)】
ピークを過ぎたミッキー・ローク演じるランディ・“ザ・ラム”・ロビンソンの生きざまを描いたプロレス映画の金字塔。「プロレスラーとは?と聞かれたときの答えがこの映画にあります」と清野さん。それほどまでにこの作品はプロレスラーという職業をリアルに描いている。
「荷物一つで試合会場を転々とする個人事業主としての姿。痛み止めを飲んで身体を酷使するという肉体労働者としての姿。娘との約束をすっぽかすだらしのない姿……」。そんなランディは心臓の病気を患ってもリングにあがり続ける。
「アントニオ猪木さんがよく言う、お客さんを掌の上で転がす気持ち良さ。人を熱狂させる快感。それは(劇中でランディがバイトをしていた)ポテトを量り売りする仕事では決して得られないものなんです」
フリーアナウンサー 清野茂樹さん
広島エフエム放送でアナウンサーを経験後、2006年よりフリーアナウンサーに。NJPW、WWE、UFCという世界3大メジャー団体の制覇。いつ何時、誰の実況でもこなす“特殊実況” が持ち味。
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34.子どもに観せたい1本・・・『フリー・ウィリー』【梶原雄太さん(お笑い芸人)】
「映画を通じて、子どもたちに動物を慈しむ心を持ってもらいたい」と梶原さんが選んだのが『フリー・ウィリー』。母親に捨てられたジェシー少年と母親から引き離され水族館で飼われているシャチのウィリー。同じ境遇同士のジェシーとウィリーは次第に信頼と友情を深めていく。ウィリーやジャンプやダイビングなどの芸を身につけるがデビューの日、多くの観客に恐怖を覚えてしまう。そして経営者は、保険金目当てにウィリーを殺すことを企む。そこでジェシーがとった行動とは——というストーリー。
「感銘を受けたシーンは、主人公の少年がウィリーに芸を仕込むシーン。心を閉ざしていた少年がウィリーにだけ心を開き、ウィリーに乗れた時の笑顔がすごくよくて印象的でした。子どもと一緒に観たい作品ですね」
お笑い芸人 梶原雄太さん
1980年生まれ。漫才コンビ「キングコング」のボケ担当としてあらゆるメディアで活躍。プライベートでは5児の父親でもあり、イクメンパパとしての顔を持つ。
35.頭がよくなった気分になる1本・・・『シチズンフォー スノーデンの暴露』【赤ペン瀧川/瀧川英次さん(映画コメンテーター)】
「現代社会の恐ろしさを描いたドキュメンタリー映画として断トツの仕上りです。“頭がよくなった気分になる映画” であると同時に“頭を抱え込む映画” でもあります。映画の内容を簡単に説明すると…… “アメリカ政府が個人のプライバシーを侵害しまくっていたことを29歳の若者が内部告発した挙げ句、実名で名乗り出ちゃった事件” の最初から終わりまでガッツリ映像に納められてます。本人は超シレっとしているんですけど、インタビュアーもこれから起こるであろう大事件に向けて緊張しているのがすごく伝わってきます。そして世界を震撼させるとんでもないスクープが巻き起こる中、スノーデンが何を思ってどんな行動に出たのか!? スリリングな内容に、注目して頂きたいと思います」
映画コメンテーター 赤ペン瀧川/瀧川英次さん
なんでも添削家、映画コメンテーター、俳優として活躍中。スライドとトークを武器に様々な添削(ツッコミ)する姿が強烈で「天才スライドトーク職人」とも。
36.ウエスタンのクールな着こなしが学べる1本・・・『ロング・ライダーズ』【なぎら健壱さん(タレント)】
西部史上最も恐れられ、そして愛された最強の強盗団、“ジェームズ・ヤンガー・ギャング” を描いた本作を選んだなぎらさん。
「西部劇復権といわれた映画だけど、実は映画的にはあまりパッとしないのよ。しかしウエスタン・ファッションを楽しむには絶好の映画だね。まだウエスタン・ファッションが確立する前の、黎明期のアメリカが舞台。だから服装にはまだコンチネンタルの香りが色濃く残っている。そんな時代のファッション考証がウエスタン好きにはたまらないわけ。アウトローたちが着ている踝までありそうな丈の長いダスターコート。馬乗り用に腰のあたりまでベンツが入っているのがなんとも格好いい。ライ・クーダーの挿入曲も見逃せないね。『クイック&デッド』『許されざる者』も併せて観ると面白いかも」
タレント なぎら健壱さん
フォークシンガーや漫談家、エッセイストなど多彩な顔を持ち、芸能界きってのウエスタン通としても知られる。自転車やカメラ、ガラクタ収集、酒など趣味の守備範囲も広く、著作も多数。
37.旧きよきファッションを知るための1本・・・『アンタッチャブル スペシャル・コレクターズ・エディション』
「近代的な時代を扱うことの多いクライムサスペンスですが、『アンタッチャブル』の舞台は、1930年代のアメリカ・シカゴ。いわゆる戦前と呼ばれる時代で、服的にはワークウエアが面白い時代ですが、個人的にはスーツなどのトラディショナルなファッションが着こなしも含めリアルに描かれているところに注目しました」と話してくれたの
は、本誌でも活躍中のスタイリストの中島さん。
禁酒法時代のシカゴにて、ギャングのボス、アル・カポネの逮捕に命をかける捜査官たちの日々を描いた実録映画。ケビン・コスナーやショーン・コネリー、ロバート・デ・ニーロなど大物俳優が出演する。初めて見たのは20代の頃で、当時はカジュアルな服しか持っていなくて、ほとんどラペル付のジャケットを着る機会はなかったという。しかしこの映画をきっかけにトラッドの服にも興味が湧くようになり、ツイードのジャケットなどアメリカン・トラディショナルなアイテムも買い漁るようになったのだとか。
「ケビン・コスナーが階段から落ちてくるベビーカーを受け止める有名なシーンなんか、鳥肌が立つくらいカッコいい。そんなケビン・コスナーに僕も憧れていた時期もあったのですが、いつの間にかヘアスタイルだけ、ショーン・コネリーになっちゃいました(笑)」
38.セクシーでカッコイイと思わせてくれる1本・・・『バーレスク』
「バーレスクダンサーという自分の仕事に最も影響を与えた映画だと思う」とバーレスクダンサーのMiiさんが選んだのが『バーレスク』。簡単に説明をすると、ロサンジェルスにあるラウンジ「バーレスク」を経営するテスは、かつて有名なダンサーだったが、引退し指導にあたっていた。アイオワの田舎町から出てきたアリ(アギレラ)がウェイトレスとして働いていたが、あるときステージで歌声を披露する。そしてその才能を開花させていく──という物語。
「一番最初に主演のアギレラがステージで声を発する場面があるんですけど、迫力あるあのシーンが忘れられません。それ以外のステージシーンでの衣装やメイク、演出が煌びやかで衝撃を受けました。セクシーなのはもちろんですけれど、かっこよさや彼女たちの強さも感じました。女性の魅力が最大に引き出されている映画だと思います。男女年齢関係なく、刺激を求めている人や美意識をあげたい人、エンターテインメントが好きな人、ステージに立つ仕事をしてる人におすすめの作品だと思います」
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39.成田空港の旅情が満喫できる1本・・・『グッバイ・ママ』
秋元康第一回監督作品のラブコメディ。松坂慶子演じる30代半ばのキャリアウーマンかな子の元に、ある日突然、昔の恋人の遺児・健が転がり込んできて――。空港が好きで『月刊エアライン』に入ったのが編集人生の始まりというLightning本誌ディレクター・モヒカン小川が選んだのは『グッバイ・ママ』。
「NYに転勤するかな子を追って健が空港へ。その舞台が当時の新東京国際空港。この映画の公開が’91年で、翌’92年から第2ターミナルの供用が開始されるわけ。で、その年にはこの舞台になった第1の北ウィングが工事で閉鎖になっちゃう。まさに最後の北ウィングが満喫できる映画。当時の北ウィングは出発ロビーからエスカレーターを降りて手荷物検査場にいく構造で、これがドラマを生むんだよ。実は一緒に降りていけるのに、なぜかここでバイバイ。でもそれがいいの。主題歌の竹内まりやの『駅』も当時の北ウィングにぴったり。いまの成田じゃこうはいかないね」
40.武道の強さ、カッコよさを学べる1本・・・『蛇鶴八拳<日本語吹替収録版>』
幼少期に観た⾹港カンフー映画の影響で武道を始め、現在は東京都内を中⼼に、伝統カンフーを“武道” として指導している「TOKYO カンフー道場」代表・佐藤光彦さん。
「他のジャッキー映画と違ってこの作品の主⼈公、徐英⾵(じょえいふう)は最初から強く、余裕もあってカッコいい。強そうな⿓や⻁ではなく、蛇と鶴の拳法を⾃在に繰り出し、挑んでくる敵を倒していく。そして、戦闘中も敵を挑発したり、三つ編みを⾸に巻き付けたりと余裕。クライマックスでは⽩の道着で本気で闘い、これを観た私は、⽇本の武道とダブり、⺟の勧めで⽇本少林寺拳法を始め、現在も続けている。拳法は今の私の指導の礎となり、⼈づくりの武道という理念を教えてくれた。そんなきっかけを与えてくれた一本です」
41.走るのっていいかも、ランニング始めちゃう? な1本・・・『フォレスト・ガンプ 一期一会』
スニーカー業界のご意見番としても知られる、フリーライター/ランナーズ・パルス編集長 の南井正弘さん。マラソン大会にエントリーする実力者で、ランニング情報を発信するポータルサイト「ランナーズ・パルス」の編集長も務める。そんな南井さんが推す作品は『フォレスト・ガンプ』だ。
「トム・ハンクスが演じる主人公のフォレスト・ガンプが、全米を横断するランニングの旅へと出かけ、それを見事に達成するシーンは、本当に感動しました。ちなみにガンプが愛して止まない、女優ロビン・ライト扮するジェニーからプレゼントされた’70年代を象徴するレザーコルテッツは、劇中に登場したことから、復刻モデルは大人気となりました」。
全編を通して“走る” をテーマにしたこの作品。ただガンプが凄いのは、どの走るシーンでも、シンプルな思いだけで走るということ。戦友を窮地から救うため、ジェニーに去られた後でも、ただ走りたいから走り始める。そして月日が流れ、最愛のジェニーへ逢いたいから走る。終盤でジェニーに語る、今まで走ってきた場所の美しい情景のこと。ガンプの真っ直ぐな生き方を観ていると、いつの間にかに走りたくなっている自分がいるはず。
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42・43・44.つい歌いたくなっちゃう3本・・・『LIFE!/ライフ』『食べて、祈って、恋をして』『天使と悪魔』
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バックパッカーから絶大の支持を受けている『地球の歩き方』。編集に携わる石谷さんがチョイスするのはこの3本。
「めったに訪れることのない秘境への旅が冒険心をかきたてる『LIFE!』は必見です。また、女性目線で見た異国風景が印象的だった『食べて、祈って、恋をして』は、出てくる食べ物にも旅心をくすぐられます。最後は旅映画ではないけど、ローマ旅行の予習に打ってつけの『天使と悪魔』。名所の背景を知るのに抜群です」
45・46.観ただけで行った気になれる2本・・・『ナイト・オン・ザ・プラネット』『ザ・ビーチ <特別編>』
2012年にアウトドアに特化したレザークラフトブランド「ブラウンブラウン」を立ち上げた川村さん。旅好きを公言する当人が推薦するのがこの2本。
「まずは『ナイト・オン・ザ・プラネット』。LA、NY、パリ、ローマ、ヘルシンキと、世界の様々な都市で起こる物語を観ていると、自分も実際に行って人と出会ってみたいと思わせます。もう一本が『ザ・ビーチ』。あのような環境で独立した島に住んでみたいという願望は、実は今でも持ち続けています。載ってませんが『パリ、テキサス』も次候補です」
47.’70sのベニスビーチのゲトー感満載の1本・・・『DOGTOWN & Z-BOYS』
’70年代のカリフォルニア州ベニスビーチ。ここからスケートボード文化は急速に発展していく。その黎明期を描いたのがこの作品だ。高校の同級生三野タツヤ氏と共にT19を設立し、日本とアメリカのスケートカルチャー史の変遷を知る「T19」専属ネゴシエイター・大瀧ひろしさんは、このドキュメンタリー映画の魅力をこう語る。
「スケートボードの鉄板映画。自分が10代の頃、’80年代によく訪れていた場所が舞台になっていて、あの頃に憧れていた全てのものがそこにありました。スケートボードという新しい遊びに対して企業が参戦してきてしまった混迷の時代に、真っ向から立ち向かった20代の男達が格好良すぎます。スケートボードはストリートに居た子供達が発見した遊びであり、彼らが成熟させていった文化。その時代にこの映画で語られたことが実現できていたのは、ベニスビーチというゲトーがあったからなのでしょうか?」
48.日本でワインを作るスゴさを実感できる1本・・・『ぶどうのなみだ』
ワイン専門店「ワインショップエノテカ広尾本店」副店長である音田結香さんが選んだのは、北海道の空知地方で“黒いダイヤ” と呼ばれる葡萄ピノ・ノワールのワイン造りの物語。
「北海道出身の大泉洋さんが、ワインの4大葡萄品種のひとつ、ピノ・ノワールを育てて醸造しているんですけど、なかなか理想のワインができないんです。北海道・空知地方は、日本を代表するワインの産地なんですが、ピノ・ノワールは主にフランスの品種なので、日本で育てて醸造する難しさを実感しました。でも、試行錯誤しながら造ったワインを飲んだり、色とりどりの料理が並んだシーンを見ているとワインが飲みたくなりますね」
主人公のアオ役に大泉洋、弟のロク役に染谷将太、そしてヒロインのエリカ役にシンガーソングライターの安藤裕子と多彩なキャストも見どころだ。
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49.バーボンウイスキーが飲みたくなる1本・・・『ヤングガン』
「YEBISU BAR 銀座二丁目店」で働き、ビールアドバイザーでもある錦郡剛さんが選んだのは、1988年に公開されたウエスタン映画『ヤングガン』。西部開拓史上最も名高いアウトロー、ビリー・ザ・キッドと5人の仲間たちの“リンカン郡の戦い” を映画化した作品だ。
「西部劇といえば、決闘と拳銃、そしてバーボンウイスキーの3点がお決まり。当時、ボトルウイスキーやポケットウイスキーに憧れていて、飲み方とかがかっこいいんですよ。傍らにバーボンウイスキーを置いて観たい映画ですね。また若かりしのチャーリー・シーンや『24 TWENTY-FOUR』のキファー・サザーランドも出演。ラスト30分の脱出シーンはドキドキもので、男だったら一度は観ておくべき映画だと思います」
当時ブラット・パックと呼ばれた大人気の若手スターたちが結集した超豪華なキャスティングで、全米興収トップに躍り出た大ヒット青春ウエスタンムービー、まだ見ていない人はぜひ!
50.ゾンビの世界にどっぷり浸かりたいならこの1本・・・『死体と遊ぶな子供たち』
諸先輩方から影響を受けて、ゾンビ映画にどっぷりとハマった、様々なサブカルチャーをソースにしたデザインが魅力の「ローチ」ディレクター後藤有哉さんがおすすめするのは名作が多く生まれた’70〜’80年代もの。『死霊のしたたり』『死霊のえじき』、お気に入りは数多いが、今回挙げてくれたのはあえてマニアックな1本。
「最初この映画を知った時はタイトルもかっこいいしジャケットも最高で期待していたけど……実際はテンポも悪いし、とにかくゾンビが出てくるまで結構時間がかかる(笑)。ただゾンビの雰囲気やラストシーンは個人的にとても好き。自主制作系だと思いますが、興味がある人は是非!!」
ストーリーは変人の座長率いる劇団員が謎の島にやってきて墓場で死体蘇生を行うが……。その設定だけで、すでに勝負あった感のある名(迷!?)作だ。
51.アメリカン・メッセンジャーの青春を垣間見るならこの1本・・・『クイックシルバー』
旅行で訪れたニューヨークに惹かれて、2002年に渡米。スニーカーのバイヤーを経て、2008年に自転車とアパレルの店、「チャリアンドコー(http://www.chariandco.jp)」を設立したニューヨーク在住の後藤雄貴さんは、ダウンタウンに位置するローアーイーストサイドにて、店を経営している。自転車のフレームやホイールなどのパーツから、日常シーンで使えるアパレルや雑貨などを多数展開している。そんな後藤さんのライフスタイルに根差したカルチャーはやっぱり自転車。
「ニューヨークの街中は、自転車でどれだけ走っても飽きない。景色が美しく変わって行くのに惹かれています」というだけあって、絶対に観なければいけない映画として、『クイックシルバー』を挙げてくれた。
「アメリカ、自転車、映画と言えばこれしか無いって感じで選びました。1986年の映画ですが内容は現代に通じるものもありますし、若さやお金、さらには青春といったドラマもありながら、自転車vsクルマのチェイスシーンのアクションも楽しめます。そのサンフランシスコの街中でのシーンはスピード感もあり、最後は……観てのお楽しみということで(笑)。1984年公開の映画『フットルース』で一躍有名になったケビン・ベーコンが主役というところもいいですね。この映画で描かれる多くのシーンが現代の自転車カルチャーの原点かも知れません」
52.カリフォルニア・マリブのセレブ豪邸の凄さが分かる1本・・・『アイアンマン』
ロバート・ダウニー・Jr.主演映画『アイアンマン』シリーズ。ヒーローの活躍を楽しむ映画だが、独学で一級建築士の資格を取得し、「カリフォルニア工務店」のクリエイティブ・ディレクターとして働く岩切さんは職業柄、建築物に目が行ってしまう。
「主人公トニー・スタークが住むカリフォルニア州のマリブにある自宅が凄い。その自宅は地下にアイアンマンのスーツが何体もストックされ、しかも高級車がずらりとガレージに並んでいる……まさに夢の豪邸です。海辺の崖壁に建て、リビングから海が180度眺められる施工は参考になります(笑)」
53.剣術と武士道が学べる1本・・・『椿三十郎』
剣術師として小学生から年配者まで剣術を教えている「金山剣術稽古会(http://kanayamatakayu
ki.blog.fc2.com/blog-entry-609.htm)金山孝之さんは不朽の名作をチョイス。
「時代劇の中でも『椿三十郎』の殺陣シーンに勝るものはないと思います。特に最後の三船敏郎と仲代達矢の決闘シーン。“静”から“動”へ移る間合いが絶妙で、相手の心境を読み取ろうとする心理が伝わってくるんです。剣の振り方もちゃんとしていますし、抜刀術について知らない人が観てもかっこいいと思えるはず。見所は三船敏郎の抜刀シーンです。あの速さはスゴイ! 観ていてスカッとする映画ですね」
54.背筋が凍る恐怖を味わえる1本・・・『女優霊』【五味弘文さん(お化け屋敷プロデューサー)】
『リング』の中田秀夫監督のデビュー作となるこの映画は、世界中を席巻した「ジャパニーズホラー」の先駆的な作品。
「まさに、衝撃的な作品。実際に幽霊を見たことがない人にとっても、幽霊というのはこんな風に見えるのではないかと思わせる独特の手法で撮影されています。私自身、幽霊を見たことはないですが、妙に納得してしまいました」。
中でも恐怖のハイライトは、撮影所の高い天井から落ちた少女が、あり得ない体の曲がり方をして、口をぱくぱくさせるシーン。
「生命の失われた目をしていながら、口だけが動いているというのが、リアルさを感じさせます。こういう演出もあったのかと思いました」
お化け屋敷プロデューサー 五味弘文さん
後楽園ゆうえんちで初のお化け屋敷「麿赤児のパノラマ怪奇館」を手がけたのをきかっけに、数々の恐怖アトラクションをプロデュース。小説や著書本も多数も出版。
55.レース経験者感動の1本・・・『デイズ・オブ・サンダー』
ノーマルを遥かに凌駕し、最高性能を発揮するスーパーXRやスーパーリアルナックルを生み出し、その独創的なモノ造りと、ハーレーでデイトナを制したチャレンジ精神から、海外にもその名が知れ渡っている「サンダンス エンタープライズ」代表・柴崎“ZAK”武彦さん。
「 トム・クルーズがコール・トリクルというレーシングドライバーを演じる映画で、彼がね、本当に天才なんです。それ故に、マシンのセッティングや、メカのことをまったく理解していない。だから何回もマシンを壊すし、ベテランメカニックとケンカばかりしているのだけど、共通の目標であるレースで勝つために、お互いが分かり合える、二人の共通言語を作り、何とかコミュニケーションを取ってやっていくんです。
それだけじゃなくて、スポンサーや、チームのオーナーとも上手くいかなかったりとか。こういうのって、レースの世界では本当によくあること。これを観た当時、私もハーレーでデイトナに挑戦していたので、まるで自分のドラマのように感じました。だって最後のレースはデイトナなんですよ! 経験したあのリアルな空気感も引き込まれましたね。誰もいない静まり返った朝焼けのサーキット、そして清掃車が入って、だんだんと参加者が集まってレースの準備を始める……。同じ場所で、彼らと同じ立場で、同じような速度で私もレースをやったので、そのシーンにはグッときました。何回見ても、必ず涙が出ます」
▼こちらの作品もチェックしよう!
(出典/「Lightning 2016年8月号 Vol.268」)
Text/D.Katsumura 勝村大輔 Lightning編集部
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