「バズリクソンズ」直伝! A-2の経年変化を楽しむためのお手入れ術と、着こなしメソッド。

冬が終わりに近づくと、気になってくるのが冬服のメンテナンス。保管前にどんなことをすればいいのか? 今回はミリタリージャケット「TYPE A-2」のお手入れを、その道のスペシャリスト「バズリクソンズ」企画統括・亀屋さんにお聞きした。正しいお手入れ術をマスターするのが経年変化を楽しむ最初の一歩。記事を読んでA-2との長い付き合いを楽しんでみてほしい。

教えていただいたのは「BUZZ RICKSON’S」のこの方!

「バズリクソンズ」企画統括・亀屋康弘さん。日本を代表するミリタリーガーメンツのスペシャリスト。特に敬愛するTYPE A-2に関しての知識とメインテナンス術を伝授してもらった。

そもそもA-2とは? フライトジャケットの基本であり、ハンドペイントが歴史を語る。

1931年に標準採用され、アメリカ軍航空史上に名を残す傑作フライトジャケットとなったタイプA-2。メインマテリアルに馬革を使用するこのジャケットは、総生産着数が1943年までで約70万着に及んだという。戦地へ飛び立つパイロットたちはA-2を革のキャンバスに見立て、戦う男の証明としてハンドペイントを施していった。

バズリクソンズ2021年秋冬のコレクションのこのモデルもその歴史を語る一着。第5爆撃大隊“ボンバーバロンズ” に所属する第23 爆撃飛行隊は1917年、テキサス州ケリーフィールドで編成され活動を開始した、最も古い飛行隊のひとつ。1920年代から1930年代にかけてハワイに駐留し、その際数多くの爆撃機を乗り継いだ。この頃デザインされた正規の部隊章は、ハワイ特有の火山が噴火したような描写が用いられていた。

しかしこのジャケットの右胸に直接ペイントされた第23爆撃飛行隊章は大戦当時、絵心のある兵士が独自にデザインした非公認の図案であった。その秀逸なスカルの柄は、A-2 ジャケットだけでなくB-17 爆撃機の機首にまで描かれ、兵士たちから絶大な人気を誇っていたという。

米陸軍航空隊の慣習ともいうべきバックペイント。パイロットやエアクルーたちの遊び心ながらも、部隊名などと共にセクシーな「守り神」を背中に纏い、死と隣り合わせという過酷な環境下で張り詰めた心を解き、戦場で士気を高め、勝利と生還を願って描かれていた。

この“バーバラ・ジェーン” もその歴史を物語る。当時の娯楽雑誌などで人気のあった画家ジル・エルブグレンが描いたピンナップガールと、34 回ものミッションが誇らしげに描かれている。第447爆撃大隊は1943 年11月から1945年8月まで英国に駐屯し、ドイツの海軍施設や潜水艦、都市を攻撃することでヨーロッパ大陸の侵攻に備えた。

胸に付けられたレザーパッチ“空飛ぶ弾丸” は、兵士たちが独自のデザインでハンドペイントした非公式のパッチで、戦中しか使用されなかった非常に希少性の高いパッチとなっている。

このように、A-2を語る上でハンドペイントは外せないものであり、フライトジャケットの中でもA-2はベーシックともいえる存在。さあ、知識を学んだうえで、経年変化を楽しむお手入れ術をマスターしよう。

ホースハイドのTYPE A-2をメンテナンス!

今回ケアするのは、ホースハイドバズリクソンズのA-2。過剰にオイルを塗るより、年に1、2回程度に抑えた方が味が出やすい。メンテの際はライニングにクリームが付かないよう注意が必要だ。

用意するもの

こちらはワセリンと鉱油をベースとしたバズリクソンズのレザーコンディショニングクリーム。ミンクオイルと比べると抜群の浸透性を誇る。革の状態にもよるが、塗布は年に1、2回で十分。

この記事を書いた人
めぐミルク
この記事を書いた人

めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
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