使い難く、合わせ難いものそれを料理するのが楽しい。
「ボクのモノ選び基準は服も小物も味のあるもの、ヴィンテージならではの存在感があるものが圧倒的に多いです。例えば、ワークウエアにペンキが飛んでいるだけで、その服に出逢うまでの背景が無限に想像でき、楽しくなります。何よりもその物への愛着も湧きやすくなるんです。基本的に好きなアイテムは旧いヴィンテージが多いので、使い難い、合わせ難いものばかり。それらをどう料理するかが、ボクにとっては楽しみのひとつなんです」
2007年に自身の世界観を表現するショップをオープンさせ、いまや京都を代表する古着店ホーミーズの店主として知られる桒原氏。古着への入り口は、もちろんアメリカンヴィンテージだったというが、徐々に掘り下げていくうちにイギリス、フランス、ドイツなどヨーロッパで生まれたヴィンテージウエアの素晴らしさも理解するようになり、定期的にヨーロッパへの買い付けも行うようになったという。
「自分の店であるホーミーズをオープンさせた15年前にボクの現在のスタイルの基盤が出来上がり、まだまだ完成の域には至っていませんが、好きなヴィンテージの世界観を自由に表現できることで服に対しての考え方や価値観が、より深いものへと変化していきましたね」
「HOMIES」桒原孝之さんの愛用品。
1.COAT/1940s British Army
初めて英国に買い付けに行った際、ロンドンのコレクターから譲ってもらったBritish Armyのディスパッチライダーコート。「多くのブランドがサンプリングしていることで有名な英国陸軍の名作。ニットの上から羽織るくらいが好きですが、カットソーの上からラフに着ても絵になるコート」
2.T-SHIRT/1940s~1960s Unknown
ヴィンテージのヘンリーTシャツは桒原氏を象徴する定番アイテムのひとつ。1940年代から1960年代くらいまでの年代問わず集めている。「毎年、良いコンディションのものを見つけては買い足しているアイテムです。ボクの中ではどんなアイテムにもハマってくれる白飯のよう」
3.BAG/HERMÉS
1990年代に販売されたバーキン40。旅先で色、形、サイズともにひと目惚れして購入。「傷をつけずに綺麗なコンディションを保つのがステータスと言われるバッグをガンガン使い込んで、自分のワードローブのヴィンテージたちに馴染むようくたくたに育て中です」
4.PANTS/1960s LEVI’S
言わずもがなヴィンテージデニムの王道、LEVI’S 501XXは激しいペンキ痕がアイキャッチとなる1本。「アメリカ西海岸のペンキ屋の倉庫から掘り出したこれぞ、リアルクロージングなダブルエックスです。特に暖かくなってきたタイミングでヘンリーTシャツと合わせて穿きます」
5.SHOES/1960s Unknown
憧れの先輩から譲り受けたモンキーブーツ。外羽根式でシューレースの歯とめがトゥまで装着された特徴的なデザイン。「ワークブーツは昔からひと癖あるモンキーブーツが好きで10足以上、タイプ違いで所有。季節問わず、夏でもガンガン履いています」
最近買ったもの、ハマっているもの
BROOKS BROTHERSの新品未使用の箱付きをニューヨークのコレクターから購入。もちろんMade in U.S.A.のもの。まだ未着用だが、大切なタイミングで着るつもり。
(出典/「CLUTCH2022年8月号 Vol.86」)
Photo by Akane Matsumoto 松本あかね Text by Tamaki Itakura 板倉環
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