74歳でガチンコレースに出場する岩城滉一の挑戦

バイク好きで知られ、ロードレースでも積極的に活動してきた岩城滉一さん。65歳を機にレースから退いたものの、昨年、73歳にして再びサーキットに戻ってきた。今季はスポーツスターで「AVCC」の「CSSC」クラスに参戦! レースに懸けるその想いとは……。

倒れたからできた“目標”がレースを面白くする!

90年代、東京・中野。実家の敷地に建てたプレハブが岩城滉一さんの基地だった。当時、旧車レースに参戦し、専属メカニックが常駐。そのメカニックを頼ってきた大浦聡さんと出会い、意気投合し始まったばかりの「スポーツスターカップ」に出ることになった。

「俺たちよくお立ち台に上がったよ。90年代のウチのピットは人が集まっちゃって大変だった(笑)」

バブル経済は弾けていたが余韻はあった。サーキットは多くの人で賑わい、華やかで熱気があった。

その後、大浦さんは2000年、岩城さんは65歳になった2016年に一度レースから退いていた。

「70歳の誕生日の朝、病院に担ぎ込まれた。大腿骨を折ったり、心臓止まったり……。それがちょうど70歳」

徐々に体調が回復し、大浦さんと昔話をしていたところ、ふとレースの話題になったという。

「何となく『俺70過ぎてんだけど乗れる?』って話になった。やっぱりあの時代が楽しかったから」

倒れたことから“目標”ができたと語る。いま岩城さんの一番の願いは、レースを面白くしていろんな人に観に来てもらうことだ。

「あと何年レースできるか。いまは喜寿を目指してるの。77歳!」

岩城滉一さん|1951年生まれ。俳優、歌手、タレントとして活躍。バイク好きとして知られ、70年代には自ら率いるバイクチームで、原宿のバイクシーンを賑わせた。レースではチーム監督、選手として活動。65歳を機に自身が参戦することから退いていた。昨年、レーサーとしてレース活動を再開し、話題を集めている

AVCC

AVCCは「American Vintage Competition Clubman Roadrace」の略で、ヴィンテージのハーレーダビッドソンやインディアンなどのアメリカ製バイクを対象としたレース主催団体。今年のシリーズ最終戦は11月9日の第3戦で、筑波サーキットにて開催された。https://www.avcc1996.com

51GARAGE supported by KMT INC

岩城さん率いるレーシングチームで、自らのゼッケンナンバー「#51」を冠する。今季、スポーツスターでAVCCのCSSCクラスに参戦。YouTubeチャンネル「#51TV」https://www.youtube.com/@51tv52

岩城さんがXL883でのレースにこだわる理由とは?

(右)「BARN H-D! SPORTS」奥川潔さん|1961年生まれ。自動車メーカーやバイクショップでメカニックの経験を積んで2000年に独立。20歳のころからロードレースに参戦。レースマシンを自分でモディファイするように。90年代からはスポーツスターカップに自らチューニングしたスポーツスターで参戦。表彰台の常連として名を馳せた

――今回のマシンを製作するキッカケを教えてください。

奥川(以下:奥):大浦さんから「ボロボロなんですが、なんとかなりませんか?」って電話があったんです。

大浦(以下:大): 90年代のレースを見ていたので、どうしても奥川さんにやってもらいたくて。

岩城(以下:岩):ハーレー界で“奥川”といえばやっぱりスゴいでしょ。

奥:その流れで、岩城さんのマシンも製作することになって……。

――2台とも同じ仕様ですか?

奥: ちょっとステップが違う。

岩:俺は膝がダメだから、元のポジションだと乗れないのよ。

大:メカは奥川さんを100%信頼してます。で、ルックスはこっちがやる。ウチは「美しくなきゃいけない」ので(笑)。

岩:信頼できるから俺はコースに入った瞬間“全開”だよ。タイムを出さないと奥川だって手が動かない。やる気が出ないでしょ!

奥:その通りだと思います。岩城さんから元気をもらえる。

岩:不安なら走れないよ。「レブ(レブリミットまで回す)しました?」って聞かれて、「7000回転くらいでレブしないように走ってるよ」って言ったら、「レブしても平気ですから」って。そんなヤツおらんだろう!

奥: あの仕様は大丈夫です。

岩: だから気にしなくなった。今日も最初に言ったのが「レブしても大丈夫だから」って。要は「もっと速く走れ」って意味。

奥:そうは言ってない(笑)。気持ちよく走ってもらえれば。

大:年齢も年齢だしね。

――最終戦は11月9日ですね。(本誌発売時には開催済み)

岩: そう、9日だ。とりあえず〝ワン・ツー〟取りたいよね。ワンツーフィニッシュで。

岩城さんの30年来のレース仲間で、#51ガレージのライダーとしてAVCCに参戦する大浦聡さん。レーシングマネージャーとして岩城さんのサポートもしている。

90年代から開催されていたスポーツスターカップで、意識し合っていたもののあまり会話したことがなかった2人。岩城さんは「昔からのダチのよう」と笑う。

2003 XL883R

奥川さんによるチューニングエンジンを搭載。XL1200S用フロントフォーク、ナイトロンのサスペンションで足まわりを強化。ミスミエンジニアリングのライザーにミリバーをセットし、ベビーフェイスの試作ミッドバックステップで操作性を確保。ノジマ製チタンマフラーはワンオフで製作している。

(出典/「CLUB HARLEY 2025年12月号」)

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