「デニムパンツ1本1000万円」時代。軒並み高くなっていくヴィンテージ「リーバイス®︎」を指咥えて見ていていいのか。

TバックのGジャンや、通称“ワンポケ”と呼ばれる最初期リーバイス[501]。これらは、いまや1000万円で取引される代物になっている。90年代に雑誌を中心として古着のウンチクが語られるようになってから、「このタグは〇〇年代で……」とか「〇〇年代以降はボタンの刻印が……」のような会話が、古着について回った。やがてそのような年代判別を基準として、古ければ古いほど、生産数が少なければ少ないほど、高い価格がつけられていくようになった。希少性の高いもの=価格が高い、というのは当たり前のことではあるが、冒頭に述べたような「1000万円」レベルにまで飛躍するとは、誰も予想していなかっただろう。

価格高騰の波は80年代のデニムにまで

どれだけ服好きであっても、ほとんどの人にはこの「1000万円デニムパンツ」は縁のない話であり、ただのニュースでしかない。しかし、このニュースに限らずとも、近年ヴィンテージデニムの価格は軒並み高騰している。せっかく「かっこいいから一度は穿いてみたかった」デニムも、そうやすやすと買えなくなった。価格高騰の波は80年代のデニムにまで及び、90年代にまで届きそうになっている。

デニムを「美術品」や「アンティーク」として見るのなら、希少性を重視するのは至極真っ当なことだと思う。しかし、トラッドやアイビーをベースとする我々からすれば、言うまでもなく「穿いてこそ」デニムなのであって、「穿き姿」こそデニムの最もかっこいい姿であると思っている。だからこそ我々は、本誌を製作しながら「デニムは穿いてナンボだ」という気持ちを忘れないことを一番に意識した。そのデニムがどの年代に作られたものかなんて関係ない。関係があるとしたら「この色落ちが穿きたいから〇〇年代のデニムが欲しい」とか「〇〇年代のシルエットが自分には合っている」とか、あくまで「穿く」ことを目的とした年代判別であるべきであって、「旧さ」とか「希少性」を計るためのものではない。

そんな思いに少しでも共感してもらえるようであれば、きっと『2nd 6月号』はあなたにとって良書となるに違いない。ここではヴィンテージデニムが「どこで手に入るか」とか「どんなディテールを持っているか」ということには一切触れていない。古着であろうが、新品であろうが関係なく、「かっこいい!」「穿きたい!」と思うデニムばかりを集約している。デニムを主役としたスタイリングもいつも以上にたくさん盛りこんだ。「穿いてこそデニム」。この精神をすこしでも共有できたら嬉しい。

この記事を書いた人
パピー高野
この記事を書いた人

パピー高野

断然革靴派

長崎県出身、シティーボーイに憧れ上京。編集部に入ってから服好き精神に火がつき、たまの散財が生きがいに。いろんなスタイルに挑戦したい雑食タイプで、ヨーロッパからアメリカものまで幅広く好む。家の近所にある大盛カレーショップの名を、あだ名として拝借。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

いつもの装いに、頼れる履き心地。この秋は、コートスニーカーとチロリアンシューズがあればいい

  • 2026.09.18

トラッドな装いになら、足元はやっぱり品よくいきたい。でも、履き心地だってこだわりたい。そんな欲張りな気分に応えてくれるのが「ロックポート」。クラシックな佇まいと快適さを両立した2足を紹介する。 品よく履けて、しっかり快適 「お洒落は我慢」とは言うけれど、格好よさも履き心地も譲れない。そんなわがままに...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

Pick Up おすすめ記事

上野の2つの「SUN HOUSE」で、秋支度。おすすめのアイテムを聞いてきました

  • 2026.09.18

歩いてわずか30秒ほどの距離にある、上野ふたつのサンハウス。今回はそれぞれの店舗で、この秋おすすめのアイテムを聞いてみた。2軒を行ったり来たりしながら、そろそろ秋支度を始めよう。 上野のサンハウスは行ったり来たりが正解です 昨年のリニューアルを経て、アメ横に2店舗を構えるようになった「サンハウス」。...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...