鯖江にひとりだけの職人による手彫り彫金「E-0505」
1980年代に発表したヴィンテージテイストのモデルをデザインベースに持つ、[E-0505]は、アイヴァンが世界に誇る永世定番。とはいえ、量産向きかと問われると、全くもってそうではない。伸縮性や強度など、特性が異なる2種類の素材を僅か数ミリの細かいパーツを組み合わせて作り出すコンビネーションフレームは、むしろ他モデルより高い技術力を要する。
まず、その精度が求められるのがメタルパーツの製作。本モデルは軽量かつ耐久性に優れたチタン素材を採用するため、その加工はより難易度が高い。さらに、ブリッジからノーズパットまでが一体化した特徴的な「マンレイ山ブリッジ」は複雑な曲線を描くため、数十トンものプレスを何度も掛けながら、段階的に少しずつ成型する。その工程数はヨロイ飾りで10、ヨロイで16、テンプルは20にも及ぶという想像以上の手間と労力。
極めつけは、ブリッジとヨロイパーツに見られる繊細な彫金模様。オリジナルで製作された金型のマスターは、なんと鯖江にひとりしか存在しない職人による手彫り。各部に刻まれた絶滅危惧の職人技を、これほどまでに堪能できるアイウエアも極めて希少である。
このような工程や意匠は目に留まりやすい点であるが、[E-0505]に命を吹き込む本当の要は「組み上げ」にある。その名の通り、各パーツをひとつに組み上げる工程だが図面に照らし合わせるだけではない。ネジを絞めながらひとつひとつ人の手で整えるため工場によって“ツラ”が変わる。そこはかとなく漂うアメリカンな風格はその勘所をわきまえた工場だからこそ成せる、いぶし銀の業だ。
【問い合わせ】
アイヴァン 東京ギャラリー
TEL03-3409-1972
https://eyevaneyewear.com/
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2024年4月号 Vol.203」)
Photo/Ryota Yukitake Text/Kazuki Ueda
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