2ページ目 - EYEVAN(アイヴァン)の名作メガネはこうして生まれる

鯖江にひとりだけの職人による手彫り彫金「E-0505」

1980年代に発表したヴィンテージラインの代表モデルをベースに、メタルパーツをチタン素材でアップデート。世界を席巻した名作はこうして現在も鯖江で作られている。メガネ4万4000円、サングラス4万8400円(アイヴァン 東京ギャラリーTEL03-3409-1972)

1980年代に発表したヴィンテージテイストのモデルをデザインベースに持つ、[E-0505]は、アイヴァンが世界に誇る永世定番。とはいえ、量産向きかと問われると、全くもってそうではない。伸縮性や強度など、特性が異なる2種類の素材を僅か数ミリの細かいパーツを組み合わせて作り出すコンビネーションフレームは、むしろ他モデルより高い技術力を要する。

まず、その精度が求められるのがメタルパーツの製作。本モデルは軽量かつ耐久性に優れたチタン素材を採用するため、その加工はより難易度が高い。さらに、ブリッジからノーズパットまでが一体化した特徴的な「マンレイ山ブリッジ」は複雑な曲線を描くため、数十トンものプレスを何度も掛けながら、段階的に少しずつ成型する。その工程数はヨロイ飾りで10、ヨロイで16、テンプルは20にも及ぶという想像以上の手間と労力。

極めつけは、ブリッジとヨロイパーツに見られる繊細な彫金模様。オリジナルで製作された金型のマスターは、なんと鯖江にひとりしか存在しない職人による手彫り。各部に刻まれた絶滅危惧の職人技を、これほどまでに堪能できるアイウエアも極めて希少である。

このような工程や意匠は目に留まりやすい点であるが、[E-0505]に命を吹き込む本当の要は「組み上げ」にある。その名の通り、各パーツをひとつに組み上げる工程だが図面に照らし合わせるだけではない。ネジを絞めながらひとつひとつ人の手で整えるため工場によって“ツラ”が変わる。そこはかとなく漂うアメリカンな風格はその勘所をわきまえた工場だからこそ成せる、いぶし銀の業だ。

一体化したマンレイ山ブリッジやヨロイ、テンプルなど、使用されるメタルパーツは全てこのモデルのために金型から作られたオリジナル。わずか数ミリのパーツ作りでも、数十回にわたって高圧プレスを掛けながら成型するため、計り知れない労力と時間が費やされている
金型のマスターに施される美しい彫金模様は、なんと手彫り。鯖江にもひとりしかいない職人が鏨(たがね)を用いて生み出す、繊細なエッジは機械で彫るより、遥かに存在感が増す

他より多くのパーツを要するプラスチックフレームほど、メガネ作りの仕上げ工程である「組み上げ」が重要視される。全体のバランスや“面構え”を整えるのは、図面だけでは計り知れない、職人の経験値が物を言うのだ

【問い合わせ】
アイヴァン 東京ギャラリー
TEL03-3409-1972
https://eyevaneyewear.com/

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 2024年4月号 Vol.203」)

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

革とデニムの境界線を越える! デニムのように見えるけど実はコレ、革なんです。

  • 2026.07.02

前号でもお伝えしたが、天神ワークスの開発していた新しい革「リジットレザー」が完成し、この度、遂にレザージャケットとなって登場した。まずはこの写真を見てほしい。これは、天神ワークス代表の髙木さんが1カ月着込んだもの。このエイジング、まさにデニムじゃね? でも、レザーらしいエイジングも見え隠れする、唯一...

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

夏の余白に、存在感を。大人メンズの夏スタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介!

  • 2026.06.30

シンプルな装いだからこそ、アクセサリーや小物が着こなしの印象を大きく左右する夏。そんな季節にチャコールグリーンが提案するのは、物語とクラフトマンシップを宿した逸品たち。夏のスタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介する。 手仕事が生む、本物の存在感 2002年に誕生したアティースは、「REL...

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...

王道のデニムセットアップはボトムスで差をつけろ!

  • 2026.06.30

昨今のアメカジブームのなかで、注目度が高まっている“デニムオンデニム”のセットアップスタイル。王道ももちろん良いが、一歩先を行きたいアメカジラバーはボトムスで差を付けてみるのはいかがだろうか。気鋭のブランド「アンバースレッズ」が展開するデニムセットアップはそんな望みを叶えてくれるに違いない。 Amb...

Pick Up おすすめ記事

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...

王道のデニムセットアップはボトムスで差をつけろ!

  • 2026.06.30

昨今のアメカジブームのなかで、注目度が高まっている“デニムオンデニム”のセットアップスタイル。王道ももちろん良いが、一歩先を行きたいアメカジラバーはボトムスで差を付けてみるのはいかがだろうか。気鋭のブランド「アンバースレッズ」が展開するデニムセットアップはそんな望みを叶えてくれるに違いない。 Amb...

「ファーストアローズ」創業30周年記念! 「JELADO」「RE-BUILT」とのコラボによる銀で彩った、贅沢なデニム。

  • 2026.06.29

日本屈指のシルバーアクセサリーブランド「ファーストアローズ」が創業30周年を記念して、これまでの集大成かつファンへの感謝の気持ちを込めて、「JELADO」と「RE-BUILT」とコラボしたスペシャルなデニムを制作。限定100本。節目の年に相応しいこだわりに満ちたデニムの詳細を大解剖! First A...

革とデニムの境界線を越える! デニムのように見えるけど実はコレ、革なんです。

  • 2026.07.02

前号でもお伝えしたが、天神ワークスの開発していた新しい革「リジットレザー」が完成し、この度、遂にレザージャケットとなって登場した。まずはこの写真を見てほしい。これは、天神ワークス代表の髙木さんが1カ月着込んだもの。このエイジング、まさにデニムじゃね? でも、レザーらしいエイジングも見え隠れする、唯一...

時とエイジングを刻む。VAGUE WATCH&Co. × CONSIGLIERE THE 1ST SPECIAL WATCH

  • 2026.07.02

時計は時間を刻むもの。本来の目的はそれで十分だが、「エイジングするものに囲まれて暮らしたい」という自称革ジャンの伝道師・モヒカン小川はベルトにもこだわる。そんな彼が愛用するヴァーグウォッチとシルバージュエリーブランド「コンシリエーレ」のコラボウォッチには毎日身につけた分のエイジングが刻まれている。 ...