その船名はCatherina von Flensburg。後に1786年に沈没した貨物船だと判明したその船内からは袋に包まれた状態の鞣し革が発見された。それは主にトナカイ革を原皮として、ロシアで特殊な製法で鞣された、伝説の革と称される「ロシアンカーフ」であった。
優れた防水性と菱形のシボのような模様の革は、非常な特殊な製造工程で作られており、さらにそのレシピは20世紀初頭のロシア革命によって失われてしまったと言われている。そんな事柄から、ロシアンカーフはいつしか伝説化されるようになった。
リファーレで幻のロシアンカーフを見ることができる!?
話は戻って、1973年に引き揚げられたロシアンカーフは、すぐに競売にかけられ、僅か数社のみ入手することが叶ったという。その一社が、英国ロンドンの高級紳士用品店「ニュー&リングウ ッド」。
恵比寿の紳士靴店「リファーレ」には、正真正銘のロシアンカーフの一足が鎮座している。恐らく1990年代にビスポークで作られた一足は長年、非売品として店内に飾られていた。遥か200年以上の時を超えて、今も輝き続ける一足には靴好きのロマンが溢れている。
僅か6足限定の国内販売。
件のロシアンカーフを獲得した英国ニュー&リングウッドと日本のリーガル コーポレーションが手を組み、199 0年代に日本国内で6足だけ抽選販売されたことがある。当時の価格は80万円。購入者にはグローブトロッター特製の専用ケースが付いた。
※情報は取材当時のものです。
(出典/「2nd 2022年11月号 Vol.188」)
Photo/Yoshika Amino, Norihito Suzuki Text/Kazuki Ueda
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